ビットコイン財務企業でありネイルサロンを運営するコンヴァノが9日、最大50万株・総額2億円を上限とする自己株式取得を決議した。期間は12月10日から2026年1月31日まで。取得理由として、資本効率の改善や株主価値向上を挙げた。同社はビットコインを財務資産として組み入れる企業の1つとして注目されており、今回の資本政策が暗号資産市場に与える影響も意識される。
事業成長を背景とした自社株買いの決定
コンヴァノは9日、臨時株主総会において自己株式取得の議案が承認されたと発表した。取得上限は50万株、取得総額は2億円、実施期間は10日から2026年1月31日までとし、東京証券取引所での市場買付により取得する方針だ。
同社は事業拡大に伴う収益改善を進めており、2026年3月期の営業利益予想は65億3500万円まで引き上げられている。株価が企業価値を十分に反映していないとの認識から、資本効率指標の改善を目的に株式取得を実施する判断に至った。
Sponsored経営側は、本施策を株主還元の一環と位置付ける一方、臨時株主総会による承認を経ることで、資本配分の透明性を高める狙いを示した。なお、2025年11月末時点の自己株式数は2万100株であり、今回の取得枠は発行済株式数に対して0.1%と小規模である。
ビットコイン財務企業としての位置づけと資本政策の含意
コンヴァノは近年、企業財務の一部としてビットコイン(BTC)を保有してきた国内企業の1つとして、暗号資産関連の投資家の関心を集めてきた。高ボラティリティを伴うBTCを組み入れる企業では、財務安全性やキャッシュフローの健全性が市場で注視されやすい。今回の自己株式取得は、事業運営上の資金余力を示す材料として受け止められる可能性があり、本業の安定性とリスク資産保有の両立が可能かを測る一指標となり得る。
2025年以降、国内でもビットコイン財務を採用する企業が散見され、メタプラネットや一部の中堅企業によるBTC保有拡大が議論を呼んだ。こうした動きが相次ぐ中、一般消費者向けサービス事業を手がける企業がBTCを保有することは、暗号資産の財務資産としての位置づけが裾野へ広がりつつある状況を象徴する。
今回の資本政策は、ビットコイン財務を含む企業価値評価が国内市場でも徐々に浸透しつつある現状を確認させる事例ともいえる。
暗号資産市場・投資家への影響と今後の焦点
今回の自己株式取得は規模こそ限定的であるものの、ビットコインを保有する企業が安定した資本政策を実行できるかを示すシグナルとして、暗号資産市場でも一定の注目を集めると見られる。
特に2025年以降、暗号資産関連の上場企業では、財務に占めるBTCの役割やリスク管理体制を投資家がより重視する傾向が強まっている。事業成長を継続しつつ資本政策を実施した今回のコンヴァノの判断は、非ハイテク企業におけるBTC保有モデルの成立可能性を判断する材料となり得る。
他方、暗号資産市場では上場企業によるBTC保有が価格形成に直接影響する局面が増えている。国内企業の財務戦略としてBTC保有が一段と普及すれば、暗号資産価格との相関が企業価値に波及する場面も増える可能性がある。コンヴァノの自社株買いは政策自体は小規模であるものの、BTC保有企業がどのような財務運営を維持できるかを示す象徴的な材料として、暗号資産投資家の関心を集めそうだ。