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グレースケール、2026年の主要10大投資テーマ予測

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著者:
Kamina Bashir

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編集:
Shigeki Mori

16日 12月 2025年 17:43 JST
Trusted-確かな情報源
  • グレースケール社は、2026年に機関投資家主導の市場を形成する10の暗号資産投資テーマを示した。
  • 主な要因は、ドル価値下落のヘッジ、規制の明確化、DeFiの成長、トークン化である。
  • 量子リスクとデジタル資産の財務管理は、来年の市場への影響が小さいと見られる。
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デジタル資産運用会社グレースケールが2026年の展望を発表し、同社がデジタル資産市場を形成すると考える10の主要な暗号資産投資テーマを強調した。

同レポートでは、量子コンピューティングとデジタル資産トレジャリー(DAT)は2026年の市場動向を左右する要素ではないと指摘した。

グレースケール 2026年の暗号資産投資テーマ

グレースケールの2026年デジタル資産展望レポートは、今後の時代を暗号資産業界の「機関投資家時代の夜明け」と位置づけている。同社は、代替的な価値保存手段に対するマクロ需要と規制の明確化の進展を主因とし、デジタル資産投資の構造的な変化が2026年に加速する可能性が高いと見ている。

グレースケールによれば、これらのトレンドが新たな資本流入を促し、とりわけ助言を受けた富裕層や機関投資家の間で普及が進むとともに、パブリック・ブロックチェーンと主流金融インフラとの統合を一層進展させる見通し。

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「暗号資産は機関投資家の資本流入による影響が強まっており、価格変動の性質も変化している。これまでのブルランでは、ビットコインの価格は1年間で最低でも10倍(1000%)上昇していた。だが今回は、最大の前年比上昇幅は約2.4倍(240%、2024年3月までの1年間)だった。これは近年、機関投資家による安定した買いが、過去の個人投資家主導のモメンタム買いよりも強まっていることを示していると考えている」と同レポートは述べている。

グレースケールは2026年に注目すべき10の投資テーマを特定し、これらの市場動向から恩恵を受けるとみられる暗号資産も詳述した。

1. 米ドル下落リスクで代替資産に需要拡大

第1のテーマはドルの価値下落リスクに関するもので、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ジーキャッシュ(ZEC)が、法定通貨リスクをヘッジしたい投資家の主要な選択肢になると指摘した。

グレースケールは、米国経済が債務の増加傾向にあることに触れ、長期的にはドルの価値保存手段としての地位にも圧力がかかる可能性があると分析した。同社によれば、広範な普及度・高い分散性・供給量の制約という要素を備えた一部のデジタル資産のみが、真の価値保存手段と見なされる。

「このカテゴリーには、時価総額で上位2つの暗号資産であるビットコインとイーサが含まれる。ビットコインの供給量は2100万枚で完全にプログラム化されている。ジーキャッシュは、プライバシー機能を備えた規模の小さな分散型デジタル通貨だが、ドル安対策を意識したポートフォリオにも適する可能性がある」と同社は述べた。

2. 明確な規制枠組みが業界全体の成長を後押し

グレースケールは、規制の明確化をデジタル資産エコシステム全体の普及拡大の主因と位置付けた。レポートでは、ルールが明確になれば、単一の資産クラスに偏ることなく複数分野で市場参加が進むと強調している。

「来年、2党合意による市場構造法案の成立が大きな前進をもたらすはずだ。規制の明確化が2026年の暗号資産市場をけん引する可能性があるため、議会で2党合意プロセスが頓挫する事態は下振れリスクになると考えている」とグレースケールは指摘した。

3. ステーブルコインがオンチェーン金融で存在感

ステーブルコインの成長も主要テーマとして浮上している。これは、トランプ米大統領によるGENIUS法案署名の影響を受けている。レポートによれば、2026年にはこうした動きの具体的成果が現れ始め、ステーブルコインの国際決済サービスへの統合や、デリバティブ取引所での担保利用、企業バランスシートでの採用拡大などが進みそうだ。

グレースケールは、オンライン消費者決済でクレジットカードの代替手段としてステーブルコインが利用される可能性にも注目した。さらに同社は、予測市場の拡大もステーブルコイン需要の押上げ要因になると指摘した。レポートによると、

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「ステーブルコインの取引量が増加すれば、こうした取引を記録するブロックチェーン(例:ETH、TRX、BNB、SOLなど)や、各種関連インフラ(例:LINK)、分散型金融(DeFi)アプリケーションにも恩恵が及ぶ」としている。

4.資産トークン化が成長段階入り

同レポートは、現実資産トークン化もデジタル資産市場内で注目すべき分野とした。グレースケールは、現時点では規模が小さいものの、インフラ開発と規制面での前進が今後の大幅な拡大につながる可能性があると分析した。

「2030年までに、トークン化資産の規模が約1000倍に拡大しても不思議ではない」と同チームは述べた。

同社は、イーサリアム、ソラナ、アバランチ、BNBチェーンなどのインフラ・スマートコントラクト基盤や、チェーンリンクなどの相互運用提供者が、トークン化の普及に伴い価値を取り込めると予想した。

5. プライバシー対策が不可欠なニーズに

レポートは、プライバシー関連技術が金融分野での普及により一層不可欠になりつつあると強調した。ZcashやAztec、Railgunといったプロジェクトは、投資家によるプライバシー志向の高まりの恩恵を受ける可能性がある。

「今後はイーサリアム(ERC-7984)やソラナ(Confidential Transfersトークン拡張)といった主要スマートコントラクト基盤で秘密取引の採用が進む兆しもある。より高度なプライバシー技術は、DeFiのための高度なアイデンティティ及びコンプライアンスインフラも必要とされるだろう」とグレースケールは記している。

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6. ブロックチェーンがAIの中央集権リスクに対応

ブロックチェーンが人工知能(AI)の中央集権化に対抗する役割を担うという点が、第6のテーマである。AI開発がますます中央集権的になる中、Bittensor、Story Protocol、Near、Worldcoinなどの分散型ネットワークは、安全で検証可能な計算資源やデータ管理の代替手段を提供する。

7. デファイ活動が加速、融資が主導要因

第7のテーマは、分散型金融の活動加速に焦点を当てる。今年はDeFiアプリケーションの勢いが増している。

さらに、Aave、Morpho、Maple Financeといったレンディングプロトコルも大幅な成長を見せた。レポートでは、ハイパーリキッドなど、分散型パーペチュアル(永久)先物取引所における活動の増加についても触れている。

「これらのプラットフォームで流動性、相互運用性、現実世界の価格連動性が高まっていることで、DeFiはオンチェーンで直接金融取引を行いたい利用者にとって十分に信頼できる選択肢となる。今後はAAVEのようなレンディングプラットフォーム、UNIやHYPEといった分散型取引所、LINKなど関連インフラ、さらにはDeFi活動の中心となるブロックチェーン(例:ETH、SOL、BASE)も恩恵を受ける見込み」グレースケールは予測した。

8. 新世代ブロックチェーン基盤が普及を後押し

レポートでは、スケーラビリティ、パフォーマンス、ユーザー体験の課題に対処するための新しいブロックチェーンネットワークを巡る継続的な実験についても論じている。同社によれば、

「現時点で高性能を誇るチェーンすべてが同じ道をたどるとは限らないが、その中の一部は新たな成長を期待できる。優れた技術だけで普及が保証されるわけではないが、これら次世代ネットワークのアーキテクチャは、AIマイクロペイメント、リアルタイムのゲームループ、高頻度オンチェーントレーディング、インテントベースシステムといった新たな分野に特化している」

グレースケールは、Sui、Monad、MegaETH、Nearなどのプロジェクトを、注目を集める可能性のあるネットワークの例として挙げている。

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9.投資家は持続的な収益に注目

この資産運用会社は、機関投資家がブロックチェーンやアプリケーションの評価時にオンチェーン収益や手数料生成も考慮する可能性があると見ている。

レポートによれば、比較的収益が高いスマートコントラクトプラットフォームとしては、Tron、イーサリアム、ソラナ、BNBが挙げられる。さらに、HYPEやPUMPも比較的収益が高いアプリケーション層の資産として名指しされている。

10.投資商品にデフォルトで組み込まれるステーキング

第10のテーマはステーキングに関するものだ。グレースケールは、ステーキングに関する規制の明確化が、LidoやJitoといったリキッドステーキング事業者に恩恵をもたらす可能性があると指摘する。

「より広くは、暗号資産ETPがステーキング可能となることで、これがProof of Stake型トークンの投資保有の標準的な形となり、ステーキング比率の上昇と報酬率への圧力が生じるだろう」と同社は付け加えた。

グレースケールが2026年の量子コンピュータを暗号資産の価格材料と見ない理由

グレースケールは、これらの投資テーマが2026年の暗号資産市場に影響を与えると予想する一方で、市場に有意な影響を与えないと見込むトピックも2つ挙げている。それは、量子コンピューティングに関連する暗号の脆弱性の可能性と、デジタル資産財務(DATs)の進展だ。

「量子リスクやコミュニティの備えに関する研究は2026年に加速する可能性が高いが、このテーマが価格を動かすことはないと見ている。同じくDATsも例外ではない。これらは今後も暗号資産投資の一部として位置付けられるだろうが、2026年に新規トークン需要の主因や売り圧力の主な要因となることはないと考える」と同社は説明した。

このように、グレースケールによる2026年の見通しでは、暗号資産市場がより機関投資家主導型へ移行しつつあることを示唆している。導入、規制、収益モデルの持続可能性が市場のパフォーマンスに影響を及ぼす構図だ。

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