近年、暗号資産市場では「ミームコイン」と呼ばれるユーティリティを持たない暗号資産ジャンルが急速に拡大しています。その中でも、2025年1月18日に発表された 「トランプコイン(TRUMP)」 は、前代未聞の規模で注目を集めるプロジェクトとなりました。価格は1日で数十倍に暴騰し、時価総額ランキングトップ20位圏内に食い込みました。トランプコインは、ドナルド・トランプ米国大統領が公式に発表した暗号資産であり、彼の象徴的なスローガン「FIGHT FIGHT FIGHT(戦え、戦え、戦え)」を掲げるミームコインです。
本記事では、トランプコインの概要、リスク、そしてどこで買えるのかについて初心者投資家にもわかりやすいように解説します。
ミームコインとは?
ミームコインは、インターネット上のジョークやミーム文化をルーツに持つ暗号資産で、当初は実用的な価値を持たず、主に娯楽や政治的表現の手段としてコミュニティ内で利用されてきました。その代表例が、2013年に誕生したドージコインです。柴犬の画像をモチーフにしたこのコインは、もともとジョークとして登場したものの、瞬く間にインターネット上で注目を集め、暗号資産市場においても存在感を強めていきます。
ミームコインの価値は、コミュニティの支持に大きく左右されます。SNSやオンラインフォーラムでの活発な議論やシェアが、その認知度を高め、市場価値を押し上げる要因となります。柴犬コインやペペコインなどの例では、熱狂的な支持者の活動によって短期間で価格が急騰し、億り人が現れたケースもあります。また、著名人のSNSでの発言がきっかけで、一部のミームコインが突如として高騰する現象もありました。
ただし、ミームコインは価格の変動が極めて激しく、投資には大きなリスクが伴います。それでも、ジョークから生まれたこのカテゴリーのコインは、暗号資産市場の中で独自の立ち位置を確立し、今なお進化を続けています。
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トランプコイン(TRUMP)とは?
アメリカ大統領ドナルド・トランプは25年1月、ソラナ(SOL)基盤のミームコイン「オフィシャル・トランプ(TRUMP)」を発表しました。同発表は公式XおよびTruth Socialアカウントで行われました:
私の新しいオフィシャル・トランプ・ミームがここにあります!私たちが信じるすべてを祝う時です:勝利!私の特別なトランプコミュニティに参加しましょう!
公式発表
また、同ミームコインは2024年7月13日にペンシルベニア州で発生した暗殺未遂事件を生き延びたことにインスパイアされており、画像には拳を上げ「戦え、戦え、戦え(FIGHT FIGHT FIGHT)」と叫ぶトランプ氏の姿が描かれています。同発表、TRUMPは初日24時間で1万%上昇し、暗号資産トラッキングサイトのコインゲッコーによると取引量は52.5億ドルを記録しています。また、19日にはファーストレディーのメラニア・トランプ氏の公式コインも発表され話題となりました。
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さらに、1月19日には以下のような価格動向を見せました。
- 最高値:75ドル
- 現在の価格:約46ドル(2025年1月20日時点)
- 時価総額:約9.36億ドル
- 24時間取引量:36.15億ドル
このような暴騰の背景には、トランプ氏が暗号資産推進派であることや、政治とミーム文化の融合が影響していると考えられます。
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TRUMPトークン詳細:
TRUMPは、ソラナブロックチェーン上で発行されるトークンの規格であるSPLトークンです:
項目 | 詳細 |
---|---|
ブロックチェーン | Solana |
総供給量 | 10億TRUMP |
初期流通量 | 2億TRUMP |
ロック解除期間 | 3年間で80%のトークンが段階的に開放 |
管理企業 | CICデジタルLLC、Fight Fight Fight LLC |
公式ウェブサイトによると、発行済みトークンの80%はCIC Digital LLCとFight Fight Fight LLCによって管理されており、今後3年間かけて市場に供給される予定です。この仕組みにより、トークンの価値を安定させることを目的としているとされています。
これらの組織は3年間のロックアップ期間を設け、段階的にトークンを市場に供給するとしています。しかし、市場では「特定の団体が価格を意図的に操作できるのではないか?」といった懸念の声も上がっています。
ミームコイン市場におけるトランプコインの位置づけ
トランプコインは、従来のミームコインとは異なる独自のポジションを持っています。
以下のような代表的なミームコインと比較すると、その違いが明確になります。
コイン名 | 時価総額 | 特徴 |
---|---|---|
DOGE | 150億ドル | イーロン・マスクが支持する最古のミームコイン |
SHIB | 90億ドル | DeFi統合が進む人気のミームコイン |
PEPE | 20億ドル | 短期間で急騰し、市場に定着 |
TRUMP | 12億ドル(初動時) | 政治的な影響力を持つ唯一のミームコイン |
トランプコインの最大の特徴は、ドナルド・トランプという実在の政治家の影響力を背景に持つことです。このように政治と関連するミームコインはPolitiFiと分類されます。このため、単なるミームコインではなく、政治的な動向や選挙結果によって価格が大きく変動する可能性があるという点が他のコインと大きく異なります。
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トランプコイン、どこで買える?|TRUMPの購入方法
現在、TRUMPトークンは以下の方法で購入できます。なお、本稿執筆時点でTRUMPは国内取引所での取り扱いはありません。また、公式サイトからの購入は海外居住者のみが可能です。したがって本稿ではCEXおよびDEXでの購入方法を解説します。
- 公式ウェブサイト(GetTrumpMemes.com ※海外居住者のみ)
- ソラナ基盤のDEX(Jupiter、Raydiumなど)
- 海外中央集権取引所(CEX)
TRUMPの中央集権型取引所(CEX)選び
TRUMPは国内取引所には上場していないため、海外取引所を利用する必要があります。以下におすすめの取引所とその特徴を紹介します。
Bybit
概要: 使いやすいデザインと高いセキュリティで人気の大手取引所。
特徴: フィアット通貨で暗号資産を購入可能で、取引手数料が約0.1%と低価格。
利点: 日本語対応のインターフェースを備えており、初心者でも利用しやすい。
KuCoin
概要: 幅広い銘柄を取り扱い、セキュリティも堅牢な取引所。
特徴: 取引手数料が0.1%とリーズナブルで、ステーキングやレンディング機能も充実。
利点: 流動性が高くスムーズな取引が可能。多様な銘柄にアクセスできる。
BingX
概要: 新規ユーザーにも使いやすいインターフェースを提供する取引所。
特徴: シンプルなデザインで、マージントレードを含む多彩な取引機能を備えている。
利点: 幅広い暗号資産を扱い、利便性が高い。初心者から上級者まで幅広く対応。
自分の投資スタイルやニーズに合わせて取引所を選び、安全な取引を心がけましょう。
CEXでのミームコインの買い方|Bybit版
以下に、Bybitを用いてTRUMP具体的な購入手順を紹介します。
1. 国内取引所の口座を開設
まず、日本の取引所(例: bitFlyerやCoincheck)で口座を開設し、暗号資産(例: XRP)を購入します。これにより、国内の法定通貨(円)を暗号資産に変換することができます。
2. 海外取引所Bybitの口座を開設
Bybitの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成します。必要な個人情報を入力し、本人確認(KYC)手続きを完了します。
3. 国内取引所からXRPをBybitに送金
次に、国内取引所で購入したXRPをBybitに送金します。Bybitアプリを開き、「資産」タブから「入金」を選び、XRPの入金先アドレスを確認します。さらに国内取引所の出金手続きを行い、確認したアドレスにXRPを送金します。
4. BybitでXRPをUSDTに売却
Bybitアプリで「XRP/USDT」ペアを選びます。成行注文でXRPをUSDTに売却します。これにより、TRUMPを購入するためのUSDTが手に入ります。
5. 売却したUSDTでTRUMPを購入
Bybitアプリの検索バーで「TRUMP」と入力し、「TRUMP/USDT」ペアを選びます。そして成行注文でUSDTを使ってWIFを購入します。これでTRUMPの購入が完了します。
分散型取引所(DEX)選び
TRUMPの取引には、分散型取引所(DEX)も重要な選択肢となります。以下にTRUMPに対応する代表的ソラナチェーンのDEXを紹介します。
Raydium
- 概要: ソラナブロックチェーン上に構築された高速な分散型取引所。
- 特徴: 高速取引と低手数料が魅力で、Solanaエコシステムのトークンを中心にサポート。
- 利点: トークン流動性が高く、スワップや流動性提供で利回りを得られる。ステーキング機能も充実。
Jupiter
- 概要: ソラナブロックチェーン上に構築された分散型取引所アグリゲーター。
- 特徴: 複数のDEXから最適な取引ルートを提供し、ユーザーに有利なレートでのスワップを可能にする。
- 利点: 多様なトークンの取引をサポートし、指値注文や定期購入などの機能も提供。
Orca
- 概要: ソラナチェーン上で古くから運用されている分散型取引所。
- 特徴: 集中的な流動性供給(価格の範囲設定)が可能で、ユーザーフレンドリーなインターフェースを持つ。
- 利点: ガバナンストークンORCAを発行し、簡単にトークン作成や流動性プールの作成が可能。
DEXでのTRUMPの買い方|Raydium版
1. スワップ画面へ移動
Raydiumのアプリを開き、トップナビゲーションメニューから「Swap」を選択します。その後、ウォレットを接続してください。
2. トークンを選択
スワップしたいトークンをドロップダウンメニューから選択するか、トークンのミントアドレスを直接入力してください。本ガイドでは、SOLからRAYへのスワップを例に説明します
3. スワップする数量を入力
スワップしたいトークンの数量、または受け取りたい数量を入力し、「Swap」ボタンをクリックしてください。
4. トランザクションの完了を確認
取引が承認されると、新しい残高が反映されます。ただし、表示が更新されるまで数秒かかる場合があります
スワップ時の重要ポイント
- 価格インパクト(Price Impact)を確認し、大規模スワップや流動性の低いプールでは「最小受取額(Minimum Received)」もチェックすること。
- スリッページ許容値(Slippage Tolerance)を適切に設定し、予想価格と実際の約定価格の差を管理する。設定はスワップ画面の右上や設定パネルから変更可能。
エラー発生時の対処法
「TimeOut」エラーが表示された場合、トランザクションがブロックチェーンに到達していない可能性がある。取引の成功率を上げるには、優先手数料(Priority Fees)を増やすことで承認されやすくなる。ただし、過剰な設定は無駄なコストにつながるため注意が必要。
関連記事:トランプ大統領が率いる暗号資産「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」とは?
トランプコインのリスクとは?
元Coinbase CTOのBalajis氏は、TRUMPについての今後の社会的影響に関する考察を示しました。同氏はTRUMPのローンチはは政治家やインフルエンサー、有名人にも影響を及ぼし、今後、独自のミームコインを発行する流れが生まれる可能性があると主張しています。仮に市場に多数の個人ミームコインが誕生したとしても、購入者はそのブランド価値を理解しているため、問題にはならないと見ています。一方で同氏は、これらのコインの価値が持続するかどうかは不透明であり、特に「TRUMP」コインが今後どのように推移するかが重要だと述べています。政治的な利益相反の懸念については、過去の政治家たちも様々な方法で利益を得てきたことを踏まえると、トランプ氏は「すべてを公然と行っている」と主張するのではないかと予測しています。
また、Balajis氏は、「TRUMP」コインのエアドロップが新たな政治戦略になり得ると指摘しています。仮に7700万人の支持者に配布すれば77億ドルのコストがかかりますが、支持固めの手段として有効だと述べています。最終的に、仮想通貨と政治の結びつきが強まり、新たな社会契約が生まれる可能性があると主張しています。
コインベースのコナー・グロガン氏は、トークンの所有が一部に集中している点を重大な警告として指摘しました。同氏によると、トークン供給の80%にあたる30億ドル相当が、作成者が管理するマルチシグネチャウォレットにロックされていると述べています。さらに、上位5つのウォレットが流通供給の90%以上を保有しており、市場での価格操作の可能性が懸念されています。
また、ブロックチェーン分析会社SpotOnChainは、より異常なパターンを指摘しました。同プロジェクトは、Gate.ioやBinanceからSOLで初期資金を受け取ったものの、コインベースのような主要な米国取引所を避けたことが判明しています。この不自然な動きにより、トークンの信頼性やプロジェクトの意図に対する疑念がさらに強まっています。
オンチェーンデータは、トークン所有者が5e2qRcであり、DKbF4から資金提供を受けていることを示しています。興味深いことに、このアドレスは2日前にGate.ioから、10日前にBinanceからSOLを受け取りました
SpotOnChain
さらに、ICOを通じて発行された暗号資産は通常、証券として扱われます。しかし、TRUMPのチームはこのコインが証券ではないと明言しています。これに対しSEC(米国証券取引委員会)がどのように判断するかは未だ明確にはなっていません。
ミームコイン全体が持つリスク
CoinWireが2024年11月に公開したレポートによると、過去3ヶ月間に377人のインフルエンサーが宣伝した1,567のミームコインを分析した結果、76%のインフルエンサーが価格が90%以上下がったしたコインを喧伝していたといいます。
調査によると、インフルエンサーによって宣伝されたミームコインの約67%が無価値となっており、3ヶ月後には86%のコインの価値が10分の1にまで下落しています。10倍の利益を生み出したコインを宣伝できたインフルエンサーは、全体のわずか1%にとどまっています。
短期的なパフォーマンスも低調で、宣伝されたコインのうち80%は1週間以内に価値の70%を失い、1ヶ月後には損失が80%に拡大する傾向にあります。特に、フォロワー数20万人以上の大規模インフルエンサーによるプロモーションが最もパフォーマンスが悪く、3ヶ月後の平均損失率は89%に達しています。一方で、フォロワー数5万人未満の小規模インフルエンサーは、わずかに良いリターンを示し、場合によってはプラスの結果をもたらすこともあります。
平均すると、インフルエンサーはプロモーションツイート1件あたり399ドルを得ており、多くのプロモーションが投資家の利益よりもインフルエンサー自身の収益性を優先している実態が浮き彫りになっています。
CHAIN PLAYのデータによると、2024年時点でミームコインの数が急増する一方で、その97%が破綻しており、極めて投機的で短命な特性が明らかになっています。平均すると、ミームコインの寿命は約1年であるのに対し、他の暗号資産プロジェクトの平均寿命は約3年とされています。
さらに、BeInCryptoが2024年8月に報じたように、Pump.funでローンチされた170万以上のミームコインのうち、1,000万ドル以上の時価総額を複数週間維持できたのはわずか15件に過ぎません。また、2024年にBinanceへ上場したミームコインの中でポジティブなリターンを記録したのは1つのみで、残る29トークンは価値を失い、一部は最大90%近く下落する結果となりました。
まとめ:トランプコインの動向に注目
トランプコイン(TRUMP)は、単なるミームコインの枠を超え、政治・経済・暗号資産市場に大きな影響を与える存在となりました。トランプ氏自身が発表したことで、信頼性と影響力が増し、発表直後には驚異的な価格上昇を記録しました。しかし、その一方で、市場操作の可能性、所有者の集中、規制リスクといった懸念点も浮上しています。
特に、80%のトークンがトランプ関連企業によって管理されている点は、今後の流動性や市場の安定性に不透明感をもたらしています。また、仮想通貨市場全体で見ても、ミームコインの多くは短命であり、投機的な資産としての側面が強いことも理解しておくべきでしょう。
とはいえ今後、米国の暗号資産規制の変化や、トランプ氏の影響力の変動に応じて、TRUMPの価格や市場動向も大きく変わる可能性があります。投資家としては、短期的な利益を狙うのか、長期的な動向を見極めるのか、自身の戦略を明確にした上で、慎重に判断することが求められます。
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