暗号資産市場は依然としてFOMC直後の圧力下。本年3回目となる米連邦準備制度理事会(FRB)の25ベーシスポイント利下げが実施されたが、その後の声明は予想以上に慎重なトーンであった。インフレリスクや成長鈍化のシグナルにより、主要資産ほとんどで価格の弱含みが継続。それでも一部のクジラが静かに買い増しを進めている。
彼らの買いが集中しているのは、反転やブレイクアウト兆候が見られる3つのトークン。
Sponsoredアスター(ASTER)
アスター(ASTER)の価格は直近24時間で約4%下落。月間ベースの損失も14%に拡大している。しかしクジラは逆の動きを見せている。
クジラの保有量は1日で7.35%増加し、約459万ASTERを新たに追加。現在価格ではおよそ422万ドル相当。注目すべきは、FOMC決定前後の双方でASTERがクジラに買われている稀有なコインである点。
この買いが目立つのは、チャート上にクジラが参入した理由を説明しうるテクニカルパターンが示現しているため。
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11月3日から12月11日にかけて、ASTER価格は高値圏での下値切り上げ、RSI(相対力指数)は下値更新を記録。RSIは買いと売りの強さを示す指標。価格上昇でもRSIが下落すると、隠れた上昇傾向のダイバージェンスが発生。これはチャート上で売り圧力が薄れていることを示し、表面上は弱い地合いでも反転のシグナルとなることが多い。
ASTERは11月3日から12月1日にも同じパターンを形成。これにより、当時22%近い上昇を記録した。今回も同様の状況で、クジラは再び反発を狙った買いを入れている可能性がある。
上方向への継続には、1.08ドルの水準で日足を明確にクローズする必要がある。直近反発が止まった水準。ここを突破できれば1.25ドル、1.40ドルの主要なレジスタンス到達も視野。
逆に構造が崩れた場合、下落リスクも明確。0.88ドルで日足を割ってクローズすると、上昇構造が崩壊しクジラの強気姿勢が揺らぐ。その水準を割れば0.81ドルまで再下落、さらに下値リスクも考えられる。
メープルファイナンス(SYRUP)
メープル・ファイナンス(SYRUP)は直近24時間で約2.2%の下落。過去1か月の下落率は約40%に達する。この弱気地合いでもクジラの買い増しが継続中。通常クジラウォレットは1日で3.86%増加、メガクジラは4.9%増の計11億SYRUPに。
この4.9%増は、メガクジラが5140万SYRUP(約1440万ドル相当)を新規取得したことを示す。FOMC後のややタカ派的トーン直後の積極買いは注目に値する。
クジラは0.23ドルのサポートが維持されると見込んでいる様子。12月上旬以降、同水準を複数回試したが一度も割れず、これが新規買いの理由かもしれない。トークンは0.23〜0.31ドルの広めのレンジで推移し、直近サポートテストは12月4日に実施された。
モメンタムは短期的な上昇材料。12月9日から11日にかけ価格は下値切り下げ、RSIは下値切り上げとなった。RSIは売買の強さを測る指標。価格下落中にRSIが上昇する場合、強気のダイバージェンスが発生。短い時間軸では全体が下落局面でも反発を示唆することがある。
反発が起きれば、当面のターゲットは0.31ドル。12月6日以来すべての上昇を跳ね返してきた上限。ここを明確に突破できれば0.39ドル、0.48ドルが視野に。
ただしSYRUPが0.23ドルを割り込めば、クジラの強気姿勢も後退。ブレイクダウンの場合は下落余地が広がり、チャート構造もリセットされる可能性。
Sponsored Sponsoredパジー・ペンギンズ(PENGU)
Pudgy Penguinsは過去24時間で約10%下落したが、クジラは依然としてこの押し目で買い続けている。クジラの保有ウォレットは5.25%増加し、合計で11億8000万PENGUを保有するようになった。これは、クジラによる新規追加分が約5890万PENGUとなる。
トップ100アドレス、いわゆるメガクジラも着実な買い増しを見せた。保有量は1日で2.85%増加し、合計で769億5000万PENGUに到達。これは約21億3000万トークンの増加であり、本日価格換算で約2130万ドル相当となる。2桁の下落を記録した直後のトークンで、こうしたクジラとメガクジラの同時買いは珍しい。
PENGUの価格チャートは、クジラがなぜ買い増しを続けているかを示している。Pudgy Penguinsは日足で逆三尊パターンを形成中。この形は、下落トレンドの圧力が弱まった際に現れる上昇反転の典型。ネックラインは0.014ドル付近にあり、上向きに傾斜しているため、ブレイク前から買い手優位の構造強化を示唆する。
クジラはこのブレイクアウトに賭けている可能性が高い。PENGUが0.014ドルを終値で超えれば、パターンの高さから約35%の上昇が見込まれ、上値目標は0.019ドル付近となる。このため、大口ウォレットは価格が弱含みでも参入しているとみられる。
ただし、このパターンには明確な無効化水準がある。Pudgy Penguinsが0.010ドルを割り込むと、セットアップは弱まる。0.009ドルを下回れば完全にパターンが崩れ、強気シナリオは消滅。現時点では0.010ドル以上を維持している限り逆三尊は機能し、クジラはブレイクアウトに備えている状況。