イーサリアムの需給環境に変化の兆しが出てきた。2025年秋以降、アンステーキングによる売り圧力が続いていたが、足元では新規ステーキングの申請数が解除申請数を上回り、約3か月ぶりに流れが反転した。
ネットワーク参加者が再び長期保有を選好し始めた可能性があり、市場では投資家心理の改善を示す指標として注目されている。こうした動きが今後のETH価格形成にどのような影響を与えるのか、アナリストの見方が分かれている。
Sponsoredイーサリアムがアンステーキング圧力低下で倍増する理由
イーサリアムのエントリーキューとエグジットキューは、ステーキングを開始・解除を待つETHの数量を示す指標。
以前、アナリストは、エントリーキューのETH量が増え続けると売り圧力が強まると考えていた。
ValidatorQueueのデータによると、9月10日以降エントリーキューがエグジットキューを上回っている。この傾向が以前の不均衡を正式に逆転させた。
現在、エントリーキューには約74万5600ETH、エグジットキューには36万500ETHが残っている。
アナリストのCryptoHuntz氏は、最近の動きを「ETHの大移動」と表現した。この動きが9月初旬の4800ドルから現在の3000ドル前後までのETH価格の下落を大きく後押しした。
Sponsored「大移動は終わった・・・ついに過去3か月の売り圧力が枯渇しつつある。ETHステーキングへの参入需要が主導権を取り戻した。自然回復が始まっている」とCryptoHuntz氏は述べた。
さらに、MonadのDeFi部門責任者のAbdul氏は、過去の価格動向を根拠により楽観的な見通しを示した。
同氏は推計として、7月以降でETH供給量の約5%、およそ150億ドル相当が移動したとする。バリデータのエグジットキューは1月3日までにゼロに到達する可能性も指摘した。
Abdul氏は、エントリーキューがエグジットキューを上回った前回は6月であり、その直後にETH価格は2倍になった点も指摘した。
この事実は、再び同様の展開となる可能性を示唆する。ETHは現在の3000ドル水準から反発する局面を迎えるかもしれない。
この見通しをさらに後押しする材料がある。BitMine会長のトム・リー氏が最近、世界最大規模となる約120億ドル相当のETH保有を背景に、ステーキングへ参画を決断した。
BeInCryptoの報道によれば、BitMineは約7万4880ETH(約2億1900万ドル相当)をイーサリアムのステーキングコントラクトへ預け入れた。これは同社が保有する計407万ETHのうちわずかな一部。全保有分を年率3.12%でステーキングすれば、年間で3億7100万ドルの利回りが見込める。
CryptoQuantのデータによれば、投資家がプロトコルやコントラクトに預けたETH総量は3600万前後で推移している。ETHが4900ドル付近でピークをつけて以降、この水準が続く。前述のような好材料はあるが、現時点では横ばいトレンドから明確な転換を語るには時期尚早。
また、この強気な見通しに逆風となる要素もある。いくつかのオンチェーン指標は、米国投資家による売り圧力の継続を示している。