一般社団法人Fighters Guildは18日、ブロックチェーン技術を活用した格闘家支援の非営利インフラを設立し、元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオとのパートナーシップ契約を締結したと発表した。同組織は分散型自律組織(DAO)が発行する暗号資産のエコシステムを通じて、格闘技選手のケガ、資産形成、教育を継続的に支援する仕組みを構築する。記者会見にはABEMA格闘chのエグゼクティブプロデューサー北野雄司氏、abc株式会社代表取締役社長の松田元氏らが登壇し、スポーツ業界における新たなブロックチェーン活用モデルを提示した。
寄付ではなくエコシステムとして制度化
Fighters Guildの最大の特徴は、従来の寄付や一時的な支援ではなく、ブロックチェーン技術を基盤とした持続可能なエコシステムの構築にある。
Sponsored松田氏は会見で、「ブロックチェーン技術を使用してアスリートの退職金や厚生年金に相当する仕組みを作る」と説明した。同氏は、ファイトマネーが低く引退が早い選手が「消費されてしまっている」現状を指摘し、「彼らの活動をそのまま資産化するための技術としてブロックチェーンが使えるのではないか」と述べた。
同組織は特定の興行団体に依存せず、すべての格闘家が加入可能なセーフティネットを提供する。グローバルなDAOが発行する暗号資産のエコシステムを活用することで、支援原資を継続的に創出する計画だ。この仕組みは、選手の活動自体がトークンエコノミーを通じて価値化され、長期的な資産形成につながる設計となっている。
パッキャオとの協業で国際展開を加速
Fighters Guildは世界的なボクシングスターであるマニー・パッキャオとパートナーシップを締結し、グローバル展開を本格化させる。パッキャオは声明で「ABEMA格闘チャンネルとabc社とパートナーシップを結べてうれしく思う」とコメントした。
パッキャオの代理人ジョージ・チェン氏は、「ワールドワイドのプラットフォームをひとつの組織だけで広げるのは難しい。ここに力強いパートナーができてこそ実現できる」と語り、国際的な展開における協業の重要性を強調した。
ABEMAはパッキャオ・プロモーションが主催する興行の世界配信も担当する。北野氏は「ABEMAの海外用PPVプラットフォームは現在世界19か国に対応している。パッキャオ氏が米国を中心に行う興行の配信を春頃から開始する」と説明した。チェン氏によると、2026年4月にハワイで開催される「ビッグファイト」では複数の世界タイトル戦が予定されており、これらをABEMAが配信する計画だという。
暗号資産業界への波及効果
Fighters Guildの取り組みは、暗号資産およびブロックチェーン技術の実用化において重要な意味を持つ。従来、スポーツ業界におけるブロックチェーン活用はファントークンやNFTなど、主にファンエンゲージメント領域に集中してきた。しかし今回の構想は、選手の社会保障や長期的な資産形成という実質的な課題に対して、DAOと暗号資産エコシステムを活用する点で新しい。
格闘技業界は他のプロスポーツと比較して選手の収入が不安定で、引退後の生活保障も十分でないという構造的な課題を抱えてきた。Fighters Guildのモデルが成功すれば、同様の課題を持つ他のスポーツ業界や、フリーランス労働者など不安定な雇用形態で働く人々への応用も期待される。ブロックチェーンを活用した新しい社会保障システムのプロトタイプとして、フィンテック業界からも注目が集まりそうだ。