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今年のアルトシーズンがウォール街で起きている理由

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著者:
Kamina Bashir

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編集:
Shota Oba

07日 10月 2025年 20:24 JST
Trusted-確かな情報源
  • 元BCGアソシエイトのアラナ・レヴィン氏は、現在の「アルトコインシーズン」は暗号トークンではなく、公開取引されている暗号株式で展開していると主張している。
  • 機関投資家は、ETFの承認と規制の明確化により、規制された暗号通貨関連株に資本を投入している。
  • 2025年のデータによれば、Coinbaseは53%、Robinhoodは299%、Galaxy Digitalは100%、Circleは368%上昇し、ビットコインやイーサリアムの上昇を大きく上回っている。
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暗号資産投資家の多くが「ビットコイン(BTC)」以外のアルトコインが高騰する“伝統的アルトコインシーズン”を待ち望む中、ある専門家は「すでにアルトシーズンは始まっている」と語っている。

ただし今回は、トークン市場ではなく、暗号資産関連株の世界で起きている現象だ。規制承認と機関アクセスの拡大により、株式市場が新たな資本流入の主戦場になりつつある。

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機関マネーが「アルトシーズン」の定義を変える

通常、ビットコインの急騰は投資家の資金回転を促し、他の暗号資産(アルトコイン)も上昇する傾向がある。しかし、ボストン・コンサルティング・グループ出身でバリアントの投資パートナーでもあるアラナ・レヴィン氏は、今回の相場サイクルには異変があると指摘する。

「過去数年、このパターンは見られなかった。BTCドミナンス(支配率)は58%まで上昇し、2022年11月以降、安定的に強まっている。今回のサイクルでは“アルトシーズン”はスキップされるのか?それとも、誰も気づかない別の市場ですでに起きているのか?」

レヴィン氏の分析によると、資金循環はビットコインからアルトコインではなく、機関投資家を中心に暗号資産関連株へと向かっているという。

ビットコイン優勢の流れが続く中、機関投資家は「規制されたエクスポージャー」を求め、暗号資産株を選好している。その結果、従来の“アルトシーズン”はトークン市場ではなく、ウォール街で進行していると彼女は主張する。

「新たな資本が暗号資産に流れ込んでいるのは確かだ。しかし主なプレイヤーは小口投資家ではなく機関投資家だ。彼らは採用が遅く、正当性の裏付けを必要とする。まさに今、それが整いつつある」と同氏は説明した。

こうした変化の背景には、米証券取引委員会(SEC)がビットコインおよびイーサリアム現物ETFを承認したこと、ナスダックの株式トークン化構想、そしてSECの「プロジェクト・クリプト」に代表される規制環境の軟化がある。

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これらのマイルストーンは、機関投資家にとって暗号資産株を「合法的なエクスポージャー」として位置づけ、保管・コンプライアンス・取引の面でも安心できる選択肢にした。

「暗号資産を直接保有するには新たなインフラが必要だが、株式投資は既存の運用範囲内。機関投資家にとって、長期的にも効率的な方法だ」と彼女は補足した。

CeFiがDeFiを上回る理由

市場データもこの傾向を裏付ける。2025年に入り、暗号資産関連株の上昇率は主要トークンを大きく上回っている。

  • コインベース(COIN):年初来 +53%
  • ロビンフッド(HOOD):+299%
  • ギャラクシー・デジタル(GLXY):+100%
  • サークル(CRCL):IPO後 +368%、初日終値から +75%
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これに対し、ビットコインは+31%、イーサリアムは+35%、ソラナは+21%にとどまっている。2022年12月の相場底値以降の推移を見ても、暗号資産株のアウトパフォームは明白だ。

Bitcoin vs Crypto Stocks
ビットコイン vs 暗号資産株 出典:X / Alana D. Levin

アーティミス社のジョン・マCEOもこの構造的変化を認めている。コインベースは純利益15億ドルロビンフッドは年換算12億ドルを計上。これに匹敵するブロックチェーンプロジェクトは存在しないという。

「CeFiはDeFiを圧倒している。コインベースの日次取引量は80億ドル(前年比+73%)、月間取引ユーザー870万人。ロビンフッドは8月に取引量4,070億ドル(前年比+64%)、口座数2,670万。ハイパーリキッドは9月の取引量2,930億ドル、前年比+713%」とマ氏は投稿した

さらに彼は、「小口投資家の多くはいまだ中央集権取引所で活動しており、オンチェーン取引が主流化すれば初めてトークン市場が再び優位に立つ」と指摘した。

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株式市場に“アルトシーズン”の方程式が現れる

レヴィン氏は、現在の株式市場の動きが過去のアルトシーズンの特徴を再現していると分析。限られた有望銘柄のみが資本を吸収しており、これは初期の暗号資産市場で数十の主要トークンが支配していた構図に似ていると述べた。

「前回のサイクルでは、多くの暗号資産ネイティブ貸付プラットフォームが崩壊した。だが株式市場の投資家はレバレッジを活用できるため、ブームはより大きく、バブル崩壊時のリスクもさらに深刻になり得る」と警告している。

同氏はまた、今後の資金ローテーションとして「ステーブルコイン発行企業から取引所・デジタル資産運用企業へと関心が移る」と予想。これはDeFi市場での「レンディングからゲーム・AI銘柄へのシフト」とも類似している。

「暗号資産関連株のIPOが相次ぎ、後期スタートアップの上場準備も進む中、次の本格的なアルトシーズンは“株式市場”で進行中だ。いずれトークン市場にも波及するだろうが、今まさに我々はウォール街発のアルトシーズンを目撃している」とまとめている。

こうして、暗号資産市場の「熱狂の中心」はすでに移動している。機関マネーが規制済みの投資手段に流入する中、アルトシーズンはブロックチェーン上ではなく、ウォール街で静かに進行しているのかもしれない。

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