ビットコイン相場は直近の取引で明確な方向感を欠いている。地政学リスクや金融政策の先行き不透明感を背景に、投資家のリスク選好は強弱が定まらず、暗号資産市場全体も様子見姿勢が続く。
ただ、市場関係者が注目するのが金価格の堅調な推移だ。過去の経験則では、金が上昇基調を強めた局面でビットコインが追随する場面が少なくない。安全資産への資金流入が次の投資先として暗号資産に向かう可能性があり、金高はビットコイン再評価の前触れとの見方も出ている。
Sponsoredビットコイン、金との連動性を強める
ビットコインはこの1年、金との価格連動性を高めてきた。インフレ懸念や通貨価値の希薄化といったマクロ要因に反応しやすい点で、金と同様の性格を帯びつつある。過去を振り返ると、金価格が先行して上昇した後、時間差でビットコインが値を伸ばす局面が繰り返し観測されてきた。
金の上昇局面では、投資家が守りの資産から、より高い収益機会を狙える資産へと資金を移す動きが強まる。供給量に上限があるビットコインは、その受け皿の1つとされる。2024年以降も、金相場が底堅く推移する局面で、現物市場に加えデリバティブ市場でも取引が活発化し、個人投資家だけでなく機関投資家の関心も高まった。
もっとも、金との相関が直ちに持続的な上昇を保証するわけではない。金融環境の変化や規制動向次第では変動性が高まる局面も想定される。市場は、金高という追い風を意識しつつも、暗号資産特有のリスクを慎重に見極める段階にある。
例外となったのは2024年10月で、ビットコインは金とともに急落した。この下落は、債券利回りの上昇や金融環境の引き締まりなど、マクロ経済の圧力が強まったことが背景。現在、金は再び勢いを取り戻しつつある。ビットコインが現水準付近で安定を維持できれば、リスクオン転換による再評価を受ける可能性もある。
Sponsoredオンチェーンデータによると、ビットコイン保有者の間には依然として慎重さが残る。最近、取引所への送金が増加している。これは投資家の預け入れが増えていることを示し、利益確定や今後の下落に備えたリスクヘッジの動きとみられる。
取引所への資金流入増加は常に即時の売り圧力を意味しない。しかし継続的な増加は、ボラティリティの拡大に先行することが多い。今回のビットコインの場合、預け入れ増加は投資家がリスク管理を実施しており、積極的に買い増しているわけではないことを示唆している。この動きは、現状の価格動向を左右する混在したセンチメントとも符合。
ビットコインは損失ゼロで取引終了できるか
ビットコインは本稿執筆時点で8万7773ドルで推移し、8万8210ドルのレジスタンスを下回る。BTCは2025年初めに9万3576ドル近辺でスタートした。現時点では、市場環境が好転しボラティリティが抑制されれば、年末までにこの水準を回復することが直近の目標。
このシナリオは、ビットコインが金の強気な動きに連動し続ければ、より現実的となる。明確なブレイクアウトには、8万8210ドルをサポートへ転じさせる必要がある。さらに9万308ドルを明確に上抜ければ、上昇への確信が強まり、スポット市場全体で再び勢いがもたらされる。
逆に売り圧力増加となれば、このシナリオは崩れうる。ビットコインが8万6247ドルのサポートを失う場合、下値リスクが拡大。8万4698ドルまで下落すれば、強気シナリオは否定され、短期的な弱気圧力が再浮上する展開。