CMEのFedWatchツールによると、4月29日のFOMCで利上げが実施される確率は12.4%と算出され、1週間前には見られなかった水準に浮上した。一方で利下げの織り込みは完全に消失した。こうした急速な金融政策見通しの転換は近年でも異例であり、ビットコインをはじめ暗号資産市場全体に直接的な影響を及ぼしている。市場はこれまで数カ月にわたり、2026年の利下げ転換を前提に上昇してきた経緯がある。
米利上げ観測、ビットコインの利下げ強気説を一掃
1か月前、4月のFOMC会合では、現行の350〜375ベーシスポイント据え置きの確率が82.5%、325〜350への利下げ予想は17%だった。FRBの利上げは当時、織り込まれていなかった。
3月22日時点で、4月会合の利下げの可能性は0%となった。CME FedWatchでは現在、据え置き(87.6%)または375~400への利上げ(12.4%)の2択の確率のみ織り込み済みである。
アナリストのAsh Cryptoによれば、来月の利上げ確率が急上昇している点は警戒すべきであり、アトランタ連邦準備銀行のMarket Probability Trackerでも、初めて3か月以内に利上げ確率が利下げ確率を上回ったことが示されている。
カーソングループのライアン・デトリック氏は、この再評価は戦争による商品価格の急騰が原因だと述べている。
「戦争とコモディティ価格の高騰が利上げ確率を押し上げた」とデトリック氏は述べた。
ビットコインや暗号資産市場においては、利下げ予想の消失が、BTCが6万4000ドルから7万6000ドルまで上昇した際の強気材料の1つを奪うことになる。
通常、金利が低い場合、投資家はビットコイン(BTC)などリスク資産を選択しやすい。利下げ予想が消え、利上げの可能性がでると、この取引は巻き戻される。
イラン戦争による原油ショックで米利上げ観測強まる
ブレント原油は2月28日の米・イラン衝突以降、約50%急騰し、ホルムズ海峡がほぼ封鎖状態で、価格は1バレル112ドルに達した。
インフレ期待は5.2%まで上昇、FRBの目標2%を大きく上回る水準。
FRBは3月18日の会合で金利を3.5%〜3.75%に据え置いたが、年末のコア個人消費支出(PCE)インフレ見通しを2.7%に上方修正した。更新されたドットチャートでは2026年の利下げは25ベーシスポイント1回のみとなり、従来の2回から減少した。
バンク・オブ・アメリカは顧客に対し、2026年中のFRB利上げも想定外とはしないと伝えた。同行はその条件として以下の3点を挙げている。
- ジェローム・パウエル議長が引き続き在任していること
- 失業率が4.5%未満で推移(労働市場の安定)
- 原油価格が1バレル80〜100ドルの水準で維持されること
「FRBは何も変えていない。市場がFRBを取り巻くすべてを変えた」というアナリストの見解もあった。
米利上げ観測の高まりがビットコイン・暗号資産価格に与える影響
ビットコインは、利上げ観測の浮上と原油のボラティリティ激化を背景に、6週間ぶり高値の7万6000ドル付近から6万8739ドルに下落した。
この期間、BTCのS&P500との相関は89%に達し、売りの要因は暗号資産固有ではなくマクロ的要素であることが裏付けられた。
アナリストのDefiWimar氏は、スワップ市場の現在の水準から、年末までにFRB利上げとなる確率が50%超まで織り込まれていると警告している。
一方で、予測市場カリシは2027年までに確率が64%上昇したと示している。これは、暗号資産市場の利下げ期待による楽観が2026年残りの期間で過大評価されている可能性を示唆するシグナルである。
しかし、FRBの利上げ懸念が現実的だと考えていない市場参加者もいる。トレーダーのMarketSync_は、価格修正の見出しはノイズに過ぎないと指摘し、次回会合でも93.8%の先物取引が利上げなしを支持していると強調した。
「フェッド・ファンド先物は過剰反応している。93.8%対6.2%。これだけで全てが分かる――これは見出し上のノイズであり、政策の現実ではない。流動性の動きは、方向転換の懸念を正当化するほど変化していない」と同氏は投稿した。
他方で、原油価格は下落し、FRBは春の終わりまでに利下げすると予想する声もある。
利下げ確率の消失がビットコインや暗号資産にどのような影響を与えるか、その答えは明白である。原油価格が100ドルを上回り、ホルムズ海峡が閉鎖されたままであれば、FRBの利上げ確率はさらに上昇する。
この確率が1%上がるごとに、機関投資家がBTCやリスク資産に資金を流入させる理由がまた1つ失われる。
利上げの確率12.4%は小さいが、7日前は0%であった。この数字の方向性こそが暗号資産市場では大きな意味を持つ。