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ビットコイン急落でDAT株が大幅下落―日銀利上げ観測が波及

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執筆&編集:
Shigeki Mori

02日 12月 2025年 10:11 JST
Trusted-確かな情報源
  • 日銀利上げ観測が強まり、金利ショックが暗号資産市場へ波及。BTCは8万4000ドル台まで急落し、DAT企業株が連動して大幅に下落した。
  • Stratage、KindlyMD、American Bitcoin、メタプラネットなど主要DAT銘柄で10%前後の下落が相次ぎ、暗号資産保有が財務指標に与える影響が市場で改めて意識された。
  • 12月は米ISM、雇用統計、FOMC、日銀会合など政策イベントが集中。Ash Crypto氏はDAT株のボラティリティを強気相場の前兆と指摘し、市場の見方が分かれている。
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12月1日の暗号資産市場では、ビットコイン(BTC)が一時8万4000ドル台まで下落し、デジタル資産トレジャリー(DAT)企業の株価が軒並み急落した。日本銀行の利上げ観測が強まり、金利上昇をきっかけとしたリスク回避が世界市場へ波及したことが背景にある。先物市場では大量のロング清算が発生し、DAT株とビットコインが同時に下落する展開となった。

日銀利上げ観測で市場が急変、BTCは8万4000ドル台へ

日銀総裁は1日、講演で「12月会合で利上げを適切に判断する」との考えを示した。このことが報じられ、市場では年内利上げを強く織り込んだ。新発2年国債利回りは約17年ぶりに1%台へ上昇し、円相場も155円台半ばまで円高方向へ振れた。金利上昇は株式をはじめとするリスク資産の調整を促し、この流れが暗号資産市場にも波及した。

ビットコインは前週末の9万ドル前後から下げを加速し、米国時間1日午前には8万4000ドル台を一時割り込む場面があった。この過程で先物・永久スワップでのロングポジションが大量に清算され、推計で6億ドル超に達した。価格下落と清算が連動し、短時間に流動性が縮む形となった。

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ビットコイン価格チャート24時間足:BeInCrypto

DAT株が急落=Stratage11%安、メタプラネット10%安など

急落場面で売りが集中したのが、暗号資産を財務資産として多く保有するデジタル資産トレジャリー(DAT)企業だった。米市場では、DAT銘柄のStratageが前日比約11%安となり、今年10月以来の安値圏に沈んだ。KindlyMDは9.9%安、American Bitcoinは6.7%安と、DATセクター全体が広範に値を崩した。

暗号資産関連企業にも売りが波及し、ソラナ関連のDeFi Developmentは14%超下落、Solana Companyは10%超安と大幅な調整となった。また、イーサリアム関連のBitMineも2桁安となり、暗号資産関連株の下げ幅は、基礎となるトークン価格の下落率を上回る動きが目立った。

日本市場でも、財務戦略としてビットコインを保有するメタプラネットは約10%安まで売られた。また、リミックスポイントは約2%安だったが、12月1日付で、Web3関連事業への12億円投資計画を中止すると発表した。DAT企業は暗号資産価格と株式市場の両方の影響を受ける構造があるため、今回のように金利ショックと暗号資産急落が重なる局面では下値リスクが高まりやすい。

メタプラネット株価:Yahoo Finance

DAT市場で取引所が開示精査を開始、12月の政策イベントが焦点に

12月1日の急落後、暗号資産関連株を扱う米主要取引所では、DAT企業の開示内容や資金調達手法を再確認する動きが広がっている。11月29日には、米ナスダック市場が Stratage、KindlyMD、American Bitcoin など複数のDAT企業に対し、保有暗号資産の評価方法や借入条件の開示精度を高めるよう求めたとの関係筋の話が伝わった。 価格変動リスクが直接企業価値に反映されるDATモデルの特性が、改めて議論の対象となっている。
12月は、3日の米ISM、4日のFRB議長発言、6日の米雇用統計、18日のFOMC、19日の日銀会合 と政策イベントが集中しており、市場は暗号資産と株式の双方でボラティリティが高まりやすい環境にある。

暗号資産アナリストのAsh Crypto氏は11月26日、「金利カット確率85%、QT終了、暗号資産市場構造法案の進展は不安要因ではなく回復の起爆剤だ。DAT関連株の下落はbear market入りではなく強気局面の始まりとみる」とXに投稿していた。

このように、警戒と強気が交錯しており、DAT企業の財務戦略や開示姿勢が投資家の評価を左右しやすい局面にある。暗号資産価格と政策イベントが重なる12月相場は、企業ごとの差異が一層鮮明になる可能性がある。

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