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日銀の政策がビットコインに与える影響

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編集:
Shigeki Mori

17日 12月 2025年 11:02 JST
Trusted-確かな情報源
  • 日本の超低金利は、円キャリートレードを通じて世界的なリスクテイクを促し、ビットコインの流動性も支えている。
  • 日銀によるわずかな利上げでもリスク回避や円高、暗号資産市場での強制売却を招く可能性がある。
  • ビットコインはレバレッジ利用が多く、日銀主導の市場混乱時に大量清算の連鎖が起きやすい。
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ビットコイン市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の動向が注目されがちだが、日本銀行の金融政策も無視できない存在となっている。長期にわたる超低金利政策は円を世界有数の調達通貨とし、株式や債券に加え、暗号資産市場にも資金を流入させてきた。日銀が金融正常化に動けば、この資金循環が変化し、ビットコインの価格形成にも影響を及ぼす可能性がある。

低金利の円が暗号資産の流動性を下支え

日本は長年にわたりゼロ金利、さらにはマイナス金利政策を維持してきた。その結果、円は世界で最も低コストで調達できる通貨のひとつとして位置づけられている。

ヘッジファンドや銀行、資産運用会社、自社勘定で取引を行う金融機関などの大手機関投資家は、日本の銀行融資や外国為替スワップ、市場性の短期資金調達を通じて円を調達する。調達した円はドルやユーロに交換され、より高いリターンが見込める資産へと振り向けられる。

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これが円キャリートレードを生み出した。

投資先は株式やクレジット、新興国資産にとどまらず、近年では暗号資産市場にも広がっている。暗号資産は資金調達コストが低く、流動性が潤沢な局面で恩恵を受けやすい資産とされる。

ビットコインは特に魅力的だ。24時間365日取引が可能で、価格変動も大きい。レバレッジを活用するファンドにとっては、リスク選好姿勢を反映しやすい取引手段となってきた。

一方、日銀が利上げに踏み切れば、この構造は変わる。円の調達コストが上昇すれば、低金利の円を借りて高利回り資産に投資する「円キャリートレード」は縮小する。結果として、暗号資産市場に流入していた資金が引き揚げられ、ビットコイン相場の調整圧力につながる可能性がある。

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日銀の小幅利上げが大きな影響を持つ理由

理論上では、日銀の予定されている動きは控えめに見える。

市場はおよそ25ベーシスポイントの利上げを織り込んでおり、日本の政策金利は0.75%に近づく。それでも米国や欧州の金利よりはるかに低い。

だが、利上げ幅自体は本質的な問題ではない。

日本は何十年もゼロ金利近辺にとどまってきた。わずかな利上げでも資金調達環境の構造的な変化を意味する。

より重要なのは、期待感が変わる点である。

市場が日本の段階的な引き締めサイクル入りを信じた場合、トレーダーは待たずにエクスポージャーを前倒しで減らす。

その予測だけで、世界中のリスク資産売却を誘発する。ビットコインは連続取引のため、株や債券よりも早く影響を受ける。

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日銀の金融引き締めがビットコイン清算を招く仕組み

ビットコインの急落は現物売りだけで起こることは稀だ。レバレッジが要因となる。

タカ派的な日銀の動きは円高と世界的な金利上昇を引き起こす。それがリスク資産への圧力となる。

ビットコインは重要なテクニカル水準を割り込む。暗号資産市場はパーペチュアル先物取引や証拠金取引への依存度が高いため、これは重要である。

価格が下落すると、レバレッジをかけたロングポジションが清算ラインに到達する。取引所は損失補填のために自動的に担保を売却する。

この強制売却がさらにビットコインを押し下げる。連鎖的に追加の清算を引き起こす。

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こうした理由から、マクロ経済イベントは暗号資産特有のクラッシュのように見えることがある。その最初のショックは金利や為替が要因となる。

次の波は暗号資産市場に特有のレバレッジ構造によって起こる。

日銀決定を巡り投資家が注視する点

日銀リスクは発表前から高まる。トレーダーは次の兆候を注視する:

  • 円高――キャリートレード解消のサイン
  • 国債利回り上昇――金融環境の引き締まり
  • 資金調達金利または建玉の低下――レバレッジ資金の流出
  • 重要なビットコイン支持線の崩壊――清算を誘発

日銀のガイダンスのトーンも重要である。利上げでもハト派的な発言なら市場が落ち着く場合がある。

タカ派的なシグナルは売り圧力を拡大させる。

要するに、日本銀行は世界的な流動性の重要な供給元を握る。流動性が引き締まれば、ビットコインがまず影響を受ける。

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