米暗号資産投資会社マルチコイン・キャピタルが、ワールドコイン(WLD)を6000万枚取得したことが明らかになった。プロジェクト運営側との店頭取引(OTC)によるもので、価格下落が続く局面での大型投資となる。
生体認証を活用した分散型ID基盤という同プロジェクトの中長期的な成長性を評価した判断とみられる。一方、市場では投資家心理の冷え込みが続いており、WLD価格は直近1か月で約21%下落している。
Sponsoredマルチコイン・キャピタル、ワールドコインに追加投資
マルチコイン・キャピタルは2017年設立の暗号資産・ブロックチェーン分野に特化した投資会社で、基盤技術やトークン設計の将来性を重視する仮説志向型の投資で知られる。今回の取得は、市場流動性への影響を抑える目的から、取引所を介さないOTC形式で実施されたとみられる。
ブロックチェーン分析企業のLookonchainによると、マルチコイン関連と推定されるウォレット(0xf0007b56607BB268efFe4126655f077F8cf42696)が、大口のWLD移動に関与していたことが確認された。市場では短期的な価格調整が続く一方、分散型IDや個人認証インフラを巡る中長期的なユースケース拡大に着目した機関投資家の動きとして注目されている。
オンチェーンデータによれば、このアドレスは1日前に3000万USDCをワールドコイン運営チームへ送金している。その後、マルチコイン・キャピタルは6000万WLDトークンを受領した。つまり、マーケット外での直接取引であったことを示唆している。
この取引のタイミングも注目される。オンチェーン、検索データともにワールドコインへの関心低迷を示す。Dune Analyticsのデータでは、昨年9月以降、新規アクティブウォレット数が急減している。
新規参加者の減速は、個人投資家の需要鈍化を示唆。一方で機関投資家は買い増しを継続。検索トレンドも同じ動きを見せる。
Googleトレンドのデータでは、「Worldcoin」の検索が9月のスコア100をピークに大幅減少。この急騰はUpbitによるWLD上場に起因し、当時のトークン価格も押し上げた。だが、その後ワールドコインはこうした上昇分をすべて失い、検索スコアは本稿執筆時点で6まで低下。
価格動向もこの冷え込みを反映している。BeInCrypto Marketsのデータによると、WLDは過去1か月で21%超下落。
本稿執筆時点で、同トークンは0.49614ドルで取引され、過去24時間比で2.57%上昇。短期的な反発は、暗号資産市場全体の時価総額が約0.5%増加した流れによる。
価格だけでなく、同プロジェクトには規制圧力も強まる。昨年11月下旬、タイ当局はワールドコインに対し、国内での虹彩認証による登録活動の停止と、100万人超から集めた生体データの消去を命じた。
この命令は、10月にタイの当局が同プロジェクトの虹彩スキャン拠点を強制捜査した措置に続くもの。
「この連携により、無認可のデジタル資産事業への法執行機関による訴追・抑止が強化される一方、法的保護が不十分な利用者の保護や、詐欺やマネーロンダリングのリスク軽減にもつながる」コンクサクル証券取引委員会副事務総長が言及した。
こうした動きは、これまでの課題に上乗せされるものとなる。5月には、このプロジェクトはインドネシアおよびケニアで規制上の障害に直面した。