日本政府が地方自治体がデジタル形式で地方債を発行できるようにする法改正の検討を進めていることがわかった。23日、日本経済新聞が報じた。2026年の通常国会に関連法案の提出をめざし、2025年度の地方財政対策ではデジタル活用推進事業債を盛り込み、地方財政法の特例措置創設を視野に議論が本格化している。
海外ではデジタル債券の活用事例が広がっており、日本でも資金調達手段の多様化につながるかが注目されている。
Sponsoredデジタル地方債の制度設計に向けた政府の検討
政府は2026年の通常国会への関連法案提出を視野に、地方自治体がブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を用いて地方債を発行できる法制度の整備を検討している。2025年度の地方財政対策では、自治体のデジタル化投資を後押しするため「デジタル活用推進事業債」を創設し、地方財政法の特例措置として発行対象を拡大する方向性が示された。情報システムや通信インフラ整備など、従来は起債対象になりにくかった分野への資金供給を可能にする狙いがある。
制度設計は総務省自治財政局が中心となり、発行方法や管理体制、リスク管理の在り方を含めて検討が進む。日経新聞によると、政府内ではデジタル形式による地方債発行を明確に位置づけることで、自治体の資金調達手段を多様化し、財政運営の柔軟性を高めたい考えだという。
海外ではすでに、公的部門によるデジタル債券の発行事例が出始めている。欧州ではスイスの地方政府や公的機関が、分散型台帳技術を用いたデジタル債の発行や実証を進めてきたほか、アジアでも香港政府がトークン化グリーンボンドを発行するなど、官主導での取り組みが広がっている。
地方債デジタル化が目指す資金調達手段の多様化
デジタル債券は、証券を電子的に発行・管理することで、発行事務の効率化や投資家層の拡大を見込む仕組みである。海外では、地方政府や公的機関が試験的にデジタル債を発行する事例が増えており、日本政府の検討をこうした国際的な流れの一環と位置づけている。
もっとも、日本の地方債市場では、信用力の評価や流通市場の流動性確保が重要な論点となる。特にデジタル形式での発行では、既存の地方債制度や格付け、投資家保護との整合性が問われる。制度化に向けては、技術的な利便性だけでなく、従来の公的債務管理の枠組みをどう維持・発展させるかが課題となる。
金利環境の変化と暗号資産市場への波及
地方債のデジタル化を巡る議論の背景には、日本の金融政策環境の変化もある。日銀は2025年12月の金融政策決定会合で、当座預金への付利を0.75%とするなど、金利水準は上昇局面にある。政策金利の上昇は銀行収益の構造にも影響を与える。金融実務の観点から、X(旧ツイッター)で以下のような指摘もある。
「日銀当座預金には0.75%がかかる一方、貸出金の変動金利部分は金利収入が増える。ただし国債や地方債は金利が上がれば評価差額金がマイナスとなり、資本を圧迫する」(加賀田浩子 @kagata_hiroko)
金利上昇は、銀行の貸出金利収入を押し上げる半面、国債や地方債といった保有証券の評価損リスクを高める。この構造は、地方債市場だけでなく、暗号資産市場にも間接的な影響を及ぼす可能性がある。一般に高金利環境では、安全資産や利回り資産への資金配分が見直され、リスク資産である暗号資産への投資マネーが変動しやすい。BeInCryptoが伝えてきたように、日銀と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性は、為替やグローバルなリスク選好を通じてビットコインなどの価格形成に影響を与えてきた。
地方債のデジタル化は直接的に暗号資産と結び付く制度ではないが、金利環境、債券市場、デジタル金融インフラの進展という文脈で同じ延長線上にある。政府の制度設計と金融政策の動向は、伝統的な公的債務市場と暗号資産市場の双方にとって、今後も重要な観測対象となりそうだ。