国内デジタル証券プラットフォームのProgmatが5日、2026年のデジタル証券市場の展望を発表した。デジタル証券の案件残高は1兆円を突破し、累計案件数も100件を超える見通しだ。投資信託のトークン化や株式のトークン化など、従来の資本市場とDeFiの融合が本格化する。独立系事業者の参入も加速し、市場は新たな成長フェーズに入るという。
2026年に案件残高1兆円突破へ
Progmatが1月5日に公開した「デジタル証券マーケットアウトルック2026」によると、2025年末時点でデジタル証券の案件残高は5,831億円超、発行累計額は3,003億円に達した。2026年にはこれが案件残高1兆531億円超、発行累計額5,225億円超まで拡大する見込みだ。
新規案件組成額は4,732億円超と前年比144%の成長が見込まれる。新規発行額も2,222億円と前年比145%に達する。案件累計数は110件となり、新規案件数は35件と前年の24件から146%増加する計算だ。同社の試算では、投資信託のトークン化や株式のトークン化といった資本市場の中核商品がデジタル証券化される動きが本格化するという。
市場の拡大を牽引するのは不動産デジタル証券である。ケネディクスや三井物産デジタル・アセットマネジメント、外資系大手のKJRマネジメントといった大手アセットマネージャーによる大型案件の組成が進んでいる。2025年には5社が新規参入した。債券デジタル証券も案件数ベースで増加傾向にある。三菱UFJフィナンシャル・グループが自社グループの証券会社参入を兼ねて発行したほか、個人投資家向け起債も増えている。
資本市場とDeFiの融合が加速
2026年の焦点は資本市場の本流とDeFiの融合である。米国債のトークン化実証が外的刺激となり、公債領域でも動きが出る可能性がある。投資信託については、Progmatが2025年10月にステーブルコインと連携したオンチェーン完結型デジタル証券の検討結果を発表し、12月にはトークン化投資信託の商品化に向けた協業を開始している。
株式のトークン化についても、同社は2025年11月にトークン化株式およびトークン化法の共同検討を開始した。既存インフラが強固な中で、トークン化する実需の特定が課題となるが、2026年中に1号案件の発行が期待される。金額的なインパクトは限定的ながら、将来のポテンシャルは大きい。
規制面では、暗号資産の金融商品取引法規制への移行を踏まえ、デジタル証券もオンチェーン領域まで拡張するための論点整理が本格化する。不動産クラウドファンディング業界の課題解決策として、デジタル証券への参入が続く見通しだ。実際、2025年の新規参入5社のうち3社は、案件組成から販売まで自社グループで実施する独立系事業者だった。
プラットフォーム競争とエコシステム拡大
販売チャネルでは大手証券会社と独立系事業者の役割分担が明確化している。大和証券を筆頭とする大手証券4社が大型案件を選別して取り扱い、新規発行金額を牽引する。一方、自社グループで組成から販売まで一気通貫で実行できる独立系事業者が案件数の底上げに貢献する構図だ。2025年には証券会社として5社が新規参入し、うち3社は独立系事業者だった。
原簿管理者では三菱UFJ信託銀行がトップシェアを維持している。大型案件の複数受託により新規受託金額が大きく伸長した。2025年に4社が新規参入し、うち3社は独立系事業者だった。プラットフォーム競争では、Progmatが年間新規発行額を大きく伸ばしトップシェアを維持している。同社によると、公開済みデジタル証券案件取扱件数41件、取扱金額1,923億円超の実績を持つ。2025年の年間新規発行額は1,219億円と全体の約8割を占めた。
デジタル証券市場は2026年、案件残高1兆円超、累計案件数100件超という節目を迎える。資本市場の中核商品のトークン化、DeFiとの融合、独立系事業者の台頭により、市場は量的拡大と質的深化を同時に進める段階に入った。