インフルエンサーとして知られるアンドリュー・テート氏を巡り、暗号資産取引を通じた資金洗浄の疑いが浮上している。匿名のオンチェーン調査員が12月下旬に公表した分析によると、同氏と関係があるとされる複数のブロックチェーンアドレスが、詐欺事件と関連する資金を受領していた可能性があるという。
調査では、テート氏にひも付くとされるアドレスが約120万ドルを受け取っていたと指摘。この資金は、約500万ドル規模の投資詐欺を巡り、米テキサス州で提起された訴訟で問題視されたウォレットから送金されたとされる。暗号資産の匿名性を背景に、取引の実態や資金の流れが改めて問われている。
Sponsoredテート氏のウォレットに500万ドル詐欺資金流入か
スペクターによると、2025年3月にテキサス州で提出された裁判資料は、2023年1月から2025年2月にかけて被害者から盗まれた資金のマネーロンダリングに使われた複数のウォレットのネットワークを特定したとされる。
スペクターの分析は、これら被告側のウォレットの1つがアドレス「0x9B67」に120万ドルを送金したと指摘する。
調査員は、オンチェーン上の一連のやり取りを根拠に、「0x9B67」がテート氏と関係していることを示唆。2024年12月14日には、テート氏の公開アドレスから疑惑のウォレットに直接4ドルが送金された。
さらに、このウォレットの分散型取引所ハイパーリキッドでの取引パターンは、テート氏の公のトレーディング報告内容と一致する。
テート氏は現時点でテキサス州の詐欺訴訟で被告に名前が挙がっていない。しかし、被害者資金が同氏と関連が疑われるウォレットで確認されており、米国での民事没収手続きの対象となる可能性がある。
Sponsoredこのアメリカ発の詐欺捜査との関連は、司法省とルーマニア当局の国境を越えた協力を誘発し、ヨーロッパでの同氏の現行訴訟の弁護を複雑化させる要素となり得る。
レイルガンによる送金
同報告書ではさらに、取引履歴を匿名化するために設計されたプライバシープール「Railgun」への多額な資金流入にも言及。
2年間で、テート氏関連の組織が暗号資産プロトコルに計3000万ドルを預け入れたとされる。その大半は、暗号資産決済プロセッサー「ラドムペイ」から移された資金とみられる。
コンプライアンス担当者は、起訴中の人物による合法的なプライバシーツールの大量利用を、資金源を隠す「レイヤリング」手法の可能性があるとして通常警戒する。
またスペクターの調査では、テート氏が虚偽の発言により市場センチメントを操作した可能性が示唆されている。アナリストは、2024年6月にテート氏がトークンの宣伝を断る提案を受けたと主張するスクリーンショットを投稿した事例を指摘した。
しかしスペクターは、ブロックチェーンデータはそのスクリーンショット内のウォレットがテート氏によって資金提供されていたことを示していると述べた。同氏によると、実際にはテート氏がそのウォレットを管理していた可能性が高く、第三者プロモーターのものだとする主張は否定される。
このことは、同氏が評判向上を狙い「宣伝の拒否」を演出する一方で、裏で資産を操作していたことを示唆する。
本稿執筆時点で、テート氏はこれらの告発にコメントを発表していない。