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JPYC、店舗決済の主役になるか=店舗手数料、ガス代、専用端末不要の決済サービスが登場

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執筆&編集:
Shigeki Mori

04日 12月 2025年 17:31 JST
Trusted-確かな情報源
  • SOWAKA PTE. LTD.が円建て日本円ステーブルコイン「JPYC」に対応したWeb3決済サービス「Avacus Pay」を発表、国内のデジタル決済市場に新たな選択肢を提供
  • JPYCの資金移動業者登録(2025年8月)により、法的裏付けのある電子決済手段として、店舗は決済手数料ゼロで導入可能となり、粗利改善に直結する。
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Web3テック企業 SOWAKA PTE. LTD.(シンガポール)は4日、円建て日本円ステーブルコイン「JPYC」に対応したデジタル資産決済ソリューション「Avacus Pay」を発表した。専用端末やレジ改修を不要とし、決済手数料をゼロに設定することで、日本の小売・サービス業に対し、従来のキャッシュレス決済よりもコスト競争力の高いデジタル決済手段を提供し、国内市場の本格的なWeb3導入を後押しする。

JPYCが拓く国内デジタル決済の新機軸

この動きの背景には、国内のステーブルコインを取り巻く法規制の明確化がある。日本国内では2025年3月に資金決済法が改正され、ステーブルコインの法的定義が整備された。これに基づき、JPYC株式会社は同年8月に国内で初めて円建てステーブルコインの発行に係る資金移動業者として金融庁に登録を完了し、10月27日より発行を開始した。JPYCは日本円と1対1で発行・償還され、法的裏付けを持った電子決済手段として位置づけられる。

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SOWAKA PTE. LTD.が提供する「Avacus Pay」は、この法的環境の整備に対応し、事業者が煩雑な手続きなくJPYCを受け取れるインフラとして開発された。最大の特長は、ブロックチェーン技術特有の複雑さを極力排除した点にある。同社が独自開発した「ガスレスシステム」により、ユーザーは暗号資産やステーブルコインなどの取引に必須とされるガス代(ネットワーク手数料)を意識することなく、JPYC残高だけで支払いを完了できる。これにより、従来のQRコード決済と同様の使い勝手を実現し、Web3初心者でもストレスなく利用できる環境を整えた。

手数料ゼロが変える小売・サービス業の収益構造

「Avacus Pay」が小売・サービス業に与える影響は大きいと見られる。従来のクレジットカード決済や主要なQRコード決済は、事業者に2.5%から3.25%程度の決済手数料を課してきたが、同サービスは決済手数料を恒久的にゼロと設定している。これは、月商1000万円程度の店舗であれば、年間で約300万円のコスト削減効果に相当するという。収益構造の改善に直結するため、特に利幅の薄い業界からの関心が高いとみられる。

Avacus Payの仕組み 出典:SOWAKA PTE. LTD

また、Web3技術を活用することで、経理業務の簡素化にも貢献する。受け取ったJPYCの記録だけで基本処理が完結し、複雑な暗号資産会計処理を避けることができる。さらに、店舗独自のポイントを顧客のデジタルウォレットへ自動付与する機能も提供。ポイントの有効期限や利用範囲を柔軟に設計できるため、顧客ロイヤリティの向上とリピート促進に直結する戦略的な販促ツールとして機能する。

SOWAKA PTE. LTD.は2026年第1四半期に一部店舗でのパイロット導入を開始し、同年第2四半期には100店舗への導入拡大を目指す計画だ。初年度のKPIとして導入1000店舗、月間流通額1.5億円を目標に掲げており、日本国内で本格的なデジタル資産決済が普及する試金石となりそうだ。

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