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暗号資産(仮想通貨)の先物取引とは?

28 mins

ここ数年、暗号資産(仮想通貨)の取引は、従来のルールにとらわれずに利益を上げたいと考える人々にとって、重要なソリューションとなっています。それは、資金を増やすこれまでのやり方を次々と打ち破っているためです。

2017年、暗号資産は5000ドルの安値から約1万9000ドルへと上昇し、世の中の仕組みを変えるほどの価格を記録しました。先物を含む多くの実態的な金融業界のプロジェクトがこの年、暗号資産取引に取り入れられるようになりました。「暗号資産先物取引」は2017年に暗号資産業界に導入され、それ以来、人々に暗号資産(仮想通貨)に投資する新しい方法を提供しています。

ところで、暗号資産の先物取引とは何でしょうか?

先物とは何ですか?

先物とは、将来の予め決められた日に、特定の資産を特定の時間に売買する取引のことです。通常、先物契約は、先物取引所で取引されます。

先物契約には、原資産の品質、数量、価格などが明記されます。先物契約を行う理由は数多くあります。まず、将来の特定の時期に、特定の価格で売買することに合意した取引であるため、原資産の買い手は、市場での日々の資産の値動きから保護されます。一方、指定された価格で売買することが約束されているため、契約者が利益を得る場合もあれば、損失が発生してしまうケースもでてきます。

金融市場では、ほぼすべての契約は、契約者に何かを行う「権利」を与えるものです。しかし、先物契約は、先物契約の内容を実行するための「権利」と「義務」を契約者(両当事者)に与えるという、異なった概念を導入しています。通常、先物契約には、関係する資産の物理的な受け渡しが必要なものもあれば、現金で行われるものもあります。

実際には、どのような仕組みになっているのでしょうか。

先物契約の仕組みは?

先物契約には、買い手と売り手の二者が存在します。それによって、コストを固定し、資産をトレードして収益をあげることができます。

例えば、商品などの資産は、先物取引所で先物契約という形で用いられています。具体的に、ある農家が、次の収穫時に大量のトウモロコシを売りたいとします。まだ生産されていないトウモロコシですが、農家は将来、トウモロコシに適切な価格が支払われることを希望しています。他方、次の収穫のトウモロコシを探している買い手がいて、その買い手は現在の市場価格かそれに近い金額を支払ってくれるとします。この場合、売り手と買い手は、決まった価格で先物契約を結ぶことができます。これにより、売り手と買い手の双方が、不安定な価格変動から保護されます。

先物契約には、通常、ヘッジャー(hedgers)およびスペキュレーター(speculators)と呼ばれる2つの主要なトレーダーが登場します。ヘッジャーは原資産に関心があり、価格変動のリスクをヘッジしようとしますが、スペキュレーターは先物契約にペッグされた資産を実際に利用することはありません。その代わりに、彼らは投機を行ない、利益を得て利害関係者に販売するために先物を購入します。

先物契約では、ロングまたはショートのポジションを取ることができます。

ロングとは、当事者が決められた日時に資産を購入することを約束するものであり、ショートとは、当事者が特定の日付と価格で資産を売却することを目的としています。

暗号資産の先物取引とは何ですか?

商品や株式のような通常の資産を先物契約としてトレードするコンセプトにならい、暗号資産の先物も取引するすることができます。

暗号資産の先物は、二人の当事者が将来の特定の価格と日付を決めて売買契約を締結します。2017年末、CMEグループは暗号資産の先物契約を導入しました。そのGlobex電子取引プラットフォームでトレードされる契約は、現金で決済されます。暗号資産の先物は、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のCFビットコイン基準レートに基づいています。

暗号資産の先物の取引には、現物は関わりません。先物は現金で決済される契約のため、現物は含まないのです。他の先物契約と同様、暗号資産の価格を予測するもので、暗号資産(仮想通貨)の原資産そのものは売買しません。ただし、暗号資産の価格の上昇が予想される場合はロングポジションを取るか、または現物を保有している場合はショートポジションを取り、損失リスクを軽減することができます。

重要なことは、先物契約の価格は、暗号資産の価格にほぼ比例するということです。つまり、先物取引は、暗号資産(仮想通貨)の 原資産を実際に売買するスポット取引の代わりといえます。

スポットトレードでは、安く買って高く売るというような基本的な取引注文に限られ、市場の上昇時に利益が得られる傾向があります。一方、先物取引は、市場が強弱する中でトレードを行ない、レバレッジにアクセスするなど、多くの利点を有します。

暗号資産先物の種類

現在、先物市場にはいくつもの種類があり、プラットフォームによって異なるデリバティブ取引が用意されています。最も一般的な商品は、スタンダード先物契約と永久スワップ契約です。この2つは、投資市場で通常トレードされている人気の高いデリバティブです。しかし、異なった特徴があるので、資金を投入する前にそれらを明確に理解する必要があります。

先物契約と永久スワップ契約の比較

永久スワップと先物契約の本質的な違いを概念的に説明すると、以下のようになります:

永久スワップには、契約の有効期限が設定されていません。基本的に期間は無限です。一方、先物取引は、有効期限を定めています。すなわち、契約を規定する期間があります。これは通常、1ヶ月までか、それ以上の期間となります。

永久スワップには期限の定めがないため、取引所ではファンディング・レートメカニズムと呼ばれる価格同調システムを取り入れています。このメカニズムは、トレードを加算または減算することにより、永久スワップのショートとロングのポジションを安定させるものです。永久契約のショートとロングのポジションを維持するための手数料のようなものです。

永久スワップのもう1つの注目すべき特徴は、通常はスポット市場のトラックレコードを維持することですが、これは仮想通貨トレーダーにとって魅力的といえるでしょう。しかし、ボラティリティが大きなリスクとなります。そのため、永久スワップ契約の価格は、市場の変動時にスポット価格から離れる傾向があります。

先物と同様に、永久スワップでは、ロングとショートのポジションを再設定することは常に排除されます。このプロセスにより、ロングポジションとショートポジションのトレーダー間でコインスワップの交換が行われ、永久価格がスポット価格に収束することが保証されることになります。また、先物では、契約条件と関係する資産が有効期限の到来とともに自動的に収束するため、(先物と現物の)価格の同期を維持する必要はありません。

暗号資産先物はどのように機能するのですか?

先物における仕組みは、一般的な先物契約のそれと同じです。さらに、大規模なリスクテイクを行っているバイナンス(Binance)など中央集権化された取引所もあります。

こうした仕組みをよく理解するために、2ヵ月後に決済される40.000ドルの先物契約で暗号資産を購入すると仮定しましょう。

先物契約では、2ヵ月後に40.000ドルの暗号資産の購入が義務付けられています。その時、価格が50.000ドルでトレードされていれば、1シェアあたり10.000ドルの利益を得たことになります。しかし、その時点で価格が30.000ドルに下落していた場合、40.000ドルで購入しなければならず、事実上1ポジションあたり10.000ドルの損失となります。

もし価格が下がると思えば、同じ条件で40.000ドルの先物取引で売ることができます。つまり、期限までに暗号資産が30.000ドルに下落した場合でも、40.000ドルで売ることができ、10.000ドルの利益を得ることができるのです。逆に(上がると思えば)、暗号資産が満期時に40.000ドル以上でなければなりません。

このトレード義務を満たすために、「証拠金」(margin)と呼ばれる資金を差し入れることになります。証拠金とは、トレードを実行するためにアカウントに用意しなければならない最低限の担保のことです。トレードに投入する資金が多いほど、取引所がトレード完了のために必要とする証拠金は高くなります。

通常、証拠金は原資産価値の5%から15%ですが、例えば5%と仮定しましょう。1000ドル×40.000ドルで先物契約を購入します。このポジションの価値は4000万ドルになりますが、証拠金は契約の5%のみとなります。

レバレッジ

レバレッジが高くなるほど、それだけ高い損益にさらされることになります。さらに、トレード可能な金額は、利用できる証拠金の額によって異なります。例えば、バイナンス(Binance)は取引額の約125倍のレバレッジを用意しています。つまり、レバレッジにより、トレードのボラティリティのレベルが決まります。

暗号資産先物取引のメリットとデメリット

先物のトレードには、多くのメリットとデメリットがあります。大半の経験豊富な仮想通貨トレーダーにとって、それは暗号資産収入を得るための主要なソースとなっていますが、それに伴うリスクも少なからず存在します。

メリット

規制

暗号資産の大きなメリットは、CFTC(商品先物取引委員会)によって規制されていることです。これは、政府の規制を逃れて暗号資産(仮想通貨)に投資する人にとっては、嫌なことかもしれませんが、暗号資産投資家にとっては大きなプラスになります。CFTCの規制は、株式や債券のような他の投資に対する規制ほど厳しくないということです。

こうした規制は、契約を監督するガイドを導入しており、先物契約のスペキュレーターと投資家の両方が遵守できるようにしたものです。そのルールは極めて明確で、守ることができなかった場合の影響も事前にきちんと提示されています。

柔軟性

先物取引のもう一つの大きなメリットは、実は暗号資産そのものをトレードしているわけではないことです。つまり、ウォレットを持つ必要はなく、コインを交換するため現物や原資産を用意する必要もありません。これにより、時間の経過によって価格が上下するコイン(現物)を保有するリスクを完全に払拭(ふっしょく)できます。

レバレッジ取引で利益を増加

先物を有する大部分のプラットフォームは、利益を上げるチャンスを増やすために、「ポジション制限」と「レバレッジ」を提供しています。

例えば、CMEは最大2,000のフロントマンス(front-month)先物契約と、日付が異なる約5,000の契約を用意しています。取引高で最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス(Binance)は、過去のトレード履歴や証拠金の額に基づいてポジション制限を手動で再設定できる、調整可能なポジション制限トグル機能(toggle feature)を備えています。また、同プラットフォームでは、最大125倍のトレーディング・レバレッジを用意しています。

デメリット

高度な技術が必要

先物取引には、高レベルの技術的スキルが必要です。仮想通貨市場の仕組みを理解し、幾つもの市場予測を学習し、しっかりとしたトレード計画を立てる必要があります。基本的に、先物は投機的なものですが、専門家からの有益な市場情報を得ることは可能です。しかし、一般的な仮想通貨トレーダーが語っているように、実際にうまくやっていくことは簡単ではありません。

投資家への高い要求

先物が市場で儲けるプロセスを容易にしてくれる分、誰にでも手が届くというわけではありません。バイナンス(Binance)のような中央集権的な取引所では低額から始められますが、CBOEやCMEでは高額になることが多いのです。さらに、約50%の証拠金確保が必要で、特に他の(金融商品)資産の10%の証拠金と比較すると、通常のトレーダーにとってはかなり高くつきます。

CMEとCBOEは、資格要件を満たす投資家にのみ先物取引を用意しているため、多くの仮想通貨投資家の参加意欲が損なわれています。

暗号資産先物と価格の関係

最終的には、先物契約はコインの価格に追随するかたちになるはずです。しかし、その価格は決済日までに変動する可能性があります。結果的に先物契約は、コインの現在の価格(スポット価格)を上昇させたり、下落させたりする可能性があります。

これ(価格の上下)は通常、ボラティリティの急激な変動によって引き起こされます。例えば、テスラのような大企業が暗号資産への投資を増やしたり、主要国(中国)が暗号資産を禁止したりするような場合です。暗号資産の価格の需給問題が、先物契約のスプレッドの拡大や縮小につながることもあります。

その他の価格変動要因に「ギャップ」(gap)と呼ばれるものがあります。これは取引が行われていない期間のことで、そのためギャップ期間の価格データは存在しません。CME等の従来のプラットフォームでは、24時間365日取引される広範な仮想通貨市場とは異なり、取引時間が決まっているため、このような時間が存在するのです。

暗号資産先物の取引はどこでできますか?

シームレス、規制、または中央集権的な取引所を探しているかどうかにかかわらず、多くのプラットフォームで先物取引にアクセスすることができます。

CBOE:Cboe Global Markets(CBOE)は、米国を拠点とする取引所として初めて先物取引を開設。2017年12月10日にサービス提供を開始。CMEはその1週間後に業務を開始。

CME:先物取引にアクセスできるプラットフォーム。複数の取引所から調達した暗号資産の出来高加重平均価格である「ビットコイン基準レート」(Bitocoin Reference Rate)を採用しており、通常は毎日午後3時から午後4時の間に算出される。CMEの先物は、日曜日から金曜日の午後5時から午後4時(中部標準時)にトレードされ、毎月最終金曜日に失効します。

オックスエックス(OXEx):先物トレードへのシームレスなアクセスを提供する最も人気のあるプラットフォームの1つ。

バイナンス(Binance): 最大の暗号資産取引所で、トレーダーは証拠金の125倍のレバレッジを含む数多くの魅力的な機能を提供する先物をトレードできる。

バイビット(Bybit):最大100倍のレバレッジで証拠金トレードと先物トレードを提供。ユーザーは暗号資産で100倍、他の仮想通貨で50倍のレバレッジを得ることが可能。

FTX:FTXのウェブサイトによれば、FTX先物は、価格の大きな混乱を避けるために、きわめて慎重に証拠金コールを行っているとのこと。

他のプラットフォームは、クラーケン(Kraken)、イートロ(eToro)、その他多数あり。

暗号資産先物は良い手段?

暗号資産への投資を始める方法は何通りもあり、現時点では完璧な投資方法はありません。暗号資産(仮想通貨)先物は、マネーを稼ぐための素晴らしい手段です。しかし同時に、取引を行って損失がでることもあります。ですから、本当にこの世界を探求したいのであれば、メリットとリスクをよく理解し、自分にとって最適な戦略を選択する必要があります。

よくある質問

暗号資産の先物取引とはどのようなものですか?

先物を買うとはどういうことですか?

通常取引と先物取引の違いは何ですか?

先物ではどのように利益を得るのですか?

先物の期限が切れるとどうなりますか?

暗号資産ETFはありますか?

プロシェアーズ・ビットコインETFとはなんですか?

ーETFの利点は?

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Shigeki Mori
大阪府出身。日本では雑誌編集者、読売テレビ広報記者、豪州では日系メディア編集・記者などを経てフリーに。日本とオーストラリアで20年以上、ジャーナリスト、編集者、翻訳者、ウェブプロデューサーとして活動してきた。近年は暗号資産関連の記事の執筆や翻訳、コンテンツ・マネジメントを行っている。
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