ビットコイン(BTC)が8日未明、9万ドルを割り込み、0〜7時にかけて急速な下落と自律反発を繰り返した。流動性が低い時間帯に、先物・オプションの調整、売買システムの自動売り、さらには大口ウォレット移動が重なり、価格変動が増幅した格好だ。市場ではFOMC前の金利観測や日本の金利上昇がリスク資産の重荷となっており、短期的な不安定さが続いている。
9万ドル割れが引き金 テクニカル要因が急落を加速
8日未明の相場では、ビットコインが重要な節目とされる9万ドルを下抜けたことで売りが加速した。サポートラインを割り込んだ瞬間、価格連動型アルゴリズムによる売り注文が連鎖し、レバレッジを用いたロングポジションの強制ロスカットも重なった。短時間で8万8000ドル台まで下押しした後には買い戻しも入り、上下数千ドルの乱高下が起きた。
直近では、米国の個人消費支出(PCE)インフレ指標とFOMCを控えるなか、暗号資産デリバティブ市場でリスク管理を目的としたポジション整理が続いていた。オプションの建玉が集中する価格帯と現物価格が接近していたことも、変動幅を拡大させた一因とされる。取引所別の板厚も十分ではなく、週末から週明けのアジア時間帯は相場が振れやすい状況が続いていた。
大口ウォレット移動が市場心理を刺激 SpaceX関連が話題に
相場急変時には、大口ウォレットの動向も注目を集めた。特に、SpaceX関連と推定されるアドレスが5日、1083BTC規模の移動を行ったことが、市場に追加の警戒感を生んだ。実際には売却を示す明確な証拠はなく、保管方法の変更とみられるが、地合いが弱い局面では投資家心理を冷やしやすい。
また、12月初旬以降のJGB(日本国債)利回り上昇により、市場では円キャリートレードの巻き戻し観測が広がり、株式や暗号資産を含むリスク資産全体に売りが入りやすい環境が続いている。11月の現物取引量は前月比で20%超減少したとされ、流動性低下が今回の価格変動の背景にあるとみられる。
戻り売り続く展開 決定材料待ちで不安定さ残る
ビットコインは9万ドル近辺を中心に方向感を欠く展開である。上値では複数回の戻り売りが確認されており、テクニカル面ではレジスタンスが意識されている。短期投資家による反発狙いの取引は続く一方、デリバティブ市場のポジション構築は慎重姿勢が強い。
年末にかけては、米金融政策の転換点、日本の金利動向、ETF流入額、そしてマクロ指標の強弱が焦点となる。市場専門家の間では、ビットコインが長期的な上昇基調を維持しつつも、流動性が薄い時間帯では今回のような急変動が発生しやすいとの見方がある。価格は当面、9万ドルの攻防が続き、外部要因の影響を受けやすい不安定な局面が続く見通しだ。