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ビットコインは2025年に暴落するか?

28 mins

ヘッドライン

  • ビットコインは半減期効果により2025年秋に30万ドル台まで上昇する可能性がある一方、マネーサプライ減少やインフレ再燃で2万ドル規模の暴落リスクも指摘されている
  • グラスノードやCoinbase等の大手分析会社は強気な見通しを示す一方、アリ・マーチン氏は85Kドル以下での調整を予想。97Kドルが重要なサポートラインとなる
  • 上昇トレンドの主因はETF需要と半減期だが、FRBの利上げ再開やMt.Goxからの40,000BTCの市場放出など、2025年は複数の下落要因が控えている

ビットコイン(BTC)は4年に一度の「半減期」をきっかけに、過去のサイクルでは価格が大きく上昇した例が多く見られます。一方で、市場の天井を迎えたあとは急落するケースもあり、2025年に暴落が起こるのかどうかは投資家にとって大きな関心事になっています。

本稿ではビットコイン半減期の仕組みや重要性、4年サイクルなどを参考に、2025年に予測される値動きのシナリオを検討し、ビットコインの暴落の可能性について検証します。

ビットコインは2025年に暴落するのか?

結論から言えば、2025年ビットコインは暴落する可能性が高いと言えます。その理由は以下の通りです:

ビットコインは2025年に暴落する可能性が高いと考えられます。主な理由は以下の通りです:

  • 世界のマネーサプライの減少:M2指標が108兆5000億ドルから104兆4000億ドルまで縮小しており、約10週間後にビットコイン価格への影響が予想される
  • FRBの金融政策転換リスク:2025年のインフレ再燃により、利下げ停止や利上げ再開の可能性があり、これはビットコイン価格に悪影響を与える可能性がある
  • 過去の半減期サイクル:2012年、2016年、2020年の半減期後、それぞれ約368日、526日、518日でピークを迎えており、2024年4月の半減期から約1年後の2025年にピークが予想される
  • テクニカル分析:85Kドル~87Kドルの重要なサポートラインを下回った場合、短期保有者のパニック売りによる暴落リスクがある

関連記事:暗号資産が暴落した時にすべき7つのこと

ビットコイン半減期とは

ビットコイン半減期予測カバー

ビットコインの半減期とは、マイニング報酬が50%減少するイベントです。およそ4年ごと、または21万ブロックごとに発生し、新規発行されるビットコインの量が減ることで希少性が高まり、価格上昇の圧力になると考えられています。

  • 最大発行枚数が2,100万枚に固定されているため、法定通貨のように中央銀行による増刷ができない
  • 半減期の到来時期はソースコードにハードコードされており、ユーザー側で変更できない

過去のサイクルでは、半減期後にビットコインが大きく値上がりした事例がいくつもあります。ただし、必ずしも価格上昇を保証するわけではなく、外部要因や投資家心理などによって相場は左右されやすいという指摘もあります。

関連記事:ビットコイン半減期|報酬の半減と価格推移の関係性

半減期の仕組みと計算方法

ビットコインのブロック高を用いて、次回の半減期がおおよそいつ発生するのかを予測できます。たとえば、2024年3月時点でブロック高が835,835の場合、次回の半減期ブロック高は以下の計算式で求められます。

835,835 + (210,000 – 835,835 % 210,000) = 840,000

ブロック生成速度は固定ではないため、実際の時期は前後する可能性があります。半減期を迎えるとマイニング報酬が半分になるため、マイナーの収益が減少し、一部のマイナーは撤退を余儀なくされるケースも想定されます。その際、ネットワークのハッシュレートが一時的に低下することがある点にも留意が必要です。

半減期の重要性と注意点

半減期の到来はマーケット参加者から注目されやすく、過去には上昇のきっかけになる例が多く見られました。一方で、市場環境や地政学的リスク、投資家の思惑が想定外の値動きを引き起こすこともあります。

  • 半減期は事前に予測しやすいイベントである反面、実際の発生日は多少前後する可能性がある
  • マイナーの撤退や投資家心理の変化など、複数の要因が重なると短期的な乱高下につながる

こうした点から、半減期はあくまでも価格変動を読み解く材料の一つと考えることが大切です。

関連記事:ビットコインマイニングとは?

ビットコイン暴落の予兆?|ビットコインの上昇サイクルの終焉はいつ?

米著名投資ファンドのパンテラキャピタルは、半減期が価格に与える影響は時間をかけて現れるとしています。過去のデータでは、価格が半減期の約477日前に最安値を記録し、その後上昇に転じるパターンも見受けられました。

  • 2012年の半減期 → 約368日後に価格がピーク
  • 2016年の半減期 → 約526日後に価格がピーク
  • 2020年の半減期 → 約518日後に価格がピーク

著名アナリストのアリ・マーチン氏は、2025年10月頃まで強気相場が続き、ピークに達する可能性を予想しています。Rekt Capital氏もほぼ同様の見解を示しており。過去の例からは、半減期後1年から1年半ほどで最高値を更新してきたケースが多い一方、地政学的リスクやマクロ経済の変動などで相場が崩れるリスクも否めません。

4年サイクルの概要

出典:X

ビットコインは、半減期による供給ショックを背景に「価格急騰(ブーム)」と「過剰評価の修正(バスト)」を繰り返す4年サイクルをたどっていると考えられています。これは、供給の希少性と投機的需要の相互作用によって形成され、最終的には新たな価格の均衡点へ落ち着く流れです。

ブル(上昇)市場の形成

  • 半減期で新規発行量が減り、既存の需要に加えて将来的な希少性を期待する投機的需要が増えます
  • FOMO(取り残されることへの恐怖)にかられた投資家が多く参入し、価格上昇がさらに加速する場合があります
  • マクロ経済の不透明感やインフレヘッジとしてのビットコイン需要も、上昇を後押しすることがあります

ベア(下落)市場の形成

  • 上昇相場は最終的にピークを迎え、初期投資家の利益確定売りや買い手減少により急落するケースが多いです
  • 「ブローオフ・トップ」と呼ばれる天井近辺での急激な値動きが起こることもあります
  • 高値づかみをした投資家のパニック売りによって、市場全体が大きく調整する状況が生じます

段階的に高くなる安値と新たな均衡点

  • ベア市場を経ると、一旦は価格が落ち着きますが、過去のサイクルでは底値が少しずつ切り上がる傾向が見られます
  • ブル相場で生まれた大きなリターンが一定の下支えとなり、投機の過剰分を消化した後に新たな均衡点へ向かう動きが起こります

市場バブルの段階と次のサイクルへの準備

  • バスト期(調整期)は数ヶ月から数年続くことがあり、過剰投機や過大評価された相場が整理されます
  • その後、供給と需要が落ち着いてきた段階で、新規投資家が参入し始めると再び上昇ムードが形成され、次の半減期サイクルの準備が整う流れになります。

2025年のビットコインは暴落する?|専門家・アナリストの見解は

コインベース

Coinbaseの「2025年暗号資産市場の見通し」レポートでは、ビットコイン市場の詳細な動向と価格予測が記されています。2024年に米国でスポットビットコインETFが承認され、ブラックロックやフィデリティなどの大手資産運用会社が参入しました。この結果、約30.4億ドルの純流入が記録され、ETF市場には流通供給量の5.5%にあたる約110万BTCが含まれました。この動きは、ビットコイン価格を大幅に押し上げ、2025年にさらなる成長を後押しすると予測されています。

出典:コインベース

2024年4月に行われたビットコイン半減期では、新規供給量が月あたり約13,500BTC削減されました。この供給の引き締まりは、ビットコインETFやその他の投資商品の需要増加と相まって、価格上昇に寄与しています。さらに、2025年10月末にはMt. Goxリハビリテーショントラストが約40,000BTCを市場に放出する予定ですが、これは市場全体への影響が限定的であると見られています。

技術的な側面では、Coinbaseはレイヤー2ソリューションの成長とスケーラビリティ向上が2025年のビットコインの価値を高めると予測しています。新たなインフラ開発により、ビットコインのユースケースが広がり、ネットワークの採用が進むことが期待されています。これらの技術革新は、ETF市場の成熟や規制の安定化と組み合わさり、ビットコイン市場の信頼性をさらに強化するでしょう。

このように、Coinbaseは2025年をビットコイン市場にとっての重要な転換点と位置づけており、市場の成長が続くと結論付けています。これらの要因は、ビットコイン価格のさらなる高値更新を後押しすると期待されています。

関連記事:ビットコインETFが100万BTCを保有、総供給量の5%に

Bitwise

ビットコイン現物上場投資信託(ETF)を発行するBitwiseによる2025年のビットコイン市場に関する予測では強気の見解が展開されています。同社は、ビットコインが新たな史上最高値を更新し、その価格が20万ドルを超えると予測しています。また、2025年にはビットコインETFへの資金流入が2024年を上回り、市場へのさらなる注目が集まると見られています。

さらに、Bitwiseは、ビットコインを保有する国の数が現在の2倍に増加し、国家レベルでの採用が加速すると予想しています。加えて、米国では労働省が401(k)プランにおける暗号資産の利用規制を緩和し、ビットコインを含む暗号資産への多額の投資が可能になると見込んでいます。

長期的な視点では、2029年にビットコインの市場規模が18兆ドル規模の金市場を超え、1BTCあたり100万ドル以上で取引される可能性が示されています。Bitwiseのこれらの予測は、ビットコインの市場価値や採用がさらに拡大する未来を描き出しています。

アークインベスト

ETF発行企業のアークインベストの分析によると、ビットコインの価格は歴史的な4年サイクルに概ね沿って推移しています。同社の予測では、これまでの2つのサイクルのパターンに従うと、2025年にかけてビットコイン価格は約24万3,000ドルまで上昇する可能性があるとしています。これは2021年11月の安値から約15.4倍の上昇を意味します。

出典:アークインベスト

アークインベストは過去の暴落との比較も行っており、2022年の最大下落率は76.9%と、2018年の86.3%下落や2015年の85.1%下落、2011年の93.5%下落と比べて小幅にとどまったと指摘しています。このことは、ビットコイン市場の成熟度が増していることを示唆しています。

さらに同社は、機関投資家がこの新しい資産クラスへの投資を継続し、米国政府がビットコインを戦略的準備資産として本格的に検討し始めた場合、2025年も上昇モメンタムが継続すると予想しています。

ただし、これらの予測は過去のパターンに基づくものであり、必ずしも実現するとは限らないことにも言及しています。

The Motley Fool

米投資関連会社The Motley Foolのナスダックへの寄稿記事によると、2025年以降のビットコインの展望について以下のように分析しています。

The Motley Foolは、ビットコインの将来価格に関する多様な長期予測を紹介しています。マイクロストラテジーなどの一部の投資家は1コインあたり100万ドルから1,300万ドルになると予測される一方で、価値がゼロになるという予測も存在すると指摘しています。

また同社では、デジタルゴールド論者たちの見方として、ビットコインが最終的に金(ゴールド)の時価総額である約18兆ドルに到達する可能性を挙げています。これは現在の価格の約8倍、ビットコイン1コインあたり857,000ドルに相当します。

しかし、The Motley Foolは2025年のビットコインの動向について、誰も確実なことは言えないと結論付けています。過去の2013年、2017年、2021年のように、強気な市場心理の後に暴落する可能性もあれば、さらなる上昇や横ばいの可能性もあるとしています。同社は投資家に対して、「確実に上がる」「必ず暴落する」という思い込みを避け、デジタルゴールドや通貨としての長期的な可能性を見極めた上で投資を判断するよう助言しています。

関連記事:暗号資産(仮想通貨)はやめとけ⁉︎ 仮想通貨がもたらすリスクとは

フォーブス

米ビジネス紙のフォーブスは最新のレポートで、ビットコインの価格が大幅な下落リスクに直面している可能性を報じています。同誌によると、The Kobeissi Letterのアナリストは、世界のマネーサプライが4兆1000億ドル減少したことを受けて、ビットコインが最大2万ドル下落する可能性があると警告しています。

フォーブスの報道では、ビットコインの価格は世界のマネーサプライの動きに約10週間遅れて連動する傾向があると指摘されています。マネーサプライ指標のM2は、10月の108兆5000億ドルから104兆4000億ドルまで縮小し、8月以降の最低水準に達していると同誌は伝えています。

2025年の見通しについて、フォーブス誌は、ビットバンクのアナリスト長谷川友哉氏のコメントを引用し、インフレ再燃のリスクを重要な懸念材料として挙げています。同氏は、2025年にインフレが過熱した場合、FRBが利下げを停止するか、最悪の場合は再び利上げを開始する可能性があると警告しています。

さらにフォーブスは、米国の債務が34兆ドルを超える状況下で、高金利による政府の債務返済負担の増加が市場の不安要因となっており、2025年には政府の信用性が市場の重要な注目点になる可能性があると報じています。

CryptoVizArt.₿|グラスノードシニアリサーチャー

オンチェーン分析プラットフォームグラスノードのシニアリサーチャーであるCryptoVizArt.₿は24年12月、ビットコイン市場における重要なサポートレベルの分析を通じて、価格がこれらのレベルを割ることが持つリスクを指摘しています。特に、87Kドル~97Kドルの価格帯には多くの供給が集中しており、この範囲が最近の修正局面でサポートとして機能してきました。しかし、価格が87Kドルを下回ると、保有者が損失を抱えて売却を行う可能性が高まり、それが修正を暴落に変え、中期から長期的な弱気相場へとつながるリスクがあるとしています。

さらに、CryptoVizArt.₿は、短期保有者(STH)の動向に注目しています。現在の売却活動は歴史的なピークには達しておらず、価格が短期保有者のコストベースを上回っているため、広範なパニック売りが抑えられていると分析しています。しかし、短期保有者のコストベースである85Kドルを急激に下回り、その後も価格がこの水準を下回り続ける場合、短期保有者の投げ売りが引き起こされ、市場にさらなる下落圧力をかける可能性があると警鐘を鳴らしています。

CryptoVizArt.₿は、これらのサポートレベルがビットコイン市場にとって極めて重要であると結論付けています。これらの価格帯を維持できるかどうかが、現在の強気相場の継続を左右する鍵となり、投資家は特に85Kドルから87Kドルの水準に注意を払うべきだと指摘しています。

また同氏はMVRV Zスコア(市場価値と実現価値の比率を標準偏差で表した指標)を引き合いに、過去の市場ピークは、MVRVが7.0以上(現在の9万8,500ドルから2.42倍)の水準に数週間留まった時に形成されたと指摘しました。このことから、現時点でビットコインがピークに近いと主張する声がありますが、まだ大きな上昇余地が残されているとの見方が示されています。これにより同氏は、25年内に23万ドル台に到達すると主張しました

アリ・マーチン|テクニカルアナリスト

テクニカルアナリストのアリ・マーチン氏は、ビットコインの現在の市場状況について分析し、強気と弱気の両方のシナリオを提示しました。特に、ビットコインが短期的に60,000ドルまで下落する可能性を指摘しています。

弱気シナリオ:60,000ドルへのリスク

アリ氏は、ファンドストラットの分析に基づき、2025年に250,000ドル到達の可能性がある一方で、その前に60,000ドルへの下落が予想されると述べています。さらに、ピーター・ブラント氏は「広がるトライアングル」パターンが70,000ドルへの調整を示唆しているとし、オンチェーンデータでは93,806ドルを割ると支持が薄くなり、70,085ドルまで急落する可能性が高いとしています。

強気シナリオ:100,000ドル以上での回復

一方で、ビットコインが100,000ドルを超えて日次終値を維持すれば、168,500ドルへの上昇が期待されます。これはマイヤー・マルチプルに基づいた分析で、強気相場の再開には100,000ドル突破が鍵となります。

市場の反応

過去1週間で33,000BTC(32.3億ドル相当)が取引所に送られ、利益確定の動きが見られます。さらに、バイナンスでのロングポジションは66.73%から53.60%に低下し、市場の慎重姿勢を反映しています。

アリ氏は、97,300ドルを回復できなければ弱気シナリオが継続すると述べる一方、100,000ドルを超えれば新たな上昇が期待できると強調しています。市場の分岐点にある今、投資家は慎重な行動が求められています。

関連記事:暗号資産(仮想通貨)バブルの仕組みは? いつまで続く?

まとめ:2025年のビットコイン暴落の予兆を把握して適切に投資を行おう

ビットコイン、サムライウォレットフォーク、アシガル

2025年はビットコイン含む多くの暗号資産への期待が高まっている一方で、その上昇サイクルは同年内に終焉を迎えるとの見方が濃厚です。ビットコイン価格は2025年に20万ドルから25万ドルまでの上昇が予想される一方、マネーサプライの減少やFRBの金融政策転換などを背景に大幅な下落リスクも指摘されています。投資家は、半減期による上昇期待と暴落リスクの両面を考慮した慎重な投資判断が求められます。

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Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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