戻る

企業のビットコイン保有が鈍化=マイナーはなぜ蓄積継続

author avatar

著者:
Kamina Bashir

editor avatar

編集:
Shigeki Mori

12日 12月 2025年 16:39 JST
Trusted-確かな情報源
  • 2025年10-12月期、企業のビットコイン購入が減少した。価格変動と損失が財務ポートフォリオに影響したためだ。
  • 11月の純増は約1万800BTCに減少する一方、マイナーは主要な蓄積主体として台頭している。
  • 困難がある中でも、マイナー保有のビットコインが企業の暗号資産導入の次段階に影響を与える可能性がある。
プロモーション

2025年第4四半期、企業によるビットコインの導入ペースが鈍化している。現在、上場企業の65%が取得価格を下回る水準でBTCを保有し、含み損を抱える状況だ。企業による購入ブームが減速する一方、ビットコインマイナーが最も粘り強い蓄積主体として台頭しつつある。

この動きは、企業財務に新たな局面を示している。四半期ごとの追加取得量は、過去1年で最低水準となる見通し。それにもかかわらず、マイナーは依然として上場市場におけるBTC保有の中核的役割を維持している。業務上の圧力や収益性低下に直面しつつも堅調だ。

Sponsored
Sponsored

企業の財務需要が市場変動で減少

ビットコイン(BTC)は11月に今年最大の月間下落を記録した。主要な暗号資産は月間で17.67%下落し、2025年に購入した多くの投資家が含み損に転じた。

デジタル資産財務を扱う企業も例外ではなかった。Bitcoin Treasuriesの「11月Corporate Bitcoin Adoption report」によれば、コストが把握可能な上場企業の65%が現時点の市場水準より高い価格でビットコインを取得していた。

その結果、これらの企業財務は含み損を計上している。なお、この推計は100社のサンプルデータを基にしている。

一方で、ここ数か月で需要も冷え込んでいる。レポートによれば、上場企業のビットコイントレジャリーは11月に合計1万2600BTC以上を新たに取得した。主要な保有先は、StrategyやStriveといった企業で、純増分の大半を占めた。

しかし、月間で約1800BTCの売却が相殺し、純増分は約1万800BTCとなった。

Sponsored
Sponsored

2025年11月にビットコイン保有を減らした企業も複数存在した。少なくとも5社が純売却を報告している。これはバランスシート管理や戦略的判断によるもの:

  • Sequans Communicationsは保有するビットコインの約3分の1、およそ970BTC(約100億円相当)を転換社債の債務削減のために売却した。
  • Kindly MDは367BTCをビットコイン関連企業への投資などの戦略投資に回した。
  • Genius Groupは事業資金強化のため62BTCを売却し、12月初旬に42BTCを再購入した。

「全体として、『夏の買い狂い』は明らかに落ち着きを見せているが、需要が消滅したわけではない。むしろ、上場企業は直近の購入分の消化やリスク再評価に伴い、ペースを落とし、より慎重な選択フェーズへと移行しているようだ」ピート・リッツォ氏は記した

レポートは、2025年第4四半期のビットコイン純増分が年末までに4万BTC前後となると見込んでいる。これは今年最も弱い四半期となり、2024年第3四半期と同水準となる見通し。

Sponsored
Sponsored

「この推計は直近2か月の実績と、Strategyが12月初旬時点で既に1万BTC以上を追加取得した事実に基づく。12月9日時点で、目標値との差は5000BTC以内となる見込みだ。」

BTC Accumulation Projection. Source: BitcoinTreasuries
BTC蓄積予測 出典:BitcoinTreasuries

マイナー、戦略的な企業の蓄積者として台頭

企業財務の買いが鈍化する中、ビットコインのマイナーが次の企業導入フェーズを主導する可能性がある。レポートは、マイニング企業が上場市場におけるBTC保有の基軸であることを指摘。11月の新規取得分の約5%と、上場企業全体のBTC残高の12%を担った。

Sponsored
Sponsored

同月、CangoとRiotはマイニングによってそれぞれ508BTCと37BTCを追加取得した。American Bitcoinは139BTCを取得。企業買いが減るなか、CangoとAmerican Bitcoinが11月の上場企業増加分トップ5に入った。

「マイナーの一部は自社でビットコインを生成するため、市場購入よりもエネルギーや運営コストを低く抑えられる場合がある。これがこの分野成長の中核要因となる可能性がある。マイナーはブロック生成を通じて現物市場よりも割安にBTCを取得できるため、バランスシートが企業導入を下支えする重要性が高まる。特に他の企業財務部門が買いを中断または鈍化させた場合に顕著だ」とリッツォ氏は指摘した。

この傾向は、テクニカル面で一定の緩和が見られるものの、マイニング経済が依然として圧迫されている局面で起きている。ハッシュプライス指数(1テラハッシュ・毎秒ごとの日次収益を示す指標)は7月以降低下し、11月下旬には34.8ドルの最安値を記録した。

しかし、その後は39.4ドル前後まで回復。マイニング難易度も緩やかに低下し、過去最高の155.97兆から6週間で148.2兆まで下がった。これは厳しいマージンと戦うマイナーに一定の救済となる。

ネットワーク状況がわずかに改善した一方で、収益性の課題は依然として続いている。BTC1枚当たりの平均現金コストは7万4600ドル、総コストは13万7800ドルに上った。

免責事項

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報に基づいて行う一切の行為については、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

スポンサード
スポンサード