中国人民銀行は、2026年1月1日から施行される新たな枠組みの下、商業銀行が認証済みデジタル人民元ウォレット残高に利息を付与することを認める。
この動向は、当局が2025年末に暗号資産業界への規制強化を行い、ビットコインのマイニング活動や現実資産(RWA)トークン化を標的としたことを受けてのもの。
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中国人民銀行(PBoC)の副総裁、ルー・レイ氏は、この取り組みがデジタル人民元(e-CNY)の役割をデジタル現金からデジタル預金貨幣へと転換するものになると述べた。
分散型台帳技術で運用される暗号資産とは異なり、デジタル人民元は厳格な政府管理下でハイブリッド型アーキテクチャを採用している。この方式は、完全な分散化ではなく、拡張性や規制監督、運用効率を重視するもの。
「中央銀行はルールと基準を定め、基幹インフラも運用する。一方で、商業銀行はウォレットの開設、セキュリティ確保、決済サービス提供、コンプライアンス責任負担、そしてデジタル人民元への預金保険適用を担う。非銀行の決済機関は、顧客の銀行預金から交換されたデジタル人民元を提供し、全額準備管理の対象となる」と同総裁は 記している。
今回の変更は、新たに公表されたアクションプランで明示された。ルー氏は、今回の仕組みが約10年にわたる研究や実証実験から得られた教訓を反映したものと述べた。
中国は利息付きデジタル人民元ウォレットを導入することで、採用拡大と金融の安定、中央銀行による管理の維持を 狙う。
Sponsored「新たな出発点に立ち、2層構造に基づくデジタル人民元は、原則を堅持しつつもイノベーションを推進し、実体経済に貢献し、リスクを効果的に防ぎ、デジタル現金や電子決済からデジタル通貨・デジタル決済へと着実に前進することで、強い通貨構築への技術的原動力を注ぎ、強靭な金融国家の現代的通貨基盤を築いていく」と訳文には記されている。
利用データによれば、この資産は大きな普及を示している。ルー氏は、2025年11月末時点でデジタル人民元による取引件数が34億8000万件、累計取引額は16兆7000億元(2兆3800億ドル)に達したと強調した。
マルチCBDCブリッジ(mBridge)を通じては4047件のクロスボーダー決済が行われ、累計取引額は3872億元(542億1000万ドル)相当。そのうち、約95.3%がデジタル人民元による取引だった。
中国の暗号資産規制強化
一方で、中国がCBDC推進を進める背後には、暗号資産に厳しい姿勢を取る動きがある。12月16日、当局は新疆ウイグル自治区で40万台を超えるビットコインのマイニングマシンを 停止。同国のマイニング支配力を踏まえ、ネットワークの ハッシュレートにも影響を与えた。
2021年のマイニング禁止にもかかわらず、中国は2025年10月時点で世界のビットコインハッシュレートの約14%を占めていた。ただし、12月の大規模な一斉停止措置は、当局の禁止措置を徹底する決意を示した格好。
今月初めには中国の主要な金融業界団体7団体が 共同で警告を発出。これにより、機関が 現実資産トークン化に関与することが禁止された。
中央銀行はステーブルコインについても懸念を表明している。PBoCは、ステーブルコインが顧客本人確認やマネーロンダリング対策の要件を 満たしていないと指摘した。
規制当局によれば、こうした欠陥がステーブルコインをマネーロンダリングや違法資金調達、無認可の越境資金移動に悪用されるリスクを高める。
中国が利息付きデジタル人民元の革新と一方で厳しい暗号資産規制とを組み合わせる背景には、通貨主権と金融統制の防衛戦略がある。2026年施行の新枠組みを前に、この方策がCBDC採用促進と無規制な暗号資産活動の抑制を両立できるか注目される。