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政府・与党、暗号資産利益に一律20%課税で調整=金融庁・JCBAなどの提案実現へ

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執筆&編集:
Shigeki Mori

02日 12月 2025年 08:40 JST
  • 政府・与党が20%分離課税と投信解禁を協議
  • 金融庁やJCBAが2022年以降継続して制度改善を要望
  • 年末の税制改正大綱で明記される可能性が濃厚
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自民党および日本維新の会の与党および政府は1日、暗号資産取引で得た利益に対し、一律20%の申告分離課税を導入する方向で調整に入った。現在の総合課税方式では最大55%の税率が適用されるが、制度を株式や投資信託に近づける狙いがある。複数の関係者によれば、年末の税制改正大綱に盛り込む案が有力視される。

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暗号資産課税20%案、投信解禁と併せ調整進む

政府・与党は、デジタル資産取引の課税方式を現行の総合課税から申告分離課税へ切り替える方向で議論している。日本経済新聞などの報道によれば、新制度の税率は株式や投資信託と同じく所得税15%と個人住民税5%を合わせて一律20%とする案が軸になっている。

現在は累進税率により最大55%が適用され、税負担の不透明感が個人投資家の取引環境を左右してきた経緯がある。このため、市場の整合性確保や制度の国際的な競争力向上を目的に、与党税制調査会では年末の大綱取りまとめに向けた調整が続いている。

また、税制改正に合わせて、暗号資産を組み入れた投資信託(投信)の国内解禁が視野に入っているとされ、金融商品としての位置付けを株式や債券と並べる構想も浮上している。これにより、運用商品の多様化や、国内プレーヤーによる投資ビークル整備が加速するとの見方が強まっている。

一方で、損益計算や取引所の報告義務といった実務面の設計が残されており、関係省庁は今後、詳細な制度案の詰めを急ぐ構えだ

業界団体の要望が後押し、制度見直しが加速

今回の方針の背景には、金融庁と業界団体が過去数年にわたり制度改正を求めてきた経緯がある。まず金融庁は、2022年8月の令和5年度税制改正要望で法人の期末時価評価課税の見直しを提示し、2023年12月には与党税制改正大綱に同制度の緩和が明記された。さらに、24年8月の令和6年度税制改正要望では個人のデジタル資産取引について分離課税化の検討を正式に提起し、国際比較に遅れが生じている点を課題として示した。

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業界側でも、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は22年7月から毎年、税制改善要望書を政府・与党に提出しており、個人の最大55%課税が「投資流出の主要因」として繰り返し指摘されてきた。とりわけ2024年7月提出の要望書では、20%分離課税への転換、損失繰越制度の導入、さらに投信解禁を含む金融商品の整備を提案。これと歩調を合わせ、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も同年、取引所の税務報告体制の標準化が必要だとする改善案を公表し、投資家保護の観点から制度の明確化を求めた。

こうした提言が積み重なった結果、政府・与党内ではデジタル資産を長期的な資産形成の選択肢として扱うべきだとの認識が広がり、税制改正作業の最終盤で分離課税案が本格的に大綱入りへと進む形となった。

今回の動きは、政権与党である自民党が続けてきた増税姿勢を明確に反転させたエポックの1つとも言える。「減税」を掲げてきた野党への波及効果も大きそうだ。そんな中、これまで「仮想通貨」「暗号資産」「暗号通貨」など呼称の統一性がなかった暗号資産(金融庁が掲げている総称)に国民民主党の玉木雄一郎代表は「デジタル資産」という新たな総称を提案している。

今後の市場・業界の動きと展望

直近では、国内10年国債利回りが約1.35%まで上昇し、円金利急騰に伴う投資家のリスク資産削減が進み、世界で暗号資産の大規模清算(約640億ドル規模)が発生した。国内でも、証券会社を中心にビットコイン先物の担保証拠金の引き上げや、主要取引所による未決済ポジション調整が見られた。

こうした環境下で20%分離課税が実現すれば、税負担の予見可能性が高まり、SBI VCトレードやbitFlyerのような大手が計画する機関投資家向けカストディ事業やOTC取引の需要拡大が見込まれる。さらに、投資信託の解禁が進めば、すでに下地を整えている運用会社(SBIアセット、野村アセット等)が暗号資産型の私募ファンドから公募投信へと商品化を進める可能性が高い。

海外では米国でビットコインETFが機関マネーを呼び込んだ前例があり、日本でも同様に“運用商品を通じた市場参加”が主流化するとの見方が強まっている。

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