ビットコイン価格は木曜日、米国の最新インフレデータ発表を受けて小幅に上昇した。市場は連邦準備制度理事会(FRB)の今後の政策方針を見極めようと数値を注視している。
BTCはインフレやドルに影響するCPI(消費者物価指数)に敏感で、報告直後に一時11万4,034ドルまで上昇した。
米国CPIデータ:8月の年次インフレ率は2.9%
米労働省によると、8月のCPIは前年同月比+2.9%となり予想通り。7月の+2.7%から上昇した。
SponsoredCPIは消費者向けのインフレを示す重要指標である。一方、生産者物価指数(PPI)は8月に前年比+2.6%と予想の+3.3%を大きく下回り、予想外の低下を記録。貿易サービスマージンの縮小と商品価格の小幅上昇が要因だった。弱いPPIはFRBの利下げ観測を強め、株式や暗号資産などリスク資産のセンチメント改善につながった。
「最近の労働市場データは大幅に下方修正され、経済減速が鮮明になる中、このインフレ報告は9月FOMC前の最後の重要データとなり、利下げペースを左右するだろう」
—— ビトユニックスのアナリスト(CPI発表前、BeInCrypto取材)
FRBは来週の会合で25bpの利下げを行うとの見方が優勢。CME FedWatchによると、50bp利下げの可能性もわずかに織り込まれている。
暗号資産市場では、ビトユニックスのアナリストが「BTCは11万4,000ドル付近で大規模な清算圧力に直面しており、主要なレジスタンスゾーンを形成している」と警告。
「もしCPIがハト派的内容でBTCをこの水準超へ押し上げればショートスクイーズを誘発し、11万5,000ドル超の流動性ゾーンへ加速する可能性がある。一方、予想を上回るインフレはドル指数(DXY)を押し上げ、利下げ観測を後退させる。そうなれば11万1,000ドルが最初の重要サポートで、割れれば10万8,500〜10万9,000ドルのゾーン再テストも想定される」
アナリストはCPI発表前にポジション縮小を推奨。PPIの弱さは利下げ期待を支えるが、CPIは依然として市場の方向感を左右する要素となる。BTCのレジスタンス=11万4,000ドル、サポート=11万1,000ドルが焦点だ。
今回のインフレデータは、ビットコインの短期見通しに一層の複雑さを加えた。予想超のCPIはBTCなどリスク資産に下押し圧力を与え、米ドル高・金融引き締めを示唆。一方、CPIが鈍化すれば、来週の利下げ観測が強まり暗号資産市場の支援要因となる。