暗号資産（仮想通貨）への資金流入が数週間にわたり増加を続け、7月の累計流入額は112億ドルに達した。同流入の主役はイーサリアム（ETH）であり、アルトコインの流入がビットコイン（BTC）を上回る展開となった。ビットコインは逆に大規模な資金流出を記録した。
イーサリアムが暗号資産流入を牽引、アルトコインETFの憶測高まる
CoinSharesが公表した最新のレポートによれば、先週の暗号資産市場への資金流入額は19億800万ドルに達し、前週（7月19日終了週）の10億4900万ドルから大幅に増加。
今回の特徴はビットコインの動きが市場のトレンドに逆行し、1億7500万ドルの資金流出を記録したことだ。一方、イーサリアムは先週、15億9400万ドルもの流入を記録して市場をリードした。
CoinSharesのリサーチ責任者ジェームズ・バターフィルは、これをイーサリアムの過去2番目に大きな週と記録し、年初来（YTD）の流入が2024年の合計を上回ったと述べている。
イーサリアムは先週15億9000万ドルの流入で際立ち、過去2番目に強い週となった。年初来のイーサリアムへの流入は現在77億9000万ドルに達し、昨年の合計を上回った
ジェームズ・バターフィル｜CoinSharesリサーチ責任者
バターフィル氏はまた、ビットコインが広範なアルトコインのトレンドから明確に逸脱していることを指摘。ソラナ（SOL）やXRPへの資金流入が顕著に強まっている点に注目した。
「これにより、我々がアルトコインシーズンに突入しているのかどうかという疑問が生じた…これらのアルトコインの流入は、広範な熱狂によるものではなく、潜在的な米国ETFの立ち上げに対する期待によるものかもしれない」とレポートは付け加えている。
さらにイーサリアムへの顕著な資金流入は、同通貨の10周年を控え、機関投資家からの関心が高まったことによるものである。最近では、Bit Digitalが10億ドル規模のETH取得を発表したほか、ブラックロックのデジタル資産担当責任者がイーサリアム財務会社SharpLink Gamingに移籍するため退職するなどの動きも出ている。
市場の回転が加速する中、イーサリアムが機関投資家の人気に
こうした中、ブラックロックのイーサリアムETFの流入への資金流入は、同社のビットコインETF（IBIT）を先週初めて上回った。
SideShift.aiのアンドレアス・ブレッケンCEOはBeInCryptoの取材に対し、「イーサリアムの好調なパフォーマンスは、機関投資家からの信頼が急速に高まったことが背景にある」とコメント。
また、MEXCリサーチの主任アナリスト、ショーン・ヤング氏は、イーサリアムの価格が4000ドルに迫り、上昇の勢いが増していることを指摘。ブレッケンと同様に、ヤングは強い機関投資家の需要と好ましいマクロ環境を挙げている。同氏は「米国の現物型ETH ETFには、16日連続で累計50億ドルを超える資金が流入しており、イーサリアムがオンチェーン金融インフラの基盤としてますます注目されていることの表れだ」と強調した。
「この成長は、イーサリアムのユーティリティ、持続可能性、長期的な持続力に対する確信の高まりを反映しており、特にトークン化、ステーブルコイン、オンチェーン決済での使用によるものだ」とヤングはBeInCryptoに共有された声明で述べた。
同氏は最近の市場の価格調整にもかかわらず、ETHの相対的な回復力、暗号資産市場における支配力の拡大、ビットコインからアルトコインへの資金移動の中心的役割を強調している。
テクニカルな観点からも、イーサリアムは現在重要なサポート水準を維持しており、市場全体のセンチメントが改善していることを示唆している。ヤング氏は米国のGDPおよびFOMCの動向次第で、市場がリスクオンの流れになれば、ETH価格が4500ドルに達する可能性があると指摘する一方、マクロ経済が悪化すれば3300ドルまで下落するリスクもあるとしている。
「インフレデータの緩和やFRBのハト派的な言葉は、利上げサイクルが終わりに近づいているという見方を強化し、通常は暗号資産セクターに大きな利益をもたらす市場全体のリスクオンシフトを引き起こす可能性がある」と同氏は述べた。
本稿執筆時点で、イーサリアムは3886ドルで取引されており、過去24時間で3%以上上昇している。
それにもかかわらず、ETFの採用が加速し、ETHが機関投資家のポートフォリオで占める割合が増えていることで、イーサリアムは次の暗号資産市場の拡大局面における主導的な役割を固めつつある。
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