コインベースのブライアン・アームストロングCEOは21日、ビットコインを世界経済フォーラム(WEF)の政策論争の中心に押し出した。
同氏の発言は、市場がトランプ米大統領のダボス会議登壇に注目する中で飛び出した。トランプ米大統領は、貿易や関税、地政学に関して即興の発言をすることで知られる。
Sponsoredビットコイン独立性、ダボスで中央銀行と激突
コインベースのアームストロングCEOは、フランソワ・ヴィルロワ・ド・ガロー仏中央銀行総裁に対し、通貨の独立性をめぐって直接的に異議を唱えた。
「私は、民主的な権限を持つ独立した中央銀行のほうが、ビットコインのような民間発行体よりも信頼できる」ガレス・ジェンキンソン氏は、ヴィルロワ・ド・ガロー総裁のダボス会議での発言を 報じた 。
この発言は、 中央銀行関係者の間で長年根強い見解 を反映する。主権機関は分散型の代替よりも本質的に正統性が高いとする立場だ。
アームストロングCEOはこれに反論し、政治的な権限ではなく、コントロールと発行という観点で議論を再構築した。
「ビットコインは分散型プロトコルだ。発行体は実際には存在しない。中央銀行が独立性を持つという意味では、ビットコインはさらに独立している。世界のどの国も、企業も、個人もそれをコントロールできない」アームストロングCEOはこう述べた。
このやり取りは、WEFの場でビットコインそのものが、単なる ブロックチェーン技術 やトークン化金融だけでなく、正面から議論された数少ない瞬間だ。
長年、WEFのパネルは主に承認型台帳や機関投資家による導入、中央銀行デジタル通貨に焦点を当ててきた。ビットコインが通貨主権に突きつける挑戦には終始言及を避けてきた。
Sponsored Sponsoredこうした構図は、現地記者の執拗な問い掛けもあり、WEF2026で徐々に変わりつつある。
「Crypto at a Crossroads」セッションでは、ガレス・ジェンキンソン氏がアームストロングCEOに対し、米国が 戦略的ビットコイン準備金 の設置に関する議論を本当に実行に移すつもりか問いただした。
アームストロングCEOの回答は、ビットコインを投機的資産というよりも中立的でグローバルな通貨ネットワークとして位置づけるものだった。政府も、もはや無視できず認めざるを得なくなってきた存在であると強調した。
銀行、ビットコインの戦略・マクロ議論に抵抗
ダボスの外でもアームストロングCEOは伝統金融システムへの批判を強めている。CNBCの別インタビューでは、米銀行業界が規制当局を通じて競争を抑え込もうとしていると主張。特にステーブルコイン関連法案を巡る圧力に言及した。
Sponsored停滞するCLARITY法案に関し、アームストロングCEOは、銀行側が 暗号資産プラットフォームによる利回り提供の阻止を図っている のは、システムリスクではなく競争への脅威が理由だと指摘した。
「銀行のロビー団体や業界団体は、競合排除を図ろうとしている。暗号資産企業も既存大手金融機関の壁ではなく、公平な規制環境下で競争するべきだ」とアームストロングCEOは語った。
こうした議論のタイミングは、世界の金融システムに対するマクロ経済的な不安が高まる状況と重なる。
著名ヘッジファンドのレイ・ダリオ氏も、ダボスウィーク中のCNBCで、現行の金融秩序が歪みつつあると警告した。
Sponsored Sponsored「通貨秩序が崩れつつある」ダリオ氏は 語った 。中央銀行やソブリン・ファンドの債務水準や準備戦略の変化を指摘した。
同氏は、金の存在感が高まっているのは、法定通貨の安定性への根深い懸念を反映すると述べた。こうした懸念は、ビットコインなどデジタルな代替資産にも波及しつつある。
ワシントンからの政策シグナルも、ビットコインがもはや政府の戦略的判断から完全に外れていないことを示す。
米財務長官のスコット・ベセント氏は2025年、 法執行当局による押収ビットコイン を米国の戦略備蓄に追加する方針を認めた。
完全な承認とはいえないものの、この動きはビットコインの資産としての耐久性を事実上認める静かな兆候だ。
ダボスでの今回のやり取り全体は、微細ながらも大きな潮目の変化を映す。ビットコインは、もはや外部から批判されるだけの擾乱要因ではない。
いまや、かつて無視しようとした当の機関内部で、その扱いが議論されつつある。時に居心地の悪さすら感じさせるほどである。