日本の金融庁は、暗号資産の無許可販売に対する罰則を大幅に強化する方針を示したと、3月16日に日本経済新聞が報じた。今回の改正案では、最高懲役刑が現行の3年から10年へと3倍以上に延長される。
この動きは、日本が暗号資産を単なる決済手段ではなく、正式な金融商品として規制する明確な意思表示といえる。
証券基準の執行と同等の制裁金
罰金も大きく引き上げられる。現行の300万円(2万ドル)から1000万円(6万7000ドル)、もしくは両方の併科となる。これらの変更は、暗号資産の監督が資金決済法から金融商品取引法へ移行する中で導入される。
この移行により、日本国内で暗号資産は株式、債券、デリバティブなどと同じ法的枠組みに組み込まれる。登録業者の呼称も「暗号資産交換業者」から「暗号資産取引業者」に変更される。
証券取引等監視委に刑事捜査権限
取締り権限も大幅に強化される。これまで金融庁は、無登録の業者に対して警告書を送付することしかできず、証券取引等監視委員会(SESC)は業務停止の仮処分を裁判所に求めるにとどまっていた。
新たな枠組みでは、証券取引等監視委員会が無許可の暗号資産事業に対する刑事調査を実施する。現地調査や証拠差押え、検察への告発も可能となる。これらの権限は従来、証券詐欺やインサイダー取引などに適用されてきた手法。
拡大された罰則は、現物取引だけでなく、OTCの暗号資産デリバティブ取引の無登録業者も対象となる。
SANAEトークンが上昇の原動力
今回の厳格化は、SANAE TOKEN事件を受けたものであると日経は明記している。2026年2月、NoBorder DAOが高市早苗首相の名を冠したソラナ基盤のミームコインを発行した。
このトークンは発売直後に30倍以上高騰したが、3月2日に高市首相が関与を否定したことで価格が58%以上暴落し、金融庁は無登録取引の調査に乗り出した。
金融庁の相談窓口には2025年第4四半期だけで月平均500件以上の暗号資産関連の苦情が寄せられている。多くは、投資元本の引き出しができないSNS型詐欺で、確実な利益をうたうものが目立つ。
飴と鞭
刑罰の強化は他にも広がりがある。与党は2026年度税制改正大綱で、暗号資産に特化した税制改革も盛り込んだ。現行の最高55%となる累進課税に代えて、20%の分離課税が新設される。
新税制は金融商品取引法改正施行の翌年、早ければ2028年1月から適用される。狙いは明確だ。詐欺業者には厳罰を、適法な投資家にはインセンティブを与えるメッセージ。
アジアの制裁措置競争
日本の強化策はアジア各国の流れとも呼応している。韓国では、バーチャル資産利用者保護法で、50億ウォン超の利益を得た相場操縦に無期限の懲役刑が科される。シンガポールの証券法も、無許可での取引に対し最長7年の懲役刑を定めている。
日本の無登録販売に対する懲役最長10年案は、同様の犯罪に関する規制として世界でも最も厳格な部類に入る。東京は、無規制のミームコイン発行が主流金融の枠組みにふさわしくないという強い姿勢を示している。