2月1日、ビットコインネットワークは史上最大のブロックをマイニングし、歴史に名を刻んだ。約400万のトランザクションを収めた同ブロックは、NFTプロジェクト “Taproot Wizard” を使用するインディー(indie)開発者によって送出された。
開発者やプロジェクト名は明らかにされていないが、このトランザクションはビットコインコミュニティーに波紋を広げており、ビットコインネットワークへの攻撃ではないかという声もある。これに対し、開発者の”Udi Wertheimer”氏と元Bitcoin Core開発者の”Casey Rodarmor”氏は、同トランザクションが”Ordinals”の(プロトコル)コンセプトに基づくイノベーションであると主張している。
ビットコインNFTの稼働
Ordinalsは、ビットコインが安定したパブリックIDを持たないことへのソリューションとして導入されたものだ。ビットコインアドレスは通常1回しか使用できず、ウォレットアカウントはローカルであるため、公開鍵(キー)と秘密鍵(キー)のオーナーシップを譲渡することができない。Ordinalsは、各サトシ(satoshi:BTC最小通貨単位)をアウトプットごとにマーキングし、ビットコインの譲渡可能なアカウントまたはIDを作成することで、この問題の解決を図っている。
NFTプロジェクト”Taproot Wizard”では、発行者が特定のサトシを使用してJPG画像を参照し、NFTの識別と流通を実行している。こうした手法は革新的だが、一方でビットコインコミュニティーには懸念も広がっている。
大規模なトランザクションとブロックを伴って、ビットコインのブロックチェーンサイズが急速に拡大すると、フルノードを稼働するデバイス要件が増加し、また、ネットワークの抗検閲機能を低下させる可能性もある。さらに、ウォレット、マイニングプール、ブラウザー設備に影響を及ぼし、一部の障害につながり、ネットワークセキュリティが低下することにもなる。
今後は難しい選択を迫られる
ビットコインコミュニティは、この問題に対処する上で難しい選択を迫られている。何もせず、このままブロックチェーンへのアプリケーション参入を認めると、OP_RETURN(トランザクションのRETURN)制限や容量拡大に関する議論が無意味になりかねない。
また、データサイズの上限を上げるためにネットワークをハードフォーク(仕様変更)することも問題だ。全ノードを更新することになり、分散性が損なわれるからだ。大きいブロックやトランザクションを拒否するための主要プール間の部分的コンセンサスは運用上難しく、手動のブロックレビューが必要になるかもしれない。
全体として、ビットコインの規模が大きいために、スムーズなハードフォークは考えにくく、最も可能性が高い選択は最初のオプション(何もしないこと)だ。今回の事件は、ビットコインの限度能力へのソリューションの必要性を露呈したとともに、コミュニティにおけるイノベーションと検証に関する新しいうねりも引き起こした結果となった。
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