一般社団法人Ethereum Japanは9日、国内企業によるRWA(現実資産のトークン化)やステーブルコインの活用を推進する「Digital Assets Working Group(DAWG)」を設立した。国内企業がブロックチェーン技術を導入する際の実務要件を整理し、業界標準となる判断基準やフレームワークの策定を目指す。
実務の不確実性解消が狙い
Ethereum JapanのSho H.氏は設立記念イベントで、国内企業のデジタル資産参入における最大の障壁として「実務上の不確実性」を挙げた。技術的な課題は既に多くが解消されている一方、権限管理の設計、資産の計上方法、KYC・AML対応、監査に耐え得るオペレーション構築といった実務面での標準が確立していないと指摘した。
DAWGには、Fracton Ventures、マイナウォレット、PGL、RIKYU、Gluefi、アライドアーキテクツが参画し、事務局はアライドアーキテクツが担う。参画企業が実務上の課題を持ち寄り、ユースケースごとのベストプラクティスを共同で策定する方針だ。
3月にキックオフを実施し、6月には課題整理と今後の方向性をまとめたレポートを公開予定である。9月の「ETH Tokyo」や11月の国際カンファレンス「Devcon」では進捗報告を行い、国際的な議論との接続も図る。
海外での採用拡大が設立の背景に
設立の背景には、海外金融機関によるイーサリアム採用の急速な拡大がある。米国ではブラックロック、JPモルガン、フィディリティなど約35社の大手金融・テック企業が、株式やMMF、預金などをイーサリアム上でトークン化するサービスを立ち上げている。
RWA市場に関する公開データによれば、2026年2月16日時点でイーサリアム上でトークン化された資産は約150億ドル規模に達し、市場全体の60%以上を占める。ブラックロックもレポートで、トークン化時代の恩恵を受ける可能性があるブロックチェーンとしてイーサリアムを挙げている。
Sho氏は講演で、ステーブルコインの流通総額が約70兆円規模、RWA市場が約4兆円規模に達していると説明。Visaが既に5,000億円超のUSDCを決済に活用していることなどを例に、デジタル資産が固有の資産クラスから基盤的な金融インフラへと移行しつつあるとの認識を示した。
国内でも証券とステーブルコインの検討進む
国内においても、トークン化資産やステーブルコインを活用した新たな金融モデルの検討が始まっている。2月には野村ホールディングスと大和証券グループ本社が、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクと連携し、ステーブルコインを用いた株式・債券取引の枠組み構築に向けた実証実験を進める計画が報じられた。
同27日には、SBIホールディングスとStartale Groupが日本初の信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表した。新生信託銀行が発行し、3号電子決済手段として100万円の送金制限を受けない設計となっており、企業間決済や機関投資家による大規模取引での活用が想定されている。2026年度第1四半期のローンチを目指している。
Ethereum Japanはこうした動きを踏まえ、イーサリアムを世界金融の基盤インフラとして位置付け、その上で構築されるDeFiエコシステムやトークン経済圏を企業が活用していくための実務的課題を整理していく方針である。国内の事業環境でRWAやステーブルコインの広範な利活用に耐え得る「public-grade」インフラの要件についても研究するとしている。