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香港、ステーブルコイン初認可が迫る=金融界が注視

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執筆&編集:
Shigeki Mori

12日 3月 2026年 10:42 JST
  • 香港金融管理局が3月中に発行する初のステーブルコインライセンスの認可が目前に迫り、36件の申請から少数のみが承認される見通しだ
  • 最低資本金や準備資産の完全保有など厳格な要件が設定され、大手金融機関が申請する一方で中小発行体の移転検討も進んでいる
  • アジア太平洋地域で規制競争が激化する中、香港の初認可が地域の暗号資産ハブ競争における重要な転換点となる可能性が高い
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香港金融管理局が3月に発行予定の初のステーブルコインライセンスの認可時期が迫っている。36件の申請の中から「ごく少数」のみが承認される見通しで、スタンダードチャータードやアント・グループなど大手金融機関の動向に注目が集まる。アジア太平洋地域で規制競争が激化する中、香港の厳格な審査基準が暗号資産業界の再編を促す転換点となる可能性が高まっている。

初認可が3月中旬以降に迫る

香港金融管理局が3月中に発行するステーブルコイン発行体の初認可が、月の中旬を迎え目前に迫っている。同局のエディ・ユエ長官は2月初旬、立法会での質疑で審査プロセスがほぼ完了し、3月中に第一陣のライセンスを発行すると表明していた。

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2025年8月に施行されたステーブルコイン条例に基づき、香港金融管理局には36件の申請が提出されたが、初回の承認は「ごく少数」にとどまる見通しだ。審査では、リスク管理体制、マネーロンダリング対策、裏付け資産の品質などが重点的に評価されており、高い参入障壁が設定されている。

業界関係者によると、スタンダードチャータード香港とアニモカブランズ、香港電訊の合弁企業「アンカーポイント・ファイナンシャル」のほか、アント・グループのデジタル技術部門、中国銀行香港などが申請企業として有力視されている。一方で、要件を満たせない中小発行体の一部は、シンガポールやアラブ首長国連邦など規制環境が柔軟な地域への移転を検討する動きも出ている。

香港金融管理局が公開する認可発行体の登録簿は、3月12日時点で依然として空白のままだ。初認可の発表は業界にとって、規制下でのステーブルコイン事業の実現可能性を示す試金石となる。

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厳格な規制要件が参入障壁に

香港のステーブルコイン規制フレームワークは、日本と同様アジア太平洋地域で最も包括的な制度の1つとされる。発行体には最低2500万香港ドル(約4億8000万円)の払込資本金のほか、現金または現金同等物による100%の準備資産保有が義務付けられる。

準備資産の状況は毎日開示する必要があり、保有者からの償還請求には額面価格で1営業日以内に応じなければならない。利息の支払いは禁止され、ガバナンス基準も厳格に定められている。これらの要件は投資家保護と金融安定性を重視する香港の方針を反映している。

香港財政長官のポール・チャン氏は2月10日のコンセンサス香港会議で、「認可にあたっては、革新的な使用事例、信頼できる持続可能なビジネスモデル、強力な規制遵守能力を確保する」と強調した。政府は認可発行体と協力し、規制に準拠した形でさまざまな応用シナリオを探る方針を示している。

暗号資産分析プラットフォームのデータによると、ステーブルコインの総時価総額は2026年初頭に初めて3000億ドルを突破し、香港やシンガポールでの新たな制度的枠組みの整備と時期を同じくして成長を続けている。

シティグループの試算では、現在約3000億ドル規模のステーブルコイン市場は、1兆9000億ドルから4兆ドルに成長する可能性があるという。スタンダードチャータードのビル・ウィンターズ最高経営責任者は、香港のトークン化された資金とステーブルコインへの取り組みが、デジタル貿易決済の新時代の基盤となる可能性があると指摘する。

アジアの規制ハブ競争が激化

香港のステーブルコイン規制は、中国本土の暗号資産禁止政策との整合性を保ちながら、国際金融センターとしての独自性を確保するという難しい舵取りを迫られている。中国人民銀行は2021年以降、暗号資産取引を全面的に禁止しており、香港はグレーターベイエリア構想との調和を図りつつ、独自の規制路線を追求している。

一方、シンガポール金融管理局は、より柔軟な規制アプローチを採用し、イノベーションと投資家保護のバランスを重視した政策を展開している。欧州連合では2026年2月に暗号資産市場規制(MiCA)が完全施行され、グローバルな規制基準の調和が進む。

暗号資産調査会社チェイナリシスによると、2025年6月までの12カ月間でアジア太平洋地域の暗号資産取引量は前年比69%増加し、1.4兆ドルから2.36兆ドルに拡大した。

出典:チェイナリシス

香港の初認可がこの成長トレンドを加速させるか、過度な規制が逆効果となるかは、今後数カ月の市場動向が示すことになる。

香港証券先物委員会は、デジタル資産市場の流動性を深化させるため、プロフェッショナル投資家向けの商品・サービスの範囲を拡大し、規制の枠組み内でイノベーションを加速させるアクセラレータープログラムを立ち上げる計画だ。さらに政府は、債券保有者登録簿を分散型台帳技術で管理できる指針を公表し、トークン化を推進する方針を示している。

3月のライセンス発行は、香港が規制された暗号資産ハブとしてアジア地域をリードできるかを占う重要な節目となる。

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