米内国歳入庁(IRS)は木曜に公表した提案の中で、コインベースやクラーケンなどの暗号資産取引所に対し、デジタル資産の税務関連書類を紙のオプションとして提供することなく、電子的な方法のみで交付することを認める方針を明らかにした。
この提案規則は、デジタル資産取引の新しい報告書類であるForm 1099-DAに焦点を当てている。
IRSがフォーマット1099-DAで暗号資産の税申告をデジタル限定に移行
税務当局のデジタル資産報告フレームワークの新たなガイドラインによって、暗号資産トレーダーが税務書類を受け取る方法や、取引所がユーザーの取引を報告する方法が変わる可能性がある。
今年から、暗号資産取引所にはデジタル資産売却の総収益額と取得原価の両方をIRSに報告する義務が生じている。
デジタル税務報告への移行
IRSは、この変更により取引所が税務書類を交付する手続きが簡素化され、紙による報告に伴う事務負担が軽減されるとしている。
「これらの規則案では、1099-DAの明細書を電子的に受け取ることに同意していない顧客に対して、紙で交付することを取引所に原則的に義務付けない」と、同庁は提案書で述べている。
新たな規則の下では、取引所は税務書類をユーザーダッシュボードや電子メール通知などのデジタルチャネルを通じてのみ交付できるようになる可能性がある。
場合によっては、電子交付を拒否する顧客へのサービス提供を取引所が終了できる場合もある。
この提案は、暗号資産取引が主流化する中で、IRSが税務インフラの近代化を推進する動きを反映している。
報告義務の拡大
電子交付の提案は、IRSがデジタル資産取引を追跡する新システムの導入を進める中で発表されたもの。
今年施行された現行規則の下で、暗号資産取引所はユーザーの売買取引に関する詳細な情報をForm 1099-DAで報告する義務がある。
報告義務には総収益額と取得原価の両方が含まれ、IRSはこれによりユーザーの暗号資産取引による潜在的な損益を自動的に算出できる。
規制当局にとって、この新しいフレームワークは暗号資産取引の可視性を大きく高める前進となる。
これまで税務当局は、暗号資産投資家による自己申告に大きく依存してきており、執行面での抜け穴が指摘されていた。
取引所から直接報告されることで、IRSは未報告のキャピタルゲインや個人間売却の見逃しを防ぐための構造化された取引データを受け取ることができる。
暗号資産投資家への監視強化
IRSの報告強化策は、デジタル資産ユーザーへの執行強化と軌を一にして進められている。
暗号資産税務プラットフォームのコインレジャーは、昨年、IRSからデジタル資産取引に関する警告書簡を受け取る米国投資家が急増したと報告した。
これらの書簡の多くは、暗号資産取引が課税対象であり、連邦税申告書に記載義務があることを改めて注意喚起するものだった。
Reddit上では、暗号資産投資家がLetter 6174(デジタル資産取引の申告を促す通知)を受け取った経験を語っている。
「先週、IRSからビットコインの取引に関する郵便が届き、想像以上に動揺した」とこのユーザーは投稿している。「一瞬、本当に監査のリスクがあるのではないかと心配になった」
しかし、その後この投資家は通知が単なる情報提供であり、多くの暗号資産保有者(なかには資産を売却していない者も含む)が同様の書簡を受け取っていたことを知った。
提案への意見募集は継続中
暗号資産の税務書類について電子交付のみを認めるというIRSの提案は、まだ最終決定されたものではない。現在、同庁はパブリックコメントを受け付けており、今後この規則を正式に採用するかどうか判断する見通し。
この変更は、暗号資産がより広範な金融コンプライアンスの枠組みに統合されていくための一歩となり得る。
一方で、暗号資産課税を巡る政策的な議論もワシントンで続いている。過去にはトランプ米大統領が、特定の米国内の暗号資産取引に対する課税撤廃に関心を示したこともある。
これはデジタル資産規制を巡る政治的議論の現在進行形を浮き彫りにするものである。一方、IRSは急成長する暗号資産経済への監督を強化する姿勢を鮮明にしている。