シルバー(XAG)市場は29日、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がわずか2週間で2度目となる証拠金の引き上げを実施すると発表し、重大な局面を迎えている。
取引所は2026年3月限シルバー先物の初期証拠金を約2万5000ドルに引き上げた。今月初めは2万ドルだったため、レバレッジ取引を行うトレーダーへの負担が一段と重くなっている。現在、価格は数年来の高値圏にある。
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この決定は、シルバーの上昇が過熱しているのか、それとも構造的な供給ひっ迫や国際的な資金移動によって生じたボラティリティの高い持ち合い相場に入っただけなのか激しい議論を呼んでいる。
暗号資産投資家でマクロアナリストのQinbafrank氏は、CMEの今回の措置によって1980年と2011年の2度の歴史的なシルバー高騰期が再び想起されていると警告した。
両ケースとも、急激な証拠金引き上げが大相場のピーク付近で実施され、強制的なレバレッジ解消を引き起こした。
- 2011年、シルバーは8.50ドルから50ドルまで急騰した。ゼロ金利政策と量的緩和、ヨーロッパの債務危機が背景となった。
価格がピークに達すると、CMEは9日間で証拠金を5回引き上げた。結果的にレバレッジをかけた投資資金が先物市場から撤退し、シルバー価格は数週間で約30%急落した。
- 1980年はさらに深刻だった。ハント兄弟が2億オンス以上のシルバーを保有し、先物を利用して価格を50ドル近くまで押し上げた。
CMEの「シルバールール7」導入により、レバレッジが実質的に排除され、ポール・ボルカー氏の金利引き上げと重なって相場は崩壊。ハント兄弟は破産した。
今回の介入は過去ほど急進的ではないが、Qinbafrank氏は、証拠金引き上げは依然として市場からレバレッジを奪うものであり、トレーダーに追加資金の拠出やポジション解消を強いる結果になると警鐘を鳴らす。
現物とペーパー市場の乖離拡大
投機主導だった過去の相場と異なり、現状のシルバー上昇は実物供給が逼迫していることが背景にある。世界の精錬済みシルバーの6〜7割を占める中国は、2026年1月1日からシルバーの輸出許可制を導入する計画を持つ。
この新制度では、海外向け販売は大手の国有認証企業に限定される。COMEXの在庫はこの5年で約7割減少したと伝えられ、中国国内のシルバー在庫も過去10年の最低水準付近にある。
Sponsoredアナリストらは指摘する。こうした要因により、ペーパーシルバーと現物との価格乖離が拡大し、シルバースワップレートも大幅なマイナスとなっている。投資家は現物の引き渡しをより強く求めている。
需給の歪みが顕著となり、中国唯一のシルバーファンドは先日、ファンド基準価額を大幅に上回る市場価格の高騰を受け、新規リテール流入を停止した。
この現象は、本質的な供給制約に投機的な過熱が重なる状況を浮き彫りにしている。
産業需要が強気相場を後押し、ただし限界も
シルバーは電気自動車、生成AIチップ、太陽光パネルへの利用拡大で需要を支えている。太陽光関連だけで年間消費量の大きな割合を占めている。
Sponsored Sponsoredしかし、アナリストは1オンスあたり134ドルに近い水準では、太陽光業界の営業利益がすべて吹き飛び、導入ペースも鈍化する恐れがあると警告する。
同時に、現物の裏付けが乏しいまま先物市場が膨張し、限られた現物供給を背景に先物買いが殺到している、いわゆる先物逼迫に近い状況との批判もある。
29日(月)の証拠金引き上げ施行にあわせて、ヘッジファンドは年末のポートフォリオ調整期に突入する。コモディティ指数のリバランスや市場全体のボラティリティ上昇にも注意が必要だ。
レバレッジ売りが現物買いを上回り強制清算を呼ぶのか、あるいは過剰投機の一掃にとどまるのか――この結果がシルバーの次なる主要動向を左右する。
こうしたCMEによる証拠金引き上げを前に、シルバーは歴史、レバレッジ、現物の希少性が交差する分岐点にある。今後数回の取引は、市場参加者双方にとって極めて重要な局面といえる。