トム・リー氏は最近、ビットコイン価格が2025年終了までに10万ドルを上回る可能性が残されていると述べた。ビットコインが横ばい推移を続け、勢いが鈍化している現状では、大胆な予測と言える。市場を見る限り、すぐに急騰する雰囲気はない。資金フローは弱まり、長期保有者も売却に動き、値動きも圧縮された状態。
しかし、トム・リー氏の予測を成立させうる道がビットコインには1つ残されている。新規買いではなく、ポジショニングが鍵となる。
Sponsored大口投資家と強気保有者が依然として逆風
CNBCで取り上げられたトム・リー氏のビットコイン価格予測の最初の問題点は、資金フローに起因する。
大口資金の流入・流出を示すチャイキン・マネーフロー(CMF)は依然として弱い。12月17日から23日にかけてビットコイン価格はじわじわ上昇したが、CMFは逆に低下傾向。これは弱気シグナルであり、価格が保たれているにもかかわらず、大口投資家がエクスポージャーを減らしていることを示す。
また、12月21日以降のCMFは急落し、200%超下落後に約68%の反発を見せた。反発は心強いが、CMFは依然としてゼロ未満。資金流入は強くなく、むしろ依然として弱い状態。
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2番目の逆風は長期保有者から生じている。彼らはこれまで歴史的に「早売り」ではなく「遅売り」してきたウォレットである。
直近1か月間、長期保有者の純ポジション変化は大きくマイナス圏にとどまっている。11月23日時点では、長期保有者による1日当たりの売却量はおよそ9万7800BTCだった。12月23日にはその数字が1日当たり約27万9000BTCにまで急増。185%の急増となった。
Sponsored Sponsoredこれは確信を持った保有者の大量な売り出しである。大口資金の資金フローと長期保有者双方がネガティブに傾くと、上昇の持続は難しくなる。
ビットコインが10万ドル到達する唯一の条件
こうした逆風下でも、ビットコインに道が残されていないわけではない。ただし、その道はありそうにない推進力に依拠する。
市場はショートポジションに大きく偏っている。
Sponsored直近30日間の清算マップを見ると、ショート清算レバレッジ累計は約34億1000万ドル。ロング清算レバレッジは21億4000万ドル付近。つまり全体の6割以上のレバレッジが価格下落に賭けられている。
買い圧力が弱い場合でも、過去のように強制清算を通じて価格上昇が起こりうる。要するに、ビットコインは新たな買い手を必要としない。ショート勢が間違うだけで十分。
急騰が発生すれば、ショートポジションが強制的に買い戻され、自動的な買いが発生する。その買い戻しによる連鎖で更なる清算も続く可能性がある。たとえ根本的な需要が弱くてもだ。
急速な上昇をもたらしうる現実的な仕組みはこのルートだけとも言える。また、ショートサイドの清算クラスターの最大集中ゾーンは、8万8390ドルから9万6070ドル付近に存在。ここにビットコイン価格が入る動きが出るか注目。
Sponsored Sponsoredトム・リー氏の予想を左右するビットコイン価格水準
ショートスクイーズ開始には、ビットコインが特定の価格帯を突破する必要がある。
第1のゾーンは9万1220ドル付近。この水準を明確に超えると、低レバレッジのショートポジションが清算され始め、短期的な勢いが上向く。
本当のトリガーは9万7820ドル近辺。この水準は11月中旬以降、何度も高値を抑えてきており、最もショート清算クラスターが密集している。ここを突破すれば、34億1000万ドルに及ぶショートレバレッジの大半が脅威にさらされる。
この連鎖が始まれば、ビットコインは急速に心理的節目となる10万380ドルに到達しうる。資金流入や長期保有者の支援がなくても可能である。ただし、そのシナリオにも明確な無効条件がある。
ビットコインが9万1220ドルを回復できず、横ばい推移を続ける場合、CMFの弱さと長期保有者の売り圧力が主導権を握る。この状況ではショートカバーは起きず、トム・リー氏のビットコイン価格予想の目標も到達困難。現時点でビットコインは売り圧力とレバレッジポジションの間に挟まれている。
この予測が左右されるのは、ショート勢がカバーを強いられるかどうかの一点だけ。