NTTドコモグローバルグループのNTT Digitalが3日、ソラナ・ブロックチェーンのバリデータノード運用を開始した。同社はドバイを拠点とする技術パートナーCHAIN TEC LAB – FZCO(Dawn Labs)と協業し、高性能なインフラ運用体制を構築。Solanaのバリデータ数が約900まで減少する中、日本の大手通信系IT企業による新規参入として注目される。
NTT Digitalの参入で企業勢の存在感増す
NTT Digitalは今回、ソラナ・ネットワークを構成するバリデータとして正式に参画した。バリデータはトランザクションを検証し、ブロックチェーンの正当性を保証する役割を担う。同社は年間約6万ドルに達する運用コストに対応できる体制を整え、高い可用性とセキュリティを両立する運用を開始した。
同社に先立ち、モブキャストホールディングスが2025年10月にソラナ財団公式プログラム(SFDP)に採択されている。同社は累計3億円規模のSOL取得を実施した。日本の上場企業による参入は限定的だが、通信系大手のNTT Digitalの参画により、企業によるインフラ投資への関心が高まる可能性がある。
Sponsoredバリデータの運用には毎日最大21万6,000件の投票トランザクションが必要で、年間394SOL(現在の価格で約7万6,000ドル)の費用がかかる。こうした高額な参入障壁により、資本力のある企業や機関投資家による運用が中心となっている。
バリデータ市場は淘汰の局面
ソラナ・ネットワークのバリデータ数は2025年10月時点で約900まで減少し、2023年初頭のピーク時2,560から64%の大幅な減少となった。この減少について、RockawayXのインフラ責任者トマス・エミンガー氏は、低性能ハードウェアを使用していたバリデータの退出により、ネットワークの混雑が緩和されたと指摘する。
SOL Strategiesの最高技術責任者マックス・カプラン氏も、サンドイッチ攻撃を行う悪質な事業者の排除が進んだと評価している。
ただし、上位25バリデータが全ステーク量の約46%を支配する状況が続いており、スーパーマイノリティ(ネットワークを停止させる最小のバリデータ数)は20まで減少した。
ソラナ財団は2025年4月から、3つの新規バリデータを追加するごとに3つの既存バリデータへの委任を削減する方針を採用し、財団依存度の低減を図っている。こうした環境下で、NTT Digitalのような高性能インフラを提供できる事業者の参入は、ネットワークの安定性向上に寄与すると見られる。
機関投資家向け商品の整備が進展
ソラナ・エコシステムは2025年に入り拡大を続けている。DeFiLlamaによると、12月3日時点のDeFiプロトコルにロックされた資産総額(TVL)は約90億ドルで推移している。ステーブルコイン市場規模は約150億ドルに達し、先週比で13%増加した。
TokenTerminalの定義によるエコシステム全体の資産総額(ステーブルコイン、リキッドステーキング、レンディング、DEXを含む)は35億ドルに達している。週間トランザクション数は4億1,557万件を記録し、月間アクティブアドレス数は約130万で推移している。高速処理と低コストを特徴とするSolanaは、DeFiやNFT市場で存在感を拡大している。
機関投資家向けの投資商品も整備が進んだ。米国では11月中旬にBitwiseとGrayscaleがソラナETFの取引を開始し、初日にBitwiseは5,600万ドルの取引高を記録した。これは2025年に上場した850本以上のETFの中で最大規模の初日取引となった。累積純流入額は6億500万ドルを超え、運用資産総額は7億9,000万ドルに達している。