暗号資産取引所ジェミニの株価が、9月の新規株式公開（IPO）後初の四半期決算発表を受けて下落した。純収益は前年同期比52％増と伸びたが、営業費用が2倍以上に膨らんだ。結果として純損失は1億5950万ドルとなり、収益改善にもかかわらず赤字幅が拡大した。
ジェミニ第3四半期の業績
2025年第3四半期はジェミニ取引所にとって重要な時期となった。同取引所は2025年9月に上場し、ナスダックでGEMIのシンボルで取引を開始。最新の株主への手紙では、純収益が4980万ドルに達し、前四半期から52%増加したことが強調された。
Sponsored取引収益は四半期ごとに26%増の2630万ドルに上昇。一方、サービス収益は111%増の1990万ドルとなった。このサービス分野はジェミニのクレジットカード、ステーキング、およびカストディ製品の利用増加から利を得た。
しかし、強い収益成長は膨れ上がる費用にかすんでしまった。営業費用はIPOを控える中で増加したため、ジェミニは1年前の9020万ドルから純損失を1億5950万ドル計上。取引所の1株当たり損失は6.67ドルで、アナリストの3.24ドルの損失予想を下回った。
総営業費用は前年比7680万ドルから1億7140万ドルに2倍以上増加。最も大きな増加は給与と報酬から。
給与は8250万ドルに、セールス・マーケティングはプロモーション活動を強化した結果として3290万ドルに増加。調整されたEBITDAはマイナス5240万ドル。
「今四半期の営業費用の増加は主に、マーケティングや顧客報酬投資の増加、および上場企業としての移行に伴う株式報酬費用の高さを反映していると考えている。その他の費用動向は、成長とプラットフォーム拡大への投資と整合している」と株主への手紙で述べられている。
ジェミニは暗号資産関連で混合した結果も記録。デジタル資産で1億680万ドルの利益を上げたが、関連企業への暗号資産ローンで8310万ドルの損失。
強い収益勢いにもかかわらず、拡大する損失が投資家のセンチメントを冷やし、決算発表後にジェミニの株価は下落。Google Financeのデータによれば、GEMIは当日16.84ドルで取引を終了し、4%以上の上昇。しかし、ポストマーケット取引では6.18%下落。
この業績はコインベースのような競合他社と対照的である。同社の株価は第3四半期に4億3300万ドルの利益を発表した後に上昇。今後、投資家はジェミニが成長投資から収益性にシフトできるか注視。
