米国で物価高が長期化し、家計の引き締め圧力が強まるなかでも、暗号資産を贈答品として選ぶ動きが広がっている。決済大手Visaが実施した最新のホリデーシーズン調査では、インフレによる可処分所得の目減りを意識しながらも、デジタル資産を「将来価値を見込める贈り物」と捉える消費者が増えていることが分かった。
生活防衛意識が高まる局面でも、暗号資産が新たな消費・資産形成の選択肢として浸透しつつある実態が浮かび上がっている。
Sponsoredインフレ鈍化も家計の圧迫感続く
インフレ率はパンデミック後のピークから落ち着いたものの、住宅、食品、保険、公共料金など必需品の価格は依然として高止まりしている。
賃金は全体的にインフレ率とほぼ並行して推移しているため、購買力の急激な低下は防がれている。ただし、その余裕はごくわずかである。
必需品の支払い後、多くの家計では2022年以前より投資や自由な支出に回せる余力が減っている。
このような状況でも消費が完全に止まったわけではない。消費者の行動が変化した。買い物は早めに済ませ、より積極的に価格を比較し、デジタル技術を駆使して少しでも支出を抑えようとしている。
金融面の自信は依然として脆弱だが、経済活動は続いている。その慎重さは、消費の方法や購入対象に明確に表れている。
暗号資産が「節約ギフト」として台頭
Visaが12月に実施した調査によると、米国人の28%がホリデーやクリスマスのギフトとして暗号資産を受け取りたいと回答しており、Z世代に限るとその割合は45%に跳ね上がる。
その魅力は贅沢品ではない。柔軟性やデジタル先行、さらには長期的な価値を期待できる資産を好む意識が反映されている。
同時に、米国の消費者の47%がAIツールをホリデーの買い物で活用したと回答しており、その主な目的はギフトアイデアの発見や価格比較であった。消費過剰でなく、最適化を重視する姿勢がうかがえる。
若い世代がこの変化を先導している。Z世代の回答者は、他の世代に比べ、暗号資産決済やデジタルウォレット、生体認証、越境ショッピングなどの採用率が高い。
こうした若年層にとって、暗号資産は広義のデジタル金融アイデンティティに自然に組み込まれている。
調査結果から、暗号資産の贈り物が必需品の消費を圧迫している訳ではないことが示唆される。消費者が選択的である今、従来の自由裁量的商品を暗号資産に置き換える動きである。
米経済への示唆
インフレの鈍化と予算の圧力が併存する現状は、慎重ながらも安定した経済を示している。
Sponsored Sponsored米国の消費者は撤退している訳ではなく、適応している。支出は続いているが、それは効率や選択肢、将来の可能性を重視する資産やツールに向かっている。
可処分所得が絞られる中でも暗号資産がギフトとして受け入れられている現象は、投機的熱狂ではなく、文化としての定着を示している。
この傾向は、経済的制約の時期にもデジタル資産への関心が継続する理由を説明している。
市場関係者には明確なメッセージである。インフレ率は落ち着いてきているが、十分な自信は戻っていない。
その隙間を埋める形で、テクノロジーやオルタナティブ資産が、従来型の消費に取って代わっている。
米国の消費者は切迫感を抱えつつも、慎重に将来に賭け続けている。