ビットコイン(BTC)は27日、9万ドル台に回復し、最近の下落局面から反発の動きを見せている。しかし、Coinbaseプレミアムの低迷とETF資金流出が続くなか、上昇トレンドへの本格回帰にはなお不透明感が残る。市場では「底打ち」の確信は広がっておらず、短期的な値動きは戻り売りと押し目買いが交錯する展開となっている。年末に向けた方向性は、機関投資家のセンチメント改善と流動性の回復が鍵を握る構図だ。
Sponsoredビットコイン価格、反発も機関投資家は慎重姿勢
ビットコインは一時的な反発局面を迎えたが、米国機関投資家の動向を映すCoinbaseプレミアム指数はマイナス圏にとどまり続けている。この状態は、需給構造が依然として弱いことを示唆するシグナルであり、価格上昇が持続的なトレンドに転じたとは言い難い状況である。
オンチェーン分析企業CryptoQuantのCEO、キ・ヨンジュ氏は22日、米機関投資家の心理について次のように指摘していた。
「米国の機関投資家のセンチメントが完全に回復したと言うには、まだ時期尚早。時間足ベースのCoinbaseプレミアムは依然としてマイナスのままだ」
同氏の見解は、市場が単なるテクニカル反発の段階にとどまっている可能性を示しており、投資家の過度な楽観を戒めている。
ビットコイン市場、センチメント悪化と流動性の低下
デリバティブ市場では、プットオプションの需要が高まり、先物オープンインタレストの回復にも鈍さが見られる。これは、短期的な価格下落に備える防御的なポジションが優勢であることを意味し、リスク回避姿勢が市場全体に広がっている状況だ。
Sponsoredまた、暗号資産全体のセンチメント指標は「極度の恐怖」(28日現在、18)が続いており、積極的なリスクテイクを控える投資家が増加している。アルトコイン市場も軟調で、資金がビットコインに集中する動きすら限定的となっている。
このように、市場心理と実需の両面で回復力に欠ける状況が続く限り、上値の重い相場展開が続く可能性は否定できない。
年末年始の反発には「条件」が必要
現時点でビットコインが年末〜年明けにかけて再び上昇トレンドに転じるためには、いくつかの条件が整う必要がある。まず、米国機関投資家による買い戻しでCoinbaseプレミアムがプラスに転じること。過去の上昇相場では、このプラス転換が価格のブレイクと連動していた。
次に、デリバティブ市場でのポジション調整、特に先物・オプション市場における過度なプット偏重の是正だ。オープンインタレストの回復、並びにコールの比率増加は、センチメント改善の先行指標となり得る。
最後に、マクロ経済環境の安定だ。米ドル為替、金利、株式市場の動きが暗号資産に与える影響は大きく、とりわけ年末ラリーの起点となるかは、リスクオン/オフのムードに左右されやすい。
まとめ
現在のビットコイン市場は、反発を見せながらも構造的な強さを欠いた過渡期にある。機関投資家の動向と流動性の改善が確認されない限り、本格的な強気転換とは判断しにくい。短期相場は引き続き不安定であり、投資家には冷静なリスク管理と段階的な戦略構築が求められる局面である。