ビットコイン(BTC)は、数週間ぶりに一時7万4000ドルを突破し、日中高値で7万4509ドル付近を記録した。今回の動きは週間で9%の上昇を意味し、3月初旬の6万3000ドル付近の安値から大幅な回復。
この上昇は、米国とイランの対立で株式や金が圧力を受ける中で発生し、BTCが地政学的な緊張下で「デジタル安全資産」として機能するという見方が再び浮上。BeInCryptoの取材に応じたアナリストらは、7万4000ドルが今回の反発がトレンド転換となるかを左右する水準と一致した。
7万4000ドルが分岐点に
Bitrueリサーチリードのアンドリ・ファウザン・アジイマ氏は、BeInCryptoに対し「BTCが50日移動平均線(MA)を再び上回り、モメンタム指標も好転しているとして、テクニカル面でも強い」と明かした。
今回の動きは、直近24時間で約3%の上昇をもたらし、大量のショートポジション解消や機関投資家による買い直しによって支えられた。
「見通しはやや上昇傾向。BTCが7万1000ドル超を維持し、高水準の出来高が続けば、7万4000~7万6000ドルの再試験が視野入り。グローバルなリスク選好が続けば、より長期的な高値目標も狙える」ビットルーのアンドリ・ファウザン・アジイマ氏
Capital.com上級金融アナリストのカイル・ロッダ氏は、より慎重な姿勢を示す。同氏は、強いドルにもかかわらずBTCが値持ちしていることが、アンチ法定通貨の特性が機能している証拠と評価。ただし、市場の構造として依然として売り方優勢と警告した。
「市場のリスク回避やドル高という危機的状況下でもBTCは驚異的な粘りを見せている。これはビットコインが本来備えるアンチ法定通貨の特性が輝いている状況。このような局面にこそBTCが強さを発揮するはず。ただ、全体的なトレンドは依然下落基調であり、構造は不穏だ。現在、7万4000ドル付近の重要な水準を再試験中であり、もしここを上抜ければ底打ちシナリオが強まる」カイル・ロッダ氏
両者の見解はいずれも7万4000ドルが分岐点であると一致する。これを維持すれば7万6000ドルが射程に入る。一方、ここを割り込めば、2026年に支配的だった下落トレンド継続を示す可能性。
流動性と機関投資家の資金流入が動きを後押し
一方、オンチェーンと機関投資家動向も現水準での需要持続を示唆。USDコイン(USDC)供給量は先週、過去最高の811億ドルに到達し、ステーブルコイン全体の供給も拡大。
イラン情勢の緊迫化を受け、国境を越えた流動性や資本移動を求めるユーザーがオンチェーンへ流入。これが新たな資金流入を暗号資産市場に呼び込む構図。
ビットコインETF(上場投資信託)は5営業日連続で資金流入。ブラックロックの現物ビットコインETF単体で、3週連続で17億5000万ドルの流入を記録。
マイケル・セイラーCEOが率いるストラテジー社も、STRC事業への注目拡大を背景にBTC買い増しを継続中。
市場全体の構図も変化。暗号資産の時価総額は2兆5000億ドル近辺まで伸長。イーサリアム(ETH)は今週14%高で2285ドルへ上昇し、アルトコインの値上がりを主導。一方ソラナ(SOL)は5%上昇し93ドル、XRPも回復ムードを見せた。
センチメントはパニックから慎重な参加へと転換。米・イラン対立の地政学的リスクプレミアムが薄れ、緊張緩和の兆しやリスクオンへのシフトでデジタル資産への回帰が進行。
7万5000ドルとガンマ・スクイーズの構図
オプションの建玉動向も次の一手の重要性を高める。BTC-27MAR26-75K-Cストライクでは約8000枚のコントラクトが建てられ、月末に向けて最大規模のオープン・インタレスト・クラスターの一つ。
7万5000ドルを明確に上抜ければガンマスクイーズを誘発し、ディーラーが近めのコールや現物のヘッジ買いを迫られて上昇が加速するおそれ。
ただし、7万4500ドルは目先の抵抗帯。直上には大量のショート清算ポジションが控える構図。
この展開には過去の事例がある。2022年のロシア・ウクライナ戦争初期局面では、BTCは約30%上昇したが、その後マクロ環境悪化で上昇分を失った。
その後、業界は成熟を遂げ、Clarity法案の可決の可能性が、4年前にはなかった規制面での追い風となる見込み。
暗号資産が四半期末にかけて株式市場と異なる動きを維持できるか、あるいはレンジ相場に戻るかは、今後数日間にBTCが7万4000ドルから7万5000ドルのゾーンをどう処理するかにかかっている。