暗号資産取引は暗号資産で資金を稼ぐ最もポピュラーな方法の1つですが、始める前にある程度の専門知識が必要です。暗号資産の価格変動は基本的に不安定であり、取引環境はFXや株式よりもずっと能動的に変化します。
ビットコインチャートの読み方を知っていれば、取引の開始または終了するタイミングをより的確に判断できるため、取引する際に大きな利点となり、潜在的な収益性を高めることができます。この記事では、ビットコイン(BTC)および同類通貨に使用されるポピュラーなテクニカル指標と、一般的な暗号資産チャートのパターンについて紹介します。
取引市場を分析する際には、2つの主要な方法、すなわちテクニカルとファンダメンタルが用いられます。この記事では、チャート分析のテクニカルな面について説明します。ファンダメンタル分析では、ニュース、イベント、幅広い金融や経済への影響、業界の状況など、市場のあらゆるファクターが対象となりますが、テクニカル分析では、主にチャートを使用します。
テクニカル分析とは?
テクニカル分析(TA)とは、基本的に将来の動きを予測するために、現在の市場の状況を分析するプロセスです。市場トレンド、支持線と抵抗線、モメンタム(相場の方向性や勢い)を識別するために価格チャートを使用することに主体が置かれ、トレーダーがより高い確証を持って取引に参加したり、撤退する手助けをします。
この分析の前提となるのは、ある方向性をもって上下する価格は、市場心理に由来する特定のパターンに従うというものです。この前提は、トレーダーは似たような状況においては、似たような手法を使って行動するという考えに基づいています。
テクニカル分析は、仮想通貨の基礎的価値を測るものではありません。それは、将来の動きが起きる確率を予想するもので、数学的指標および既知のチャートパターンを用いています
ブル(買い圧力)とベア(売り圧力)
ビットコインと暗号資産市場は、上方、下方、および横方向の三方向に動きます。上向きに動いている市場は強気、下向きに動いている市場は弱気と見なされます。横ばい相場は、レンジ相場または調整相場ととらえられます。以下の言葉は、こうした暗号資産のチャートの動きを、端的に表すものです:
トレンドは君の友達と同じことさ
暗号資産の価格の動きは、現在の価格の動きに伴うトレンドに逆行するよりも、それに従うことの方がはるかに多いと言えます。長期的なトレンドはあまり変化しないため、市場における心理的要因もこれに従う形になります。ビットコインの強気相場と弱気相場は、互いに逆転する状況になるまで数年続くことがあります。
価格トレンドには、局面が反転したように見えるいくつかの上昇、調整、または下落を経て、元のトレンドに戻ってしまうケースもあります。要するに、価格は一直線に動くわけではないのです。暗号資産の価格分析とチャートパターンを使えば、さまざまなタイムフレームのトレンドのなかに隠れた変化の兆しをつかむことができます。
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移動平均線
移動平均線は、暗号資産チャートで一般的に使用されるテクニカル指標の一つです。これはランダムな短期的な価格変動からノイズとなる 「余計なもの」をふるい落とし、トレンドを追跡する移動指標です。
暗号資産チャートで使用される移動平均線には、単純移動平均線と指数移動平均線の2つのタイプがあります。
- 単純移動平均線(SAM) ー 設定した日数における一定の価格セットの単純平均を用います。
- 指数移動平均線(EMA) ー 直近の日数を重視して加重平均を行うため、新しい情報への対応がしやすくなります。
移動平均線は、トレンドが反転するタイミングを探るときによく使われます。移動平均を計算するために用いる日数はさまざまです。
暗号資産のチャートで一般的に使用される移動平均線は、50日線と200日線の2つで、長期的なトレンドパターンおよび支持線と抵抗線の範囲を特定するために用います。
同2つの移動平均線をビットコイン価格チャートに加えると、価格が潜在的な動きの上限または下限にあるか、また大きなトレンドの反転が進行しているかを見極めるのに役に立ちます。
また、これら2つの移動平均線が交差するときは、将来の値動きやトレンドの変化に関する大きなシグナルとなり、以下のようにそれぞれのシグナルを表す名称がつけられています。
- ゴールデンクロス – 50日線が200日線を上回ったときに起きる。強気のトレンドパターンが強気に反転したことを示す。
- デスクロス(デッドクロス) – 50日線が200日線の下方へクロスしたときに起きる。トレンドパターンが弱気に反転したことを示す。
上図のビットコイン価格チャートは、過去1年間にこのクロスパターンが確認された2つの事例です。数ヶ月の間にビットコイン価格はクロスパターンを境に上昇あるいは下落しました。このパターンは通常、実際の価格反転の後に現れるため、図中の移動平均線も実際の価格トレンドのボトムとトップより遅れて現れていることに注意してください。
さらに、移動平均線によって支持線と抵抗線のゾーン(範囲)がわかります。移動平均線が価格と交差するときは、交差する方向に向かって上下どちらかへ勢いがついていることを示しています。
支持線と抵抗線
支持線(サポートライン)と抵抗線は、暗号資産の価格チャートを使用するときに理解しておくべき重要なファクターで、最も広く使用されている指標の一つです。時間の経過とともに変動する相場において、価格が引き戻される範囲は抵抗線と呼ばれ、一方、下降の動きからの反発は支持線レベルにあることを示しています。
価格が同じ値付近に繰り返し戻り、その水準を上回らない場合、その部分で抵抗線が強く形成されています。逆に価格が同じ水準まで何度も下落するものの、そこを下回らない場合、支持線が強い状態にあります。
価格がこうした範囲(ゾーン)を通り抜ける状況を、ブレイクアウト(breakout)と呼び、通過後は、それから下または上にある次の水準の支持線または抵抗線を探すことになります。
このように支持線と抵抗線の範囲を見分けることで、市場のトレンドをふまえたより的確な売買の判断が可能になります。
フィボナッチ分析
フィボナッチ・リトレースメントも、暗号資産トレーダーにとっては重要なツールとなります。これは、レオナルド・フィボナッチというイタリアの数学者が、万物に存在する自然の割合(黄金比)を求める比率を表す数列を発見したことに由来します。
この数列は、暗号資産チャートの判断に適用できる比率(0.236, 0.382, 0.500, 0.618, 0.764)で、リトレースメント(通称フィボナッチ分析)の水準を判別するためのものです。この分析は、支持線と抵抗線の範囲を予測するために用いられます。
フィボナッチ・リトレースメントでは、価格が一方向に大きく動いた後、元の方向に戻る前に、価格が以前の価格水準に引き戻されるリトレースかまたは部分的に戻るという説に基づき、分析が行われます。
上のチャートは、ビットコインの2017年の上昇時にみるフィボナッチ・レベルです。
その他のテクニカル指標
移動平均線やフィボナッチ分析の他にも、暗号資産のチャートのテクニカル分析を行うことが可能なテクニカル指標が多数存在します。
- RSI(相対力指数)– これは資産が買われすぎか売られすぎかを示す指標です。トレーダーが相場の強さを測定するために使用します。この指標は通常、価格チャートの下に表示され、1~100%で表示されます。30%を下回る場合は売られ過ぎ、70%を超えるときは買われ過ぎとされます。
- MACD (Moving Average Convergence Divergence:移動平均収束拡散手法) – 複数の移動平均を組み合わせて、より正確なトレンドの特定を可能にするトレーダーに人気の指標です。また、高速移動平均と低速移動平均の差を表示するヒストグラムもあります。
- ストキャスティクス – このシンプルなモメンタム(相場の方向性や勢い)オシレーター(momentum oscillator)は、終値から価格間の変化の度合いを測定し、現行の方向の継続性を予測します。また、暗号資産が売られすぎか買われすぎかを判断するために使用することもできます。
- パラボリックSAR – (価格)チャートにあらわれるローソク足の上か下に、ドット(dot)で印を付けるストップ&リバーサル(Stop & Reversal)と呼ばれるもので、価格の動きの反転の可能性やトレンドの終わりを示します。
- ボリンジャーバンド – 価格が横ばいのときはバンド(帯)が接近し、上昇または下降しているときはバンドが離れるように、相場のボラティリティ(価格の変動性)を測定するツールです。また、上下のバンドは抵抗線と支持線の役割も果たします。
他にも一目均衡表(IKH)、平均方向性指数(ADX)、チャイキン・オシレーター(Chaikin Oscillator)など、数えきれないほどの指標があります。
最後に、ビットコインに特化した指標として以下を挙げておきます。取引所の取引量および流動性、ハッシュリボン(Hash Ribbons)、プエル・マルチプル(Puell Multiple)、ダイナミックレンジNVTシグナル(Dynamic Range NVT Signal)、メトカーフの法則(Metcalfe’s law)、UTXOメトリクス(UTXO metrics)、ビットコイン・エネルギー・バリューオシレーター(BTC Energy Value Oscillator)。
ただし、これらの指標はチャートリーディングの域を超えており、オンチェーンメトリクス(潜在的な底が近いことを示唆するもの)や分析の領域に分類されるものです。
ローソク足チャート
日本のローソク足を基本的に理解しておくことも、暗号資産のチャートを見るうえでは有効です。それぞれのローソク足は、一定のタイムフレームの間のプライスアクション(price action)を示すもので、始値、高値、安値、終値がわかる仕組みです。ローソクの本体は実体、また伸びた線はヒゲ(stalk, wick)と呼ばれています。
こうしたローソクには数多くの異なるパターンとシグナルがあり、前述のテクニカル指標と組み合わせると、価格の方向を判断するのに役立ちます。以下の図表は、一般的なパターン例です。
タイムフレーム
タイムフレームは、暗号資産チャートを読む上で非常に重要なファクターです。チャートには、タイムフレームごとに異なる相場の状態が随時示されるので、それによりテクニカル指標が何を表わすのかも変化します。このため、複数のタイムフレームを用いて暗号資産を取引することが極めて重要になります。
一般的なチャート用ソフトウェアは、通常、1秒から1ヶ月までのタイムフレームでチャートを表示します。使用するフレームは、トレーダーのタイプにより異なります。小さな利益を素早く確定するスキャルパーは、1分以下の短いフレームで取引し、デイトレーダーは15分、1時間、4時間のチャートを選択する傾向にあります。他方、長期トレーダーなどの保有者は、たいてい日足、週足、月足のチャートを見ています。
異なるタイムフレームのチャートを読み比べることで、全体像と包括的なトレンドをより深く理解することができます。まさに「トレンドは君の友達と同じ」なのです。
暗号資産チャートのパターン
暗号資産のチャートには、将来の値動きを予測しやすいパターンがしばしば出現します。チャート内でこうしたパターンが形成されたら、トレンドの反転、トレンドの継続、強気または弱気のモメンタムの識別に利用できます。
ビットコインとその他暗号資産について、共通して認識されているチャートパターンのいくつかを以下に紹介します。
- 反転パターン:ヘッド&ショルダー、インバースH&S、カップ&ハンドル、ダブルトップ/ボトム、ライジング&フォーリングウェッジ
- 継続パターン:ペナント、レクタングル、フラッグ、ライジングウェッジ&フォーリングウェッ。
- 両建てパターン:対称性トライアングル、昇順または降順三角保ち合い。
両建てパターンとは、どちらかの方向に価格が動き出す可能性のあるパターンです。
他方、FX取引に使用されるチャートパターンの多くも、暗号資産取引に適用できます。
トレンドが反転しそうな状態にあるか、継続するかを見極める方法は他にもあります。
- ハイヤーハイ、ハイヤーロー:価格がまだ上昇中で、上昇トレンドが維持されていることを示す強気のパターン。価格は以前の高値を更新し続け、引き戻しもそれほど大きくはない。
- ローワーハイ、ローワーロー:価格が下落し、下降トレンドが維持されていることを示す弱気なパターン。高値が更新されず、引き戻すたびに安値が更新される。
これらは、トレンド全般にまたがる大きな流れを表わすので、ビットコインや暗号資産を取引する際に注視していくことが極めて重要となります。
ダイバージェンスは、指標と価格またはチャートパターンの間に不一致がみられるときにあらわれます。上昇トレンドでは、価格が高値を更新しているのに指標が上がらない場合に発生し、下降トレンドでは、価格が安値を更新しているのに指標が下がらない場合に起きます。ダイバージェンスが発生すると、価格がリトレースメント(価格方向に対する一時的な値動きの変化)する可能性が高くなります。
他にも、暗号資産のチャートパターンがあります。相場における群衆心理の自然なリズムに働きかけるエリオット波動がその一例です。また、ビットコインチャートで頻繁に見られるフラクタル(fractals:自然に繰り返されるパターン)もあります。
暗号資産チャートがわかる情報源
暗号資産チャート、ビットコインの価格分析、仮想通貨のテクニカル分析に関する情報源は、オンライン上で数えきれないほど提供されています。以下にその一部を紹介します。
- トレーディングビュー(Tradingview.com)
- ベーシックな指標を網羅する無料のチャート作成ソフトウェア(詳細は同社のサブスクリプションをご参照ください)を提供しています。トップアナリストによるソフトウェア評価も閲覧できます。
- ベイビーピプス(Babypips.com)
- FX取引向けサイトで、テクニカル分析やチャートの読み方の基本が学べる優れた教育ツールを備えています。
- ツイッター(Twitter.com)
- 暗号資産業界のトップアナリストをフォローしており、業界関係者の知見が得られます。
- ビーインクリプト(Beincrypto.com)
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