米上院議員のシンシア・ルミス氏は、木曜日に開催された上院共和党の非公開会合で暗号資産市場の法整備に関し「大きなひらめきがあった」と記者団に語り、停滞していたステーブルコインの利回り論争に予想外の進展があったことを明らかにした。
同じ会合に出席したホワイトハウス暗号資産評議会のパトリック・ウィット事務局長は、落胆した表情で会場を後にし、コメントを拒否したとされる。相反する反応は、今回の妥協案が政権の望む立場と一致しない可能性を示唆する。
暗号資産法案のステーブルコイン利回り妥協案、ホワイトハウスと対立の可能性
デジタル資産市場の明確化を目指す通称「CLARITY法案」は、上院銀行委員会が初回の審議日程を延期した1月以降、停滞が続いている。
本質的な対立点は、ステーブルコイン保有に対する利回りや報酬をプラットフォームが提供できるかについて、暗号資産業界と銀行ロビーが対立している点にある。
アメリカ銀行協会を中心とする銀行側は、ステーブルコインの報酬は預金金利と同等であり、従来型銀行ビジネスの根幹を脅かすと主張。
一方で暗号資産企業側は、昨夏に成立したGENIUS法は、ステーブルコイン発行者による利回り提供のみを禁止しており、関連プラットフォームや取引所による提供は制限していないと反論する。
銀行委員会の暗号資産小委員長であるルミス氏は、利回り交渉が進展しているが「非常に繊細な状況」と記者団に述べたという。
また、食品法案の文言作成よりも、現時点では「誰に働きかけるべきか」の特定へと焦点が移っていると説明したとのこと。
この発言から、これまで双方が想定していなかった新たな利害関係者や妥協パートナーが打開の突破口になる可能性がうかがえる。
「今回の会合で大きなひらめきがあったと思う。入室前には想定していなかった道筋が拓けつつある」 と、エリノア・テレット氏がルミス氏の言葉として伝えている。
2つの笑顔と1つのしかめ面、テキストなし
ポッドキャスト「Crypto In America」主催のテレット氏によれば、会合を終えた登壇者らの表情が分かれたことが印象的だった。
- ルミス氏は明らかに楽観的だった。
- 銀行委員会委員長のティム・スコット氏は笑顔で会場を出たが、廊下での取材には応じない方針だとしてコメントを控えた。
- ホワイトハウスで暗号資産法案担当のウィット氏は終始無言だった。
その前日、ルミス氏は同法案が4月末までに委員会を通過し、年内に上院で成立する可能性を示唆していた。
利回りに関する妥協案では、暗号資産プラットフォームによる「金利」や「預金利回り」といった銀行用語の使用を禁止し、報酬がユーザー保有額に連動する仕組みも認めない方向性が示唆された。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOも、利回りの表現を巡る譲歩に前向きな姿勢を見せているとされる。
同社のステーブルコイン関連収益は2025年第3四半期に全収益の約20%を占めており、今回の交渉結果が事業に大きな影響を及ぼす可能性がある。
上院の残された時間は限られる。今年後半の中間選挙で本会議開催期間が圧縮され、さらにイラン戦争の対応でも立法リソースが消費されている。
現在の予測市場では、CLARITY法案が2026年に成立する確率は61%と値付けされている。
会合で生まれたひらめきが今後も実を結ぶかは不透明だ。法案詳細は未公表であり、ホワイトハウスの露骨な不満からして、予想外の道筋には政権が本来想定していなかった譲歩も含まれる可能性がある。