イーサリアムの長期的な展望が再び注目を集めている。アーサー・ヘイズ氏が、イーサリアムの機関投資家としての将来、価格の可能性、そして競争環境について包括的な予測を示したためだ。
同氏の発言がなされた時、イーサリアムは3200ドル付近で取引されており、過去1週間で3060ドルから3440ドルの間を変動していた。トム・リー氏率いるBitMineなどの大手も前例のない速度でイーサリアム保有量を増やした。
イーサリアムが機関投資家の標準銘柄に
ヘイズ氏は指摘する。市場は依然として、従来型の金融機関がいかに深くイーサリアムの統合を計画しているかを過小評価しているという。同氏は、銀行がプライベート・ブロックチェーンの失敗を経て、パブリックな決済レイヤーの必要性を認識したと主張する。
Sponsored「これら組織はついに、プライベート・ブロックチェーンは成立せず、安全性と実利用にはパブリック・ブロックチェーンが不可欠であると理解するに至った」と同氏。
この変化の背景には、ステーブルコインのブームがあり、銀行がオンチェーン決済の価値を受け入れざるを得なくなったことがある。
ヘイズ氏によれば、イーサリアムは、セキュリティ、流動性、開発者層の厚さという機関投資家の要件をすべて満たす唯一のプラットフォームとして位置付けられている。
同氏は、この転換がイーサリアムの次なるサイクルで大規模な価格回復をもたらすと予想し、BitMineのような企業による積極的な資産取得と相まっていると述べる。
BitMineは今週3万3504ETH（約1億1200万ドル）を購入し、12月初旬にも13万8452ETH（約4億3500万ドル）を追加取得した。総保有量は約386万ETHに達する。この規模の買い増しは、機関投資家がイーサリアムの次なる大相場を見越してポジションを構築しているとの見方を強めている。
イーサリアムの最大の弱点はプライバシー L2が補完へ
ヘイズ氏はイーサリアムはなお、大手機関投資家が必要とするプライバシー保証に欠ける部分があると認めている。これが「イーサリアムがまだ十分に備えていない最大の課題」だとするが、ヴィタリック・ブテリン氏が主導するロードマップで解決策が進んでいると付け加える。
Sponsored Sponsoredこの課題にもかかわらず、同氏は機関による本格的な導入は遅れることはないとみる。むしろ、企業はプライバシー対応のレイヤー2ネットワークを構築しつつ、決済はイーサリアムに依存するようになるという。
同氏は、実際の取引がArbitrumやOptimismなどL2で完結しても、イーサリアムL1が「セキュリティの基盤」であり続けると考えている。
「L2とイーサリアムL1間の手数料分配について議論は必要となるかもしれない」と述べつつも、根本的な現実は変わらない――機関はイーサリアムで業務の安全を確保するという点を強調した。
この見解は現状のエコシステム動向とも一致する。取引所の残高は数年ぶりの低水準にあり、クジラはここ数週間で90万ETH以上を蓄積したとのSantimentデータもある。
L2への移行で手数料は下がる中においても、イーサリアム基盤レイヤーを中心に機関向けアーキテクチャは着実に整備されている。
勝者は限定的 イーサリアム首位 ソラナが続く
ヘイズ氏はパブリック・ブロックチェーンの未来について、ごく限られた小規模なグループに集約されるとみている。同氏はイーサリアムを明確な長期勝者と位置づけ、ソラナを遠く及ばないものの安定した2番手に挙げる。
ソラナが7ドルから300ドルへと急騰した背景には、2023年と2024年の活発なミームコイン取引があると評価。しかし、同氏はソラナが再びイーサリアムを凌駕するには「新たな強み」が必要と指摘する。
ソラナは引き続き存在感を示すものの、イーサリアムの機関的な地位や長期的な価格優位には及ばないとみている。
ほぼすべての他のL1チェーンについては構造的に脆弱だと見なす。Monadのような高FDVチェーンも、過大評価されたプロジェクトであり初期の急騰後に崩壊する可能性が高いと断じている。
50イーサで次回選挙までに億万長者
「次のサイクルでミリオネアになるにはいくらETHが必要か」と問われ、ヘイズ氏は最も明確な数値予測を示した。
同氏はイーサリアムが2万ドルになる可能性を示し、50ETHあれば7桁の資産を構築できると答えた。
BitMex創業者のヘイズ氏は、この価格目標が次回の米大統領選までに実現すると予想する。現在、取引所のETH準備高は減少し、機関の買い越しも続いており、BitMineのようなトレジャリー買いも数億ドル規模で展開されている。
イーサリアムがこうした期待に届かない場合は「物語が崩壊した時」だとヘイズ氏は述べる。
また、ステーブルコインの利用が鈍化し、機関がオンチェーントレードから撤退した場合には、ビットコインがイーサリアムを長期にわたって上回る可能性にも言及した。
ただし、現行の市場構造はイーサリアムの長期的な優位性を示していると同氏は主張。特に銀行が公的インフラ上でWeb3戦略の実行準備を進めている現状において、それが顕著である。
