年末を迎える暗号資産市場では、例年どおり流動性が低下し、大口投資家によるポジション調整が進んでいる。利益確定を目的に一部資産を現金化し、年明けまで様子見姿勢を取る動きが目立つのは12月特有の光景だ。
もっとも、こうした停滞局面の裏側で、クジラと呼ばれる大口ウォレットは選別的な買いを再開している。市場全体が静まるなかでも、複数の時間軸で資金流入が確認される銘柄が浮上してきた。
具体的には、過去30日間にわたり着実な累積買いが続く銘柄があるほか、直近7日間でクジラの支援が顕在化した銘柄も確認されている。さらに別の銘柄では、直近24時間で新規資金の流入が観測されており、2026年1月を見据えた先回りのポジション構築とみられる。
Sponsoredチェーンリンク(LINK)
暗号資産クジラが買い増している銘柄として最初に挙がるのがチェーンリンクである。クジラウォレットの保有量は過去30日間で57.79%増加。この期間におよそ68万LINKがクジラによって追加されたことになる。
LINKの現在価格で計算すると、累積額は約850万ドルに相当する。
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この買い増しは、チェーンリンクの価格が同期間で約7.5%下落する中で進行した。スマートマネーウォレットは保有量を5.2%減らしており、クジラが短期的な値動きを狙っているのではなく、先回りの買い増しをしていることを示唆する。
チャート上で、BBP(ブルベアパワー)指標は12月24日以降、赤いバーが縮小している。BBPは価格と移動平均線の距離から、強気勢か弱気勢のどちらが主導権を握っているかを示す。赤いバーが縮小すると、弱気圧力が和らいでいることを意味する。
同時に、LINKは短期的な重要抵抗線である12.50ドル付近の再突破を試みている。この水準を終値で上抜ければ、短期的なブレイクアウトの議論が再び活発化する。12.50ドルを超えた場合、次の重要ラインは12.98ドルと13.75ドル、その上は15.00ドル突破でLINKが明確な上昇傾向に入る。
スマートマネーが撤退しつつもクジラが買い増していることから、展開はゆっくり進む可能性がある。構造的にはクジラが弱さを利用して2026年初に向けて蓄積している形であり、直ちに上昇トレンドに転じるとは限らない。12.50ドルを回復するまで、LINKはレンジ相場が続く公算もある。また、11.72ドルを下抜けると、しばらくクジラの強気シナリオは失効する。
リドDAO(LDO)
クジラは過去7日間でLidoにも着目している。保有量は30.34%増加し、この階層の総保有量は1749万LDOに到達。現価格ベースで、クジラは7日間で約407万LDO、228万ドル相当を新たに追加した。
この動きは、同期間でトークン価格が4.2%上昇する中で発生しており、クジラが上がる勢いに乗じて買っていることを示す。
大口の買い手が全員匿名というわけではない。注目される動きの1つがアーサー・ヘイズによる追加購入で、同氏は約185万LDO、103万ドル相当を買い増している。これにより、「公的人物」カテゴリの動向がクジラと歩調を合わせて増加した理由が説明できる。
一方でスマートマネーは異なる動きを見せている。保有量は7.75%減少。取引所残高も1.49%減となっており、個人投資家が売却ではなく取引所からトークンを引き上げている可能性がある。この乖離があることから、クジラ主導のシナリオは即座に展開せず、2026年初まで伸びる可能性がある。
チャート上では、Lidoは0.59ドルから0.49ドルの明確なレンジ内で推移。OBV(オンバランスボリューム)指標は、資金流入・流出を測定するものであり、12月23日に下降トレンドをブレイクした。
このタイミングがクジラの資金流入増加と一致しているため、注目すべきシグナルである。
強さを確認するには0.59ドル以上での終値が必須。この水準は12月14日に割れて以来、一度も回復していない。もし買い手が本格的にこのラインを突破すれば、次に注目となるゾーンは0.76ドル(0.618フィボナッチ)と0.92ドルであり、この辺りでモメンタムが調整局面から上昇傾向に転換する可能性が高まる。
それまでは、レンジ相場での取引が基本シナリオとなる。0.49ドルを割り込めば現状のLDO価格の想定は崩れやすく、特にプロ投資家が年末のボラティリティ局面でさらなる手仕舞いを進める場合は注意が必要。
Sponsored Sponsoredアスター(ASTER)
3つ目の注目トークンはアスターである。本銘柄では24時間という短期的な期間でクジラの関心が見られた。直近1日間でクジラは既存保有分に対して2.37%を追加した。
これによりクジラの保有量は約1923万アスターに達した。1アスター当たり約0.71ドルであるため、およそ45万5000アスター、32万ドル強を追加した計算。
追加分自体は大きくない。しかし、アスター価格は1か月で30%超下落しており、今回の買い増しはセンチメントが大量売却から慎重なポジショニングに変わりつつある兆しかもしれない。
値動きもこの見方を裏付ける。アスターは11月19日の約1.40ドルから急落し、0.65ドル付近で下げ止まった。この水準は12月を通じて下値支持線として機能してきた。売り圧力も現状では弱まっている。ワイコフ出来高指標では、12月15日以降、赤色・黄色のバー(売り手優勢)が減少傾向にある。最近は赤色や黄色のバーが薄まりつつあり、売り手優勢が後退していることを示す。
クジラの動向が正しければ、まずは0.83ドルまでおよそ16%の上昇が回復の目標となる。0.83ドルを突破できれば1.03ドル、さらに市場環境が好転すれば1.24ドルまで視野に入る。
反対に0.65ドルを割り込んだ場合、シナリオは崩れる。その場合、年末のボラティリティが強まる中でアスターは新たな局地的最安値を付ける懸念もある。