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JPYC利用者に銀行振込保留の壁?―AML規制と新決済インフラの摩擦か=岡部代表が即時対応

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執筆&編集:
Shigeki Mori

16日 3月 2026年 12:58 JST
  • JPYC利用者が銀行振込保留に直面。送金元銀行のAML措置が原因で、特に地方銀行での発生が目立った
  • JPYC代表の岡部典孝氏が「第1弾の対応」実施を表明し、金融庁との情報共有も議題にする意向を示した
  • 合法サービスの誤検知という構造的課題を行政と対話する可能性も浮上している
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日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」の発行を試みた利用者の間で16日、銀行振込が保留され、送金元銀行から意思確認の電話を求められる事例が起きた。JPYC社の岡部典孝代表取締役は16日、SNS上で問題を取り上げ、対応策として特定銀行の利用を促した。

さらに、同氏は投稿から約1時間後、「第1弾の対応を行った」と発表し、金融庁との情報共有も視野に入れる姿勢を示した。累計発行額が13億円を突破するなど普及が進むJPYCだが、既存金融インフラとの摩擦という課題を浮き彫りにした。

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銀行が振込を保留、利用者から報告相次ぐ

JPYCの発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を利用しようとした複数のユーザーが、銀行振込の段階で障壁に直面している。振込が保留となり、送金元の銀行から「口座名義人の意思確認の電話をする」という通知を受け取るケースがX上で複数確認された。特に地方銀行での発生が多く、返信欄に「詐欺が多発しているため、電話で許可を出さなければ振り込まれない」と銀行側から説明を受ける例も寄せられた。

こうした保留措置は、JPYC EX側の受け入れ処理ではなく、送金元銀行が独自のリスク判断に基づいて発動するもの。資金移動業者が管理する口座への振込を高リスク取引と見なすケースが増えており、JPYC固有の問題とは言い切れない構造的な課題と言えそうだ。

岡部代表、「第1弾の対応」を実施

JPYC社の岡部典孝代表取締役は、この問題をX上で引用投稿し「よろしくない対応」と述べ、「DMで銀行名を教えてもらえれば、他の人が同じ問題に遭わないよう対応できる」と情報提供を求めた。さらに後続の投稿で「現時点の推奨銀行はGMOあおぞらネット銀行」とした。

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その後、同氏は同日、以下の投稿を行い、具体的な初動対応の実施と今後の方針を明らかにした。

具体的な「第1弾の対応」の内容は現時点では公表されていないが、岡部氏が金融庁との情報交換の場で本件を議題として取り上げる意向を示した。行政当局への働きかけを通じて、合法的な資金決済サービスへの振込保留という問題を制度的に解消しようとする姿勢がうかがえる。

銀行保留の背景にあるAML・CFT対応の義務

銀行側の振込保留・意思確認措置は、金融庁が策定・改訂を重ねる「マネーローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」に基づく顧客保護措置。特殊詐欺の被害資金が資金移動業者の口座に流入する事例が多発していることを背景に、金融機関は当該口座への送金を「要注意取引」として監視することを事実上義務付けられている。銀行側の立場からすれば、法令上の義務として機能させている措置であり、意図的な妨害ではない。

JPYCは資金決済法上の「電子決済手段」として正規に登録された事業者だが、資金移動業者への送金という事実は既存の銀行システムのリスクフィルターには変わらず引っかかる可能性が高い。こうした「合法サービスへの誤検知」は、日本のステーブルコイン実装が本格化する中で、業界全体が向き合う共通課題となりつつある。

金融庁との対話が焦点に=累計発行13億円超のJPYCの次の一手

JPYCは2025年10月27日、改正資金決済法に基づく電子決済手段として正式発行を開始した。1JPYCは日本円と1対1で交換可能で、裏付け資産は日本円預金と国債によって保全されている。発行にはJPYC EXでの本人確認(公的個人認証)が必要で、Ethereum・Avalanche・Polygonの3チェーンに対応する。

2026年2月時点で累計発行額は13億円を突破しており、Web3事業者や法人による利用が拡大している。同年1月にはLINE NEXTとステーブルコインウォレット活用に関するMOUを締結し、2月にはアステリア株式会社(東証プライム)との資本業務提携も発表するなど、エコシステムの拡大が続く。

今回、岡部氏が金融庁との情報共有を明言したことで、銀行振込保留の問題は単なるユーザー体験の課題を超え、行政・金融業界全体を巻き込んだ制度的な議論へと発展する可能性もある。日本のステーブルコインが実用段階に移行するなか、既存の金融インフラとどう共存していくかが、今後の焦点となるだろう。

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