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米欧関税対立激化で金が過去最高値、ビットコイン下落

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著者:
Kamina Bashir

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編集:
Shigeki Mori

19日 1月 2026年 15:16 JST
  • 米国とEUの関税摩擦を受け、安全資産需要が高まり金価格が最高値を更新した。
  • ビットコインは9万5,000ドルを下回り、変動再燃で強制清算が発生した。
  • アナリストの間で、ビットコインが金に追いつくか後れを取るか意見が分かれている。
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ビットコイン(BTC)と金は、トランプ米大統領と欧州連合(EU)との間で関税をめぐる緊張が高まる中、逆方向に動いた。

貴金属の金は地政学的不確実性の高まりを背景に過去最高値を更新した一方、主要な暗号資産は下落した。この対照的な動きは昨年10月にも見られたパターンをなぞっており、両資産の今後をめぐる議論が再燃している。

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トランプ氏の新関税で米欧貿易摩擦拡大

2026年1月17日、トランプ米大統領はデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドに対し、2月1日から10%の関税を課すと発表した。この関税は6月1日から25%に引き上げられ、米国がグリーンランド購入の合意を得るまで維持される。

一方、新たな米国関税の影響を受ける8カ国の代表は日曜日に緊急会合を行った。 コスタ大統領とフォン・デア・ライエン大統領は、共同声明で、EUは「デンマークおよびグリーンランドの人々と全面的な連帯を示す」と表明し、ワシントンの今回の動きに対し統一した政治的対応を示唆した。

さらにフィナンシャル・タイムズは、欧州連合が最大930億ユーロ(約1兆770億ドル)規模の関税を含む、もしくは米国企業の域内市場からの排除も視野に入れた、より広範な対抗措置を検討中であると報じた

関税ショックで株・ビットコイン下落、金に資金流入

市場は関税に迅速に反応し、だが方向性は正反対だった。金価格は、きょうアジア時間の朝に1オンス4,690ドルへ急騰し、過去最高値を記録した(ATH)。

銀価格も1オンス94ドル超と過去最高値を更新した。一方、株式相場は軟調に始まった。

ビットコインも、リスク資産全体とともに下落した。BeInCrypto Marketsデータによれば、BTCは9万5000ドルを下回った。

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本稿執筆時点で、同資産は9万2574ドルで推移しており、過去24時間で2.67%下落した。暗号資産全体の時価総額も同期間に約980億ドル減少した。

価格下落により、暗号資産市場では大量のロスカットが発生した。過去24時間のロスカット総額は8億6435万ドルに達し、そのうちロングポジションが7億8000万ドル以上を占めた。

「ビットコインは1時間で約500万ドル相当のレバロングが清算され、4000ドル近く急落した」 とThe Kobeissi Letterが投稿した。

この関税ショック下での金とビットコインの対照的な動きは、市場が両資産をどう位置づけているかの違いを浮き彫りにした。金は長らく経済・地政学的なストレス時における価値保存先として不動の地位を持つ。

一方、ビットコインは「デジタルゴールド」とも形容されるが、リスク資産としての性格が色濃く、不確実性が高まる局面では広範な市場センチメントと結びつきが強く、直近の「安全資産」需要に連動しづらい。

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1月のビットコイン今後の展望

アナリストのティモシー・ピーターソン氏は、トランプ大統領の発表に対してビットコインの反応が遅れた背景についてインサイトを示した。同氏は、24時間取引が可能なはずのビットコインが、約36時間は無反応で、アジアで機関投資家取引が始まってから下落したと指摘した。

「こうした価格変動に関する『当日のニュース』のほとんどは、後付けのストーリーに過ぎないことを物語っている。しかも、事前に丸一日以上警告が出ていたにもかかわらず、個人投資家はレバレッジをかけていた(今回がトランプ関税発表3回目、そのたびにビットコインが大きく下落)。言葉もない」と同氏は述べた

また、Crypto Roverは、今週は政策の大規模な動きが重なり、株式と暗号資産のボラティリティ上昇の可能性があると警鐘を鳴らした。

「EUの関税は1兆5000億ドル規模の貿易フローを脅かす」と同氏は指摘。「もしEUが米国が制裁を科している国々と貿易協定を結び始めれば、米国は主要な貿易ルートから締め出されるリスクを負う。これは世界的なリスクセンチメントにとって下押し要因、米国株式市場にとって下落材料、そしてドルにとっても弱気材料となるだろう」

Rover氏はまた、最高裁の判断が控えていることも市場の不透明要因になるとし、関税の是非いずれの結論でも株式・暗号資産へ圧力がかかる可能性が高いと述べた。

このような状況下で、ビットコインの今後について専門家の見方は割れている。ブルームバーグ・インテリジェンスのマイク・マグローン上級コモディティストラテジストは、ビットコイン対金のレシオが10倍に向かい下落を続ける公算が大きく、ビットコイン優位となる30倍への反転よりも金の持続的な上振れが示唆されるとの見方を示した。

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「誰もがビットコインが金の動きに続き、過去最高値を更新すると予想している。しかし市場は投機家たちに買う時間を与えすぎた。より現実的なのは、ビットコインが金の上昇に追随できず、“デジタルゴールド”という物語が揺らぎ、壮大な暴落につながるという展開だ」と、エコノミストのピーター・シフ氏は投稿した。

ベテラントレーダーのピーター・ブラント氏は、米ドル建て資産が実物資産に劣後する可能性があると指摘した。同氏はまた、この変化の中でビットコインが果たす役割にも不確実性があるとし、アルトコインが大きく価値を失うと予測した。

「金は世界で最も信頼できる価値の保存手段として戻るだろう。米ドル建て資産は実物資産に対して価値を失う――ところで、それはビットコインを含む場合も含まない場合もある。アルトコインは米ドルよりもさらに無価値になる」と同トレーダーはコメントした。

それでも一部では楽観的な見方も根強い。ビットコインが金に追いつくと期待するアナリストもいる。

「金は昨年、およそ10兆ドルの時価総額を増やした。その一部の利益がビットコインに回る、あるいは分散されても不思議ではない」と、ある市場ウォッチャーが述べた

貿易摩擦が激化しリスク選好が低下する中、市場は近くビットコインが金に追いつくのか、それとも金が安定資産として揺るぎない地位を保つのか、その答えを示すことになる。

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