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修正CLARITY法案に業界反発=暗号資産の真の受益者は誰か

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編集:
Shigeki Mori

14日 1月 2026年 10:58 JST
  • CLARITY法は、コンプライアンスコストを引き上げ、資本力のある大手暗号資産業者を優遇する。
  • 義務的な監視体制の強化により、コインベースやサークル、チェイナリシスなどの企業が成長している。
  • DeFiや小規模開発者は法的不確実性に直面し、市場撤退の可能性もある。
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米議会で検討が進む暗号資産の市場構造を定める超党派法案「CLARITY法案」の修正版全文が12日に公表された。だが、規制の明確化を期待していた暗号資産業界からは、失望や警戒の声が相次いでいる。とりわけ、銀行業界の影響力が色濃く反映された内容だとの批判が強まっている。

一方で、こうした構図を単なる銀行対暗号資産の対立とみる見方には異論もある。修正法案の下で実質的な恩恵を受けるのは、業界全体の利益を代弁するとされてきた一部の大手暗号資産企業ではないかとの指摘が浮上しており、規制を巡る業界内の力学が改めて問われている。

暗号資産業界、278ページ提案書に反応

数か月にわたる交渉の末、上院銀行委員会のティム・スコット委員長が協議を重ねた法案の全文を公開。CLARITY法案が成立に一歩近づき、デジタル資産市場向けの明確な規則の策定が目指されている。

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「この法案は、委員会で何か月も真摯に重ねた作業、意見、懸念を反映したものだ。米国民が求める保護と確実性を与える内容である」とスコット委員長は声明で述べた。

祝賀ムードとなるはずだったが、影響力のある関係者が278ページに及ぶ提案内容を精査する中で、すぐに反発が広がった。

初期の批判は、銀行業界の利益を優先する条項に集中。暗号資産が従来のシェアを浸食する懸念をめぐり、暗号業界とは長く対立してきた歴史がある。

議論は主にステーブルコイン利回りを扱う部分に移った。最新版の案では、企業が単に残高を保持するだけで金利を支払うことや、報酬提供範囲に制限が加えられている。

しかし、もしこのまま法案が可決された場合、すべての暗号資産企業が悪影響を受けるわけではない。

規模の大きい既存の暗号資産大手は最も恩恵を受ける立場にあり、中小の参加者が新たな規制枠組みにどう位置付けられるか、疑問が残る。

大手暗号資産企業に有利な現行案の理由

現行案で誰が最も恩恵を受けるのかを探るべく、BeInCryptoは長年暗号資産分野で起業し規制を批判してきたアーロン・デイ氏にインタビューを行った。

法案の採択により、大幅なコンプライアンス義務が導入される。

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リアルタイム取引監視の導入、登録要件の拡大、適格カストディアンの義務化など、これらの措置は米国の暗号資産市場で事業を行う際のコストを大幅に押し上げる。

そのため、デイ氏は、既存の暗号資産大手だけがこうした初期負担に耐えられると指摘。中小や新規参入企業は最初から構造的な不利を背負うことになる。

「これはコインベースが既に持つインフラであり、ガレージスタートアップでは到底賄えない。コインベースは何年もかけて規制当局との関係構築に莫大な資金を投じてきた。この法案は彼らの競争優位を法律として認めるものだ」とデイ氏はBeInCryptoに語った。

デイ氏は同様に、サークル社も恩恵を受けると指摘。同氏によれば、法案のステーブルコイン条項は、規制下で運用される既存の発行者に有利に働く。このため、USDCの発行元は法案成立時に最大の利益を享受する可能性が高い。

一方で、提案には取引監視の義務化も含まれている。この規則により、すべての取引所はリアルタイム監視を導入しなければならない。

「チェイナリシスが勝利する。監視義務化により、彼らのブロックチェーン分析ツールへの需要が永久的に生じた。すべての取引所がチェイナリシスの製品を必要とする。これは陰謀論ではなく、規制による市場支配の典型例だ」とデイ氏は補足した。

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同氏は、このような構図は「規制枠組みが既存の権力構造を維持し、打破するのではなく強化するというより大きなパターン」の一端であると強調する。

「既存勢力が規則作りに関与する。結果としてその規則が既存勢力を有利にする。」

そのため、小規模な事業者は厳しい選択を迫られる。分散型金融(DeFi)が最も影響を受けやすい分野と見られる。

承認不要金融に政府の許可が必要な時

デイ氏によれば、小規模取引所はコンプライアンス対応に多額を投じるか、市場から撤退を余儀なくされることになる。

DeFiについては、法案内で初めて、プロトコル開発者に連邦規制当局への登録を求める文言が盛り込まれている。これにより開発者は中立的なソフトウェア制作者としてではなく、規制対象の事業者として扱われることになる。

「DeFiの本質は、誰もが承認なしに構築や参加できる点にあった。スマートコントラクトを展開するのに政府の承認が必要ならば、DeFiの本来の面白さは失われてしまう」とデイ氏はBeInCryptoに語る。

法案はDeFi自体を直接禁止しているわけではないが、デイ氏は十分な法的不確実性が生まれるため、米国の開発者が国外で開発する動きが広がる可能性を指摘する。

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この提案の中で最も衝撃的なのは、サトシ・ナカモト氏によるビットコイン本来の理念と正面から対立する点かもしれない。

ビットコインのサイファーパンク理念に揺らぎ

ビットコインはもともとピア・ツー・ピア型の電子現金システムとして、信頼できる仲介者不要の世界を追求する理念の下で設計された。

ナカモト氏の匿名性とビットコインのサイファーパンク的な起源は、金融プライバシーの重要性を二次的な要素ではなく、中核的な原則として強調している。

「すべての取引が監視され、報告され、場合によっては海外の規制当局と共有されるようになれば、従来の銀行システムの監視体制をブロックチェーン上に再構築したことになる。技術だけを残し、哲学を捨て去ったと言える」とデイ氏は述べている。

同氏は、ビットコインコミュニティの反応も分かれる可能性があると示唆した。

一部は、ビットコインは依然として影響を受けていないと主張するだろう。利用者は今でも自己管理で資産を保有でき、自分でノードを運用できる。しかし、特に多くの利用者がビットコインにアクセスする中央集権型取引所などのオン・オフランプは、完全に規制当局の管理下に置かれることになる。

その結果、ビットコインの利用は従来の銀行口座の利用にますます近づく。

「私は原則として規制に反対しているわけではない。既得権益者によって設計され、既得権益者を利するような規制に反対する。その規制が消費者保護を謳って世間に売り込まれるからだ。このパターンは産業や政権を問わず繰り返される。両党とも参加しているのは、どちらも同じ利権から資金提供を受けているためだ」とデイ氏は結論付けている。

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