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コインベース元CTO、「暗号資産はシリコンバレー超え」

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編集:
Shigeki Mori

28日 1月 2026年 18:54 JST
  • バラジ氏は、課税や規制がシリコンバレーのベンチャーキャピタルモデルを崩壊させる恐れがあると警告した。
  • カリフォルニア州の富裕層課税は、スタートアップのリスクテイクやイノベーションの動機を脅かす。
  • 暗号資産ネットワークは、政治的・地理的リスクに強い分散型の後継基盤として台頭している。
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米シリコンバレーが築いてきた技術革新の中心地としての地位は、もはや盤石とは言えない。暗号資産取引所コインベースの元最高技術責任者(CTO)であるバラジ・スリニバサン氏は、政治リスクの高まりや政策環境の変化を背景に、同地域が今後10年で急速に競争力を失う可能性があると指摘する。

そのうえで、ブロックチェーンと暗号資産を基盤とする分散型ネットワークが、シリコンバレーに代わる新たなイノベーションの中核になるとの見方を示している。

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カリフォルニア大富豪税案、シリコンバレーが争点に

スリニバサン氏は、シリコンバレーの経済エンジンであるベンチャーキャピタルが、以下の要因によって機能不全に陥るシナリオを提示する。

同氏の主張の中心は、カリフォルニア州で提案されている「2026年ビリオネア課税法案」にある。この住民投票法案は、純資産10億ドル超の個人に対し、一度限り5パーセントの特別税を課す内容だ。

「シリコンバレーが文字通りゼロになる未来も、今後10年で起こり得る」と、スリニバサン氏は述べている。「後継となるのは中国とインターネット――すなわち中国のテック企業と、インターネット上の暗号資産プロトコルだ。これらはシリコンバレーにはない政治的な守りを内在させているからだ」

スリニバサン氏は、この課税がスタートアップ出資を支える「べき法則」的な経済の根幹を直接的に脅かすものだと主張する。ベンチャーキャピタルは、非常に稀な巨額リターンによって大半の失敗を補う構造に依存している。

億万長者誕生という見込みが消えれば、インセンティブの枠組みは崩壊する、と同氏は考える。

「億万長者になる見込みが失われれば、エンジェル投資も消え、シリコンバレーも消滅する」とスリニバサン氏は述べ、こうした措置が試みられるだけでもリスクテイクや初期投資への意欲を冷やしかねないと警告する。

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ベーカー・ボッツなどの法律事務所は、この法案には大幅な憲法上の問題があると指摘する。具体的には、休眠商業条項違反や遡及適用、財産権の侵害などが挙げられる。

それでもPwCは、このイニシアチブにより2026年11月に承認されれば最大で約10兆ドルを調達できると試算しており、法的な不確実性が残る中でも、テック富裕層への課税を求める政治的な機運が高まっていることを示している。

政治リスクが構造的課題へ

課税だけでなく、スリニバサン氏は、テック企業が依拠してきた政治的「プラットフォーム」が損なわれつつある現状を、OS(オペレーティングシステム)の機能不全になぞらえる。

同氏は、財産権や自社株報酬、ビザ、上場経路、AIや暗号資産といった新興技術への規制対応などで、不安定さが増している点を指摘する。

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コインベース元幹部は、今や敵対的な姿勢が政治の両サイドから噴出していると主張する。左派の一部からはテックは資本の集中・格差の象徴とみなされ、右派の一部からはグローバル化や文化的排除の象徴とされる。

この二重の圧力によって、業界は政治的に孤立することになるとスリニバサン氏は述べる。

一部の創業者はテキサスやマイアミ、ドバイ、シンガポールに移転しているが、大半の企業はカリフォルニアやデラウェア、ニューヨークに深く根付いており、同氏はこれらの州がテック集積に対してますます敵対的になっていると警告する。

暗号資産は「哺乳類」に

ただしスリニバサン氏は、テクノロジーの進歩そのものが終わるとはみていない。問題は、シリコンバレーの独占が終焉する点にある。

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同氏によれば、すでにテックは分散化に向かって動いている。ハードウェア製造は中国へとシフトし、ユニコーン企業は世界400都市超で活動している。オープンソースAIモデルの登場で、中央集権的な人材ハブへの依存も減っている。

同氏は、暗号資産はこの環境下で独自に成長できると主張する。従来のテック企業とは異なり、暗号資産プロトコルは世界中で運用され、特定の法域に縛られず、分散化によってレジリエンスを発揮するからだ。

スリニバサン氏は今を「絶滅イベント」に例える。シリコンバレーは恐竜に似ており、支配的だが脆弱だと述べる。

一方、暗号資産やインターネットを基盤とするネットワークは哺乳類のようなもので、小さく過小評価されがちだが、政治的なショックにも生き残れる構造だといえる。

カリフォルニアの富裕税案が2026年の住民投票へ向けて進むなか、問われるのはテック進化の存続可否ではなく、その「次の章」がどこでどのような形で描かれるか、という点である。

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