イーサリアム(ETH)は教科書通りの供給ショックの兆候を示している。取引所残高が過去最低を更新し、ステーキング需要が急増、機関投資家の流入も加速している。
もっとも、こうした供給の引き締まりにもかかわらず、価格は横ばいが続く。小口投資家の売りが、数年来で最も強気とされるセットアップを覆い隠しているのかどうかをめぐり、アナリストの見解は割れている。
イーサリアム供給減少、ビットコインは増加
Sponsoredアナリストのクリプト・グッチによれば、中央集権型取引所のETH準備金は新たな低水準に落ち込む一方、ビットコイン(BTC)の取引所残高は数カ月ぶりの高水準に達している。
投資家はETHを貯め込み、BTCを売却している…ETHの供給ショックが迫っていると警告した。
—— クリプト・グッチ
この乖離は、短期の価格動向が鈍いなかでも、イーサリアムの長期的な価値提案への信認が高まっていることを示す。
オンチェーンデータでも、ETHが歴史的なペースでロックされている実態が確認できる。具体的には、ステーキングのエントリーキューが2023年以降で最高水準に達しており、現在は860,369 ETH(約37億ドル相当)が順番待ちの状況にある。

ステーキングプロトコルのEverstakeは、これは上海アップグレードによって引き出しが可能になって以降、最大のキューだと指摘する。
より多くの人々がイーサリアムの長期的価値を信頼し、その確保に参加したいと考えていると述べた。
—— Everstake
Everstakeは、機関投資家の参加拡大、良好な市場環境、ネットワークへの信頼の高まりも要因に挙げている。
Sponsored Sponsored現在、3,560万ETH超が既にステーキングされており、総供給の31%に相当する。評価額は約1,620億ドルに達する。

機関投資家と財務部門がイーサリアムを積み増し
一方で、機関投資家の需要が中核的な役割を果たしている。アナリストのハスは、ETH供給の約10%が現在、公開市場で取引されるビークルに保有されており、採用拡大を反映していると指摘する。
Varys Capitalのベンチャー部門責任者、トム・ダンリービーは、財務会社がわずか2カ月でETH総供給の3%超を取得したと付け加える。急ピッチの蓄積が進んでいる格好だ。
わずか2カ月で、ETHの全供給量の3%超が財務会社に取得されたのは驚くべきことだと書いた。
—— トム・ダンリービー
企業の財務部門は既に470万ETH(約204億ドル)を保有し、その多くをステーキング戦略に充てている。
これにより、バリデーターのエントリーキューは記録的水準へと押し上げられた。足もとでは出口キューが8月以降で20%減少し、大口の流出リスクは低下している。
個人投資家の売りとクジラの買い集めが交錯
こうした強気材料にもかかわらず、ETHは足もとで4,368ドル。8月24日の過去最高値から12%超の調整局面にあり、小口投資家の売りが勢いを抑えているとの見方が出ている。
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Defi Ignasは、100〜1,000ETH保有者が売り優勢である一方、1万〜10万ETHの範囲のクジラは「急速に買い集めている」と指摘。供給が弱い手から強い手へと移る、過去の主要ラリー前と同様のセットアップだという。
同様に、シジルファンドのCIO、ダディ・フィスカンテスは、一部投資家がカストディリスクを抑える目的で、スポットのETHをイーサリアムETFへローテーションしている可能性を示唆した。以前のビットコインで見られた動きに近い。
もっとも、イグナスはタイミングに疑義を呈し、ETHのクジラがBTCの大口保有者と同様に動くとの見方に反論。強気継続の見方も根強い。
小口投資家の退出流動性は常に点火役だった。彼らが完全に吐き出すと、ETHは急騰する。価格の停滞は上昇基調のサインだと述べた。
—— トレディネーター
アナリストは総じて、爆発的な値動きに向けた基礎条件が整いつつあるとみる。価格は、機関投資家の強い蓄積と持続する小口売り、過去最低の取引所準備金、過去最高のステーキング待ち行列という力学のはざまで推移している。