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ナンセンCEO「暗号資産取引でAIが人間に勝てないポイント」を解説

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著者:
Kamina Bashir

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編集:
Shigeki Mori

23日 1月 2026年 09:31 JST
  • ナンセンは、オンチェーン取引の分析と実行を強化するAIツールを導入した。
  • ナンセンのCEOは、暗号資産分析においてAIは人間の判断を補完するものであり、置き換えるものではないと述べた。
  • AIは大規模な処理やパターン検出に優れる一方、人間は信念と責任を持つ。
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人工知能(AI)は多くの業界を再構築してきた。そして、最新AIが進出するたびに必ず登場するのが「人間の代わりとなる」という悩み。暗号資産業界でも、AI駆動型のトレーディングボットからエージェント型取引システムに至るまで、すでにその影響が見える。

しかし、ナンセンのアレックス・スバネビックCEO兼共同創業者は、AIは人間の判断の代替ではなく、補強だと指摘する。BeInCrypto独占インタビューで、スバネビックCEOがこの変化を詳しく分析し、AIによる分析の今後について展望を示した。

暗号資産業界のAI論争 ナンセンCEO「人間の補完にAIを」

ナンセンは1月21日、AI搭載のオンチェーントレーディング機能の開始を発表した。これは、純粋な分析プラットフォームからインサイトと実行を統合する製品への大きな転換点となる。

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5億件超のラベル付きウォレットという自社保有データセット基盤で構築された新機能により、ユーザーはポートフォリオ管理やオンチェーン信号のリアルタイム解釈、データ裏付けの提案受信ができる。さらにナンセン上で直接取引を実行することも可能になった。

「ナンセンの独自データセットで訓練・評価されたNansen AIは、オンチェーン分析と取引事例向けに設計されたベンチマークにおいて、主要なAI製品を一貫して上回る。これにより、トレーダーや投資家に対して、より正確で、かつ実際の取引に直結するインサイトを提供し、エージェント型インテリジェンスを実践的なトレーディング優位性に変換できる」 ― 発表内容

さらに、このリリースはナンセンが「ヴァイブ・トレーディング」と呼ぶ新しいアプローチを実現するものである。これは、インサイトからオンチェーン実行への移行を、ツールを切り替えることなく直感的に実現するやり方だと説明している。

AIが分析業務を担う範囲が広がるなか、人間アナリストの役割が問われている。スバネビックCEOは、AIは大規模な情報処理に優れ、数億のウォレット分析やチェーン間の資金フロー追跡、人間には検知困難なパターンの特定などを実現すると述べた。

しかし、最終的な意思決定はユーザーにあり、適切な問いを立て、行動に承認を与えるのは人間であることを強調した。

「その境界は固定されていない。AIの推論能力が高まり、オンチェーンデータが豊かになるに従い、境界も変化する。ただし、目標は判断の置き換えではない。人間が単純作業から解放され、より高度な意思決定に集中できるようにすることだ」 ― 同氏

AI主導の暗号資産市場における信頼できる分析の条件

調査によれば、AIツールへの依存度が高まると批判的思考力が低下する可能性が示唆されている。特に暗号資産市場では、極端な変動や高リスク資産を乗り越える必要があるため、その重要性は一層高い。

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しかし、スバネビックCEOは異なる見解を示した。「優れたAI」はより多くのシグナルを表面化させ、ユーザーはむしろ実行面をより批判的に考えるようになるという。

「本質的リスクは、皆が同じ戦略に走ること。これはAI固有のものではなく、人間アナリストにも共通する。解決策は多様性である ― モデル、戦略、データ解釈の多様化が必要だ。当社は、すべてが単一のオラクルに従うのではなく、個別に判断できるツール構築を目指している」 ― 同氏

また、AIも人間アナリストも無条件で信頼すべきではないと強調した。同氏によれば重要なのは、分析が時間をかけて一貫して有効かどうかであるという。

AI重視の市場で信頼性をどう測るかについて、CEOは次のように説明した。

「AI主導時代の信頼性は、名前やSNSフォロワー数ではなく、測定と反復によって決まる。AIは人間には到底できない規模で、現実に照らして何度もテストができる。この点がAIの強みだ」

最も簡単な評価法は実践的なものだとし、ユーザー自身が自分にとって重要な問いを投げかけ、その回答が確かな根拠や有用性・実行可能性を持つかどうかを判断できると述べた。ユーザーは品質の良し悪しを効果的に判断できる傾向があるという。

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「長期的には、信頼は個々のアナリストから、常にシグナルを提供しノイズを減らすことを立証できるプラットフォームへと移る。われわれもその基準を追求する」 ― スバネビックCEO、BeInCryptoへのコメント

AIがオンチェーンデータを分析できても人の信念は代替不可

人間のアナリストは、オンチェーン指標や価格データなど複数のシグナルを総合して、判断や文脈解釈に基づき取引意思決定を行う。一方、AIは過去データから学習したパターンに依拠する。

AIが同様の判断力を将来的に持てるかと尋ねたところ、スバネビックCEOは「人間の感覚とは異なるものの、おそらく可能」と答えた。

AIには独自の文脈推論能力が求められると詳細を述べた。同氏は、AIは人間には追跡できないほど広範な変数でライブデータを統合し、より効果的に判断できると考えている。

「その実現にはより良い訓練データ、長いコンテキストウィンドウ、実運用からのフィードバックループが重要。当社エージェントでもすでにその兆候がある。単なるパターン認識でなく、リアルタイムで行動データを推論している。これは初期段階の判断力であり、モデルの進化と千万件単位のオンチェーン取引から学びを積み重ねることで今後さらに鋭くなる」 ― 同氏

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ただし、オンチェーン分析でAIが決して完全に置き換えられない要素があると指摘した。それは、不確実性下の意思決定に対する責任を持つことだ。

スバネビックCEOは、AIはパターンや確率、シナリオを提示し、データから何が起こったか・起こりうるかを評価できるが、個人のリスク許容度や価値観、結果が悪化した際の意思決定責任までは負えないと述べた。

「オンチェーン分析は最終的に現実世界の行動 ― 資本投入、チーム支援、公開意思表明 ― に影響する。それらの決断には責任を負う存在が必要だ。そこは人間の役割だ」 ― この幹部

同氏は、AIモデルがいかに高度になろうとも、判断、説明責任、信念といった点において、信頼性は引き続き人間にあると強調した。AIは意思決定に情報を提供し得るが、最終的に決断し、その結果に責任を持つのは人間であると述べた。

「何に重きを置くかを決めること。AIはオンチェーンで何が起きているかは教えてくれるが、何を重視すべきかは教えてくれない。それはセンスであり、信念であり、人間のものだ」とスヴァネヴィク氏はコメントした。

最終的にスヴァネヴィク氏は、AIを意思決定者ではなく、強力なアシスト役と見なしている。AIはかつてない規模でパターンや確率、インサイトを提示できるが、リスクや説明責任、信念については中心に人間の判断があると考える。

AIによる分析が一般化するにつれ、そのインサイトの質を継続的に証明できるプラットフォームこそが信頼を集めることになる。一方で、人間は何が重要かを判断し、その結果に責任を持つ役割を担い続ける。

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