国内暗号資産交換業者ビットトレードは25日、分散型台帳技術「Hedera(ヘデラ)」のネイティブトークン「HBAR」の取り扱いを同日正午から開始した。対象サービスはウェブおよびアプリを通じた出金と、販売所での購入・売却。今回の上場により、同社の販売所における取扱銘柄数は計48銘柄となった。
HBARは従来のブロックチェーンとは異なる独自のコンセンサスアルゴリズムを採用した分散型台帳プラットフォームのトークンであり、エンタープライズ用途での実用化が進んでいることから国内外で関心を集めている。現在の市場環境では下落トレンドが継続する一方、ビットコインを相対的にアウトパフォームしている点も注目されている。
HederaとHBARの技術的特徴
Hederaは、一般的なブロックチェーンが採用するチェーン型データ構造とは一線を画し、有向非巡回グラフ(DAG)を基盤とした独自の「ハッシュグラフコンセンサスアルゴリズム」を採用している。これにより、1秒あたり1万件以上のトランザクション処理(TPS)を実現するとともに、固定の低手数料と高いエネルギー効率(カーボンネガティブ認定)を両立する。こうした性能面での優位性が、企業向け用途への適性を高めている。HBARはこのネットワーク上でガス代(取引手数料)の支払いやネットワークのセキュリティ維持に用いられるネイティブトークンである。
大手企業が参加するガバナンス体制
Hederaの最大の特徴の一つが、「Hedera Governing Council」と呼ばれるガバナンス機構だ。GoogleやIBM、Boeing、野村ホールディングスなど世界的な大手企業・機関がメンバーとして参加し、ネットワークの運営・意思決定を担う分散型のガバナンス体制を構築している。こうした体制は、パブリック型の分散型台帳としては異例の信頼性と安定性を提供するものとして評価されており、エンタープライズ採用の加速につながっている。
HBARの価格動向:ビットコインを相対的にアウトパフォーム
HBARの取引価格は約0.095ドル(本稿執筆時点)で、年初来のパフォーマンスはマイナス13%程度にとどまっている。同期間のビットコインが約20%下落していることと比較すると、相対的な底堅さが際立つ。BeInCryptoの直近分析によれば、この差異の背景には3つの要因がある。まず、HBARを対象とした暗号資産ETFへの資金流入が毎月プラスを維持している点だ。月間流入額は2026年3月時点で約212万ドルと、ピーク時(4,439万ドル)から大幅に縮小しているものの、流出に転じた月はなく、一定の下値支持として機能している。
次にセンチメント面では、HBARへの強気度はピーク時から約57%低下したものの、ビットコインの下落率を大きく下回っており、相対的な信頼の維持を示す。さらにテクニカル面では、3月22日時点のデイリーチャートでRSI(相対力指数)が弱気な値動きに対してより高い水準を維持するという「強気ダイバージェンス」が観測された。同様のシグナルは3月14日にも現れており、その後HBARは約12%の反発を見せた経緯がある。一方、下値サポートは0.088ドル付近に位置しており、この水準を割り込んだ場合は0.072ドル方向への調整圧力が強まるとみられている。
実物資産トークン化など実用化が進展
実世界での採用事例も広がりを見せている。RWA(実物資産トークン化)分野では、英国の暗号資産取引所Archaxや金融大手Lloyd’s Banking Groupが大規模なプロジェクトを展開しているほか、サプライチェーン管理やデジタルID、決済システムなどの領域でも主要企業・機関による本格導入が相次いでいる。日本国内においては、野村ホールディングスがガバナンスカウンシルに参加していることもあり、国内機関投資家や企業からの関心も高まっている。ビットトレードは、こうした実用性を背景に国内投資家へのHederaエコシステムへのアクセス機会を提供するとしている。