バイナンスは、長らく待たれていた韓国の暗号資産取引所Gopaxの買収を完了し、約2年ぶりに韓国市場へ正式に復帰した。韓国金融情報分析院(FIU)による承認は、同国のデジタル資産業界にとって重要な節目となる。
規制当局の承認でGopax買収が実現
バイナンスによるGopax買収の動きは2023年初頭に始まった。毎日経済新聞によると、この取引は韓国の金融情報分析院(FIU)が新経営陣の任命を承認したことで正式に完了した。これにより、約2年半続いた規制上の膠着状態が解消された形だ。
SponsoredGopaxの株式67%を取得したことで、バイナンスは韓国で正式に登録された5つの暗号資産取引所の一つを支配下に置くことになる。この動きにより、2021年の撤退以来途絶えていた同社の韓国でのプレゼンスが復活し、規制が厳格化するアジア市場における影響力を再び強化する構えだ。
バイナンスは現在、韓国の厳格な「仮想資産利用者保護法」の下で事業を展開する必要がある。同法は、デジタル資産の保管、マネーロンダリング防止(AML)対策、そして利用者補償に関して高い基準を課している。
今回の承認は、米国での訴訟が取り下げられ、同社と創業者が43億ドルのマネーロンダリング関連罰金を支払った直後に得られた。取引の完了は、韓国および国際的な暗号資産市場において、コンプライアンス強化と企業統治改革を進めるバイナンスの姿勢を象徴している。
韓国の暗号資産・金融市場への影響
今回のGopax買収は、韓国のデジタル金融環境に即座に影響を与えるとみられる。特に、この動きはコインベースなど他の国際的プレイヤーによる韓国参入への関心を高め、競争激化を促す可能性がある。
CoinGeckoのデータによれば、韓国ではアップビットとビッサムが市場をほぼ独占しており、木曜日時点で取引量シェアはそれぞれ63%と32%に達する。両社を合わせると、国内取引活動の約95%を占めている。
Gopaxの取引量は依然として限定的だが、バイナンスの資本力とグローバルな流動性が加わることで、市場シェアの拡大がどこまで進むか注目されている。韓国市場は小口投資家の取引活動が活発であり、同社の戦略が今後の市場構造を左右する可能性もある。