通信大手KDDIは12月1日から、共通ポイント「Ponta」をステーブルコインや暗号資産に交換できる新サービスを開始する。KDDIは10月24日、Web3企業のHashPortと資本業務提携契約を締結し、数十億円規模の第三者割当増資を通じて同社株式の20%超を取得していた。
大阪・関西万博で累計100万ダウンロードを達成したデジタルウォレットの技術基盤を活用し、12月1日からPontaポイントとステーブルコインの交換サービスを開始するというもの。約1億2,400万人のPonta会員と約3,840万人のau PAY利用者を抱えるKDDIが本格的なWeb3事業に参入することで、国内におけるデジタル資産の社会実装が大きく前進する見通しだ。
Sponsored万博ウォレットの実績を活用した戦略的提携
KDDIとHashPortの資本業務提携は、大阪・関西万博で実証されたWeb3技術の社会実装を加速させる狙いがある。HashPortが開発・運営した「EXPO2025デジタルウォレット」は会期中に累計約100万ダウンロードを記録し、アプリストアの総合トップ100、ファイナンスカテゴリトップ10に複数回ランクインする実績を残した。同ウォレットは10月31日に「HashPort Wallet」としてリニューアルされ、ユーザーのNFTなどのデジタル資産を引き継ぎながら、ステーブルコインやポイントとの連携機能を拡充していく。
今回の提携において、KDDIはHashPortに対して数十億円規模の第三者割当増資を実施し、HashPortはKDDIの持分法適用会社となった。
KDDI オープンイノベーション推進本部の舘林俊平副本部長は、HashPortが持つ万博での運用実績と高い技術力を評価。
「Web3ウォレットによるデジタル資産へのスムーズなアクセスが新たな体験価値を創出する未来に大きな可能性を感じている」とコメントした。
両社は相互の強みを活かし、KDDIのモバイルインフラや顧客基盤、金融事業のアセットとHashPortの技術力を組み合わせて、Web3サービスの企画・開発に協力して取り組む方針だ。
SponsoredPontaとau PAYを連携させた新サービス
提携の第一弾として、12月1日からHashPort Wallet内でPontaポイントからステーブルコインおよび暗号資産への交換サービスが開始される。また、ステーブルコインおよび暗号資産からau PAYギフトカードへの交換サービスも同時に提供され、取得したギフトカードはau PAYマネーライトへのチャージに利用できる。この連携により、Ponta会員約1億2,400万人とau PAY利用者約3,840万人という巨大な顧客基盤が、デジタル資産にアクセスできる環境が整備される。
HashPort Walletは9月に米ドルステーブルコイン「USDC」を主要通貨の一つとして採用することを発表しており、今回のサービスではこうした主要ステーブルコインとの交換が可能になる見込みだ。従来、暗号資産やステーブルコインの利用は技術的なハードルが高く、一般消費者にとって敷居が高かったが、日常的に利用されているPontaポイントとの交換を可能にすることで、国内ユーザーのデジタル資産へのスムーズなアクセスを確立する狙いがある。
デジタル資産の社会実装に向けた両社の展望
KDDIとHashPortの提携は、日本国内におけるWeb3技術の普及とデジタル資産の社会実装において重要な転換点となる可能性がある。
HashPortの吉田世博代表取締役CEOは、「KDDIグループの幅広いサービスや顧客基盤と連携して、日本におけるデジタル資産の利用者層を飛躍的に拡大させることができる」と期待を表明している。
同社は大阪・関西万博でのウォレット開発・運用を通じて、誰もがデジタル資産に安全・簡単・自由にアクセスできる社会インフラの構築に取り組んできた実績を持つ。
KDDIは既にPontaポイントやau PAYを含む多様な決済手段を提供しており、今回のステーブルコイン事業参入により、ブロックチェーン上の金融サービスでも活用できる決済エコシステムの構築を目指している。日経新聞の報道によれば、ステーブルコインをau PAYの残高としてチャージできるようにする計画も進行中だ。両社は今後もHashPortの技術力や革新性とKDDIのアセットや経済圏を活用した連携を進め、デジタル資産へのスムーズなアクセスが新たな体験価値を生み出す未来の実現に向けて取り組んでいく方針である。